わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

陶芸の心得24(予測不可能な事3)

2012-08-06 22:16:32 | 陶芸の心得

陶芸はある意味、予測不可能な芸術とも言えます。その為、「芸術では無い」と言う人がいる一方、

全てが見通せない事が、最大の魅力であると思っている方も多いのも事実です。

主に焼成する事による、不確かさの事が多いのですが、その他にも予測不可能な事があります。      

2) マーブル(大理石)文様の作品を作る場合も、予測不可能な文様が出現します。

    その文様がどの様に成っているかの確認は、表面を一皮削り取った後に判明します。

    マーブル文様の細かさは、轆轤挽きする前の土練の回数によって決まります。

    回数が多いと細かく成り、回数が少ないと、粗めの文様になります。

    2~3種類の土を使う事が多いですが、その割合も大切です。黒っぽい土は見た目以上に

    広い面積として表れますので、少な目にした方が、綺麗に仕上がります。

  ① 轆轤作業では土は螺旋状に上に伸びますが、轆轤挽き時には、表面に泥が付いている為

    全く文様を確認する事は出来ません。又内外の削り作業で文様が確認するのですが、色土の

    種類によっては、素地土との色の差が少なく、本焼きするまで文様が確認出来ない場合も

    あります。

 ② 練り上げ手の技法:偶然性を取り除いて、色土で文様を作る方法です。

  ) 轆轤を使わずに、色土を文様に合わせて重ね上げる方法です。

    電動轆轤などを使うと、自分の意図した文様にはなりません。それ故、意図した文様にする

    為には、色土を一つずつ積み上げて行く必要うがあります。この技法を「練り上げ」といいます。

   ) ご自分の計画通りに仕上げる為には、最初の構想から実行方法、積み上げる順序などを

      十分計算し、手間隙掛けて作業する必要があります。また色土の境目は、剥がれ易いです

      から、しっかり接着します。

3) 墨流しの文様:絵画の分野では以前からある技法ですが、陶芸に取り入れ予測不能の文様を

   作り出す技法です。

  ① 一般に絵画的方法は、水面に墨を垂らして浮かべ、適度にかき回して水流を作り、

    墨で不定形の文様を作ります。これを紙(和紙)を上から被せて、文様を吸い取り転写する

    方法をとります。

  ② 陶芸の方法は、上記の方法とは異なり、器に直接文様を付けます。

    色化粧による墨流しと、釉による墨流しの方法があります。

  ) 器はなるたけ皿の様な平板の物が作業がし易いです。遠心力を利用しますので、ある程度

     面積の広い器が向いています。

  ) 色土による墨流し。色の対比が鮮明な物ほど、模様がしっかり出ます。

     黒地に白(白化粧土)の墨流しや、その逆の配色なども向いています。

    a) 作品は生渇きの方が、化粧土を吸い込まず流動を与える事になります。

      その為、作品は亀板に載せておくと良い様です。化粧土も流動性を持つ様に、水分をやや

      多目にしておきます。

    b) 器に化粧土を適度に流し込み、直ぐに亀板を持って、作品を強く揺さ振ります。

       器の傾き具合や、流し込みの量、揺さ振る方向と強さによって、化粧土が移動し文様を

       作ります。又、轆轤上に器を置き、轆轤の遠心力を利用する手もあります。

    c) 化粧土が乾燥したら、亀板から切り離し、高台を削り出します。

  ) 釉による墨流し。 一般に素焼き後の器に施します。

    a)  基本的には、化粧土の場合と同じ方法ですが、素焼きした器は水の吸収が強く、釉の

      流動性を阻害します。

    b) そこで素焼きした器は、ある程度水を吸収してから、作業に取り掛かります。

       作業は手早く行う事です。何種類かの釉を使うと、見栄えも良くなります。

   ) 何れの方法でも、一発勝負に成りますので、慎重に且つ大胆に作業を進める事です。

以上にて、「陶芸の心得」の話を終わります。次回から別のテーマでお話します。

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陶芸の心得23(予測不可能な事2)

2012-08-05 22:49:51 | 陶芸の心得

予測不可能な事は、焼成中にも起こります。

一番多いのは、温度上昇中に、突然上昇速度が鈍くなる事で、場合によってはその温度でストップ

する事があります。更に最悪の場合には、温度がどんどん低下する事さえ起こります。

2) 窯の温度上昇が突然停止する。

   窯の温度を上昇させるには、少しずつ燃料や電力の供給を増やします。

   しかし、順調に温度上昇していたものが、突然ストップすると、大変不安になり、何らかの対策を

   採る必要に迫られます。この現象は素焼き、本焼きに関係なく起こりますし、現在の温度に

   関係なく、低い温度や高い温度でも起こります。

 ① 温度上昇のメカニズム。

  ) 基本的には熱源(燃料や電力)を追加してゆけば、温度は上昇するはずです。

     しかし実際にはその通りに成らない場合が多く、どの様な対策を採るべきか迷い、毎回試行

     錯誤をして、切り抜けているのが実情です。

     特に燃料などを供給した直後に、この現象が起これば、次のような事が考えられます。

  ) 燃料を使う窯の場合に起こり易い。

    即ち、燃料の供給量と空気(酸素)の供給量のバランスによって、温度が上がったり、停滞

    したり、低下したりします。

   a) 一番燃焼効率が良いのは、中性炎又は、弱還元炎の時と言われています。

     次に効率が良いのは、弱酸化炎の場合です。

   b) 低下する最悪の場合は、主に強還元炎の時です。

     即ち、燃料に対して空気の量が少ない場合です。むやみに燃料を供給すればするほど

     温度が下がる事になります。

   c) 強酸化の場合も、温度が上昇しません。この場合は、煙突からどんどん熱が逃げる事に

     なり、燃料が無駄になります。

  ) 窯には各種の調整装置が備わっています。

    即ち、燃料や電力の供給量の調整(バーナーの圧力など)や、空気供給量の調整、煙突の

    引きの調整が主な調整装置ですが、これらを微妙に調整する事で、温度の上昇状態が

    変化します。

    a)  窯の状態を見て対策を立てる。

      温度上昇がストップしたからと言って、あわてて対策を採らず、5~10分程度静観する

      事です。一時的に温度が数度低下しても、再び温度上昇に転じる事も多いからです。

    b)  窯の状態が、今どの様な場面かによって、対策が異なります。

     ・ 素焼きの場合は、一般に酸化焼成ですので、燃料供給過多により、還元が強くなり

       温度上昇がストップする場合が考えられますので、酸化炎になる様に空気供給量を

       増やしたり、煙突の引きを強くします。

     ・ 本焼きの場合、酸化又は還元焚きに移っていれば、燃料不足に成らない様に、又は

       強還元や、強酸化炎に成らない様に、調整箇所(ガス圧、空気穴など)を調整します。

    c)  本焼きも1200℃を超える頃から、極端に温度上昇が遅くなります。30分で10~20℃の

       上昇と言う事も稀ではありません。このような状態の時はどう対処すべきか迷う事に

       なります。 いくらかでも温度上昇していれば、このまま我慢する方法と、なんらかの

       対策を採るべきかです。(但し、ストップ又は低下の場合には対策は必要です。)

      ・ ここで対策に失敗すると、自体はどんどん悪く成って仕舞がちになります。

       即ち、あちらこちらを微調整して温度上昇が上がってくれれば良いのですが、逆に悪い

       方向になる場合もあります。

      ・ 1200℃を超えると、一般に酸化炎に切り替えます。それ故供給量を増やさずに逆に

        減らすと良い場合があります。例として、温度上昇がほとんどストップ状態の時、夕立が

        あり、プロパンガスボンベが濡れ、霜が付着しガス圧が低下したら、急に温度が上昇した

        経験があります。

      ・ 温度上昇が鈍ったり、ストップした場合どの様な対処をしたかを、ノートに記録する事です。

        但し、同じ対処方で、クリアーする事は、意外と少なく毎回何らかの方法を取り入れて

        対処する事が多いです。

     d) あと20℃と言う処で完全にストップしてしまった事があります。一般に1200℃あれば

        釉は熔けると言われていますので、最低でも1200℃(目標は1230℃)゛が欲しいの

        ですが、1180℃でストップした訳です。

        いくら時間をかけても、温度上昇が見込めず、ここで窯焚きを中止した事があります。

      ・ てっきり全滅したと思いましたが、窯を開けて見ると、今までよりも発色の良い作品が

        数個ありました。若干焼きが甘く、いつもの光沢は少ないのですが、落ち着いた色に

        仕上がっていました。

  話がやや横道に反れてしまいましたが、失敗は失敗なりに思わぬ収穫を得る事も、予測不可能な

  事になります。

以下次回に続きます。

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陶芸の心得22(予測不可能な事)

2012-08-03 21:38:32 | 陶芸の心得

陶芸の中には、やってみないと判らない事も多く存在します。

1) その代表的なのは焼成です。窯を開けて見るまで、どの様な作品に出来上がっているかは判ら

   ないのが普通です。例え温度が所定の位置まで上昇し、還元(又は酸化)焼成が完璧に出来た

   と思われたとしても、予想通りの色や形に仕上がる訳でもありません。 同じ釉を掛け、隣同士の

   位置に窯詰めしても、焼き上がりが極端に異なる場合も珍しくありません。

   特に薪やガス、灯油などの燃料を使う窯の場合は、顕著に現れます。

   場合によっては、色だけでなく、作品に亀裂やひびが入ったり、ひどい場合には、作品が粉々に

   成ってしまう事もあります。

  ① 今までに無い特に変わって発色した場合は、「窯変」と言い珍重されますが、同じ条件で焼成し

     ても、二度と同じ様に焼き上がらない場合が多いです。

     勿論、焼成時のデータを確認しながら、再現を目指すべく色々思考錯誤するのですが、

     再現しない事の方が多い様です。要するに、根本的な事が判っていない事が、原因かも

     知れません。

  ② 同じ条件で焼成しても、窯の種類によって、焼き上がる作品の釉の色に差が出ます。

     薪、ガス、灯油、電気窯などによって、同じ土、同じ釉、同じ焼成(酸化、還元)であっても、

     明らかに違いが出ます。その為、数種類の窯を持ち、使い分けている方もいます。

  ③ 窯には個性があります。(市販の窯であっても、手作りの窯であっても個性が出ます。)

    同じ窯でも、窯の扉を開けないと結果が判らないのですから、同じ燃料を使用し、同程度の

    大きさ(容積)の他の窯であっても、当然焼き上がりには差がある物です。

    それ故、ご自分が納得する焼き物が出来る様に、窯を改造したり、何度も新たな窯を築く人も

    います。更に、他の人の窯焚きについての話を聴いても、必ずしも役に立つ訳ではありません。

   ) 窯の癖を見分ける事が、窯焚きの必須の条件です。

     a) 窯の中は均一ではない。

       基本的には均一にしたいのですが、均一に成らないのが実情です。

     b) 窯の中では、ある程度の温度差が生じます。窯の容積が大きい程、温度差が出易いです。

       温度差を少なくする為に、「寝らし」と言い、目標温度で一定時間保持する作業を行います。

       しかし、この作業も完璧な物ではありません。

       又、窯の中の場所によっては、温度上昇が急であったり、逆に温度上昇が遅い場所が

       出来易いです。その結果は、釉や作品の形に影響を与えます。

     c) 電気の窯では、一つ窯全体が酸化焼成する事が可能ですが、燃料を使う窯では、完全に

       酸化や還元焼成に成らず、還元焼成でも一部で酸化焼成になる事も、珍しくありません。

       又、還元でも、強還元や、弱還元など、窯の中の位置関係によって差が出ます。

     d) 窯の冷める速さにも、場所によって差がでます。(壁の厚い程、容積が大きい程、

       冷えは遅くなります。) 窯の下部から冷却が始まり、最上部が最も遅く冷却します。

       釉によっては、急冷に向く「黒釉」や、徐冷に向く「結晶釉」などがありますので、釉に合わ

       せて、窯詰めします。

    勿論数度の窯焚きでは、その窯の癖を把握する事は困難です。

    ある程度の回数を行う事により、少しずつ癖を把握する事になります。

    その結果は次回の窯詰めや、焼成に役立たせます。

 以下次回に続きます。

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陶芸の心得21(技術は体で覚える3)

2012-08-02 21:58:19 | 陶芸の心得

5) 技術は時代と伴に変化する。

  一度身に着けた技術もしばらく実行していなかったり、時代変化に合わなくなったり、又は不要に

  なるものなど、その技術が一生役に立つものとは、限らない物もあります。

  ① 陶芸を例にとれば、轆轤作業で電動轆轤が世に出る以前は、自分の手または足を使って回転

   させていました。この技術の取得には、多大な努力と力を要しました。

   蹴轆轤(けロクロ)を除いて、現在では手で回す轆轤(手捻り用ではない)を使う人は、一部茶陶を

   作る場合の他は、ほとんどいなくなりました。

  ② 共同窯(大窯)が一般的であった焼き物の産地でも、個人所有の窯へと変化してゆきます。

   共同窯では、窯焚きをする専門の職人は、絶大な権力を握っていたそうです。しかし、個人窯に

   なると次第に働く場も無くなり、大窯の窯焚きの技術も、廃れてしまいました。

   逆に、今まで焼成技術を専門家に任せて必要としなかった、一般陶芸家は焼成技術を身に

   着ける必要が出てきます。

  ③ 一方、電気窯が発明される前は、燃料を燃やして窯を焚いていました。特に薪を使用する

   登窯や窖窯(あながま)などは、公害問題や非効率の為、一部の愛好家以外は、姿を消して

    しまいました。これらは、時代に合わなくなった為、その轆轤技術や焼成技術は廃れて行った

    技術です。

 6) 人の技術を借用する。

    勿論、本人が苦労し、努力する事によって得た技術は、高く評価出来るかも知れませんが、

    それらの技術は、既に何方(どなた)かによって、完成された技術かも知れません。

    もしそうならば、何らかの方法で、その技術を借用する事は、不名誉な事でも恥でもありません。

  ① ご自分では、未知の技術であっても、陶芸の世界では公に成っている技術は、多々あります。

    陶芸の書籍(技術書)やインターネットで調べたり、その他、知人などにたずねたりして、

    その技術を会得する事も可能になります。

  ② どの様な分野であっても、世の中には自分と同じ事を考え、何らかの行動や実践している

    方は、数人はいると言われています。勿論その様な方がいる事が判明するのは、その方が

    何らかの成功を収め、世に紹介された場合が多いです。

    勿論、どの様な技術でどの様な方法で、成功させたかは、公にする事は有りません。

    (長年の努力や苦労の結晶は、おいそれと教えるはずはありませんので、当然な事です。)

    しかし、その方法が未確認でも、それを成功させる事が可能である事を示していますので、

    その事だけでも、強い味方とも言えます。

  ③ 世の中に全く新しい技術はそんなに多くはありません。ほとんどの新技術は、以前からある

     技術の 改良版が多い様です。

     それ故ご自分の求める新技術のヒントも、意外と近くに有るかも知れません。

以下次回に続きます。   

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陶芸の心得20(技術は体で覚える2)

2012-08-01 22:06:52 | 陶芸の心得

多くの運動や芸能などは、頭で考えながら作業や行動する様では、上達はおぼつかないです。

勿論、考える事は大切な事ですが、出来れば行動を起こす前に十分考えるて置く事です。

 自転車にしろ水泳にしろ一度技術を会得すれば、一生忘れる事が無い物もあります。

 これこそが本当の意味で、体で覚える事だと言えます。

1) 技術を習得し、身に付くまでには、ある程度の年月が必要です。

   その技術が、どの様なものかによって、年月にも大きな差が出来ます。

   陶芸の場合は、数週間~数年のものが多いです。

   ① 例えば、施釉する技術は、数週間あればほとんど身に付く技術と言えます。

   ② 轆轤技術が身に付く為には、数年を要します。

   ③ 「窯焚き一生」と言う諺がありますが、満足する窯焚は、何年経っても出来ません。

      同様に、自分なりの釉を新たに作り出すのも、かなりの時間を要し、一生掛かっても完成

      できない場合も多い様です。

2) 言葉では教えられない事もあります。又教えを受けたからと言い、その事が身に付く訳では

   ありません。いくら手本を示しても、実際に当人が苦労しない限り、上っ面の知識と成り易いです。 

   細かいニュアンスは言葉では、言い表せない事も多く、受け手に十分理解されているかは不明な

   場合も多いです。本人が「判ったと」言う顔(表情)をしていても、実際には判っていない場合も

   多いですので、お互いに注意が必要です。

3) 技術を習得するには若い程良い。

   ① 頭(思考)の柔軟性に富んだ人の方が理解も早く、技術の習得も早いです。

   ② 柔軟性は頭の柔軟性の他に、肉体の柔軟性も必要な場合も多いです。

     その為にも、なるべく早い時期からその道に進む事が大切になります。

     但し陶芸の場合30~40代に始める人も多く、それらの人たちの中には、人間国宝に成った

     方もいます。

4) 技術を体で覚える為には、「繰り返し練習する事」と言われています。

   但し、理屈に合った練習でなければなりません。そして大切な事は、失敗をする事だと言われて

   います。失敗した場合、失敗の原因を考える事により、次回より同じ失敗を繰り返す事も無くなる

   かも知れません。しかし同じ失敗を繰り返す様でしたら、対策が不十分か間違っている事に

   なります。

   ① 短期間に集中して練習すれば、技術は早く会得する事が可能です。

      長い年月を掛けても、休み休みの練習では効果が期待できません。

   ② 昔の職人達は、湯呑みを数千個作って技術(腕)を磨いたと言われています。

      この方法が現在でも有効かどうかは、意見が分かれるところです。

      陶芸を楽しんでいる方は、必ずしも職人の様に、同じ物を数多く作りたいと思っている訳では

      ありません。むしろ色々の形や、釉を使ってみたいと思っている方が大半です。

      それ故、色々な技法を学び身に着けたいと思っています。その為には、同じ形のものでは

      なく、バラエティーに富んだ作品に挑戦する方が、技術習得に役立つかも知れません。

以下次回に続きます。

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陶芸の心得19(技術は体で覚える1)

2012-07-30 22:11:38 | 陶芸の心得

陶芸で技術と呼ばれる物は、広範囲に及びます。しかし全ての技術を必要とする訳でもありません。

人によっては、不要な技術もありますが、一通りお話したいと思います。

1) 陶芸の技術の種類

  ① 土の採取: ご自分で使う土を何処かに見つけ採取する事です。

    当然求める土が何処に存在しているかを、見つけ出す知識や技術が必要になります。

   ) 陶磁器の産地(窯元)では、その近辺に土が存在しているのが普通です。

      当然地元の方は、何処にどの様な土があるかは、知っているはずです。

      だからと言って、勝手に土を採取する事は出来ません。なぜならその土地は誰かの所有物で

      有るからです。許可を得て採取するか、地元で土専用に販売している処から購入する事に

      なります。

   ) 陶芸家の中には、土探しに熱心な方も多いです。野山を歩き廻り今までに無い土を見付け

      作品を作る事を楽しんでいる人々です。しかし現在は各産地の土を容易に、しかも安価に

      購入する事が可能に成りましたので、多くの陶芸家はその様な市販の土を使っているのが

      現状です。

  ② 素地土(坏土=はいど)を作る

   ) 採取した土がそのまま使える事は稀で、多くは使える様に水簸(すいひ)したり、各種の土を

     調合します。水簸(すいひ)するにはそれなりの技術や経験が必要です。

     更に、「土を寝かせる」事が必要かも知れません。

   ) 市販されている土を使うとしても、焼成後の色、耐火温度、肌理の細かさなど、ご自分の

      好みに合わせる為に、混ぜ合わせる事が多いです。この場合も、技術と経験と感が必要に

      なります。

   ) 勿論、市販の土をそのまま使って作品を作る人が、大半かも知れません。

      市販の土は可塑性や耐火度などで、そのまま使用しても良い様に成っているからです。

  ③  作陶(制作)技術: 作り方には色々な方法が存在します。即ち、手捻り、電動轆轤、蹴轆轤、

     タタラ(板)作り、型起こし、鋳込み等々です。これらの技術のどれかを使って作品を作ります。

     これらの一つ一つには、それなりの技術が必要に成っています。陶芸の技術と言えば、この

     作陶技術が中心に成っていると言える程、重要な事です。  

   ④  装飾技術

   ) 素焼き前に施す装飾: 作品の表面を凹凸を付けたり、穴を開けたり、化粧土で装飾する

      方法です。およそ20種類程度の方法があります。

   ) 素焼き後に施す装飾: 主に下絵付けや、釉による装飾です。

   ) 本焼き後に施す装飾: 主に上絵付けによつ装飾です。   

  ⑤ 乾燥に関する技術

    素焼きする前に十分乾燥させる必要がありますが、この段階で、「ひび」や「亀裂」が入り易く

    それを防ぐ技術も存在します。

  ⑥ 窯詰めの技術: 素焼きと本焼きでは、窯詰めの方法が異なります。

    本焼き時の窯詰めは、その方法によって、作品の良し悪しを決定するとも、言われる大切な

     技術です。

  ⑦ 釉の調合技術: 独自の釉を作り出す為には、原材料を混ぜ合わせて調合して釉を作ります。

    制作技術同様に大切な技法ですが、市販されている釉を使う事で、特別調合する必要が無い

    人も多いはづです、

  ⑧ 焼成技術:窯焚きの技法で、素焼き用、本焼き用、酸化焼成、還元焼成などの区別があります。

     窯の大きさや種類、燃料の有無などによってその技法に特有の状況を作りだします。

 尚、ご自分で窯を持ち、実際に窯を焚く事が出来る人は、陶芸を楽しんでいる人々でも、かなり

 少人数だと思われます。それ故、この技術を会得出来るチャンスは、少ないかも知れません。

以下次回に続きます。

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陶芸の心得18(釉は沈む物)

2012-07-28 21:44:09 | 陶芸の心得

陶芸で使う釉は沈む物です。 それ故、その事を理解した上で、施釉する必要があります。

一般に釉は、粉末状の材料を水に溶かして使用します。

釉の材料は、長石や珪石などの石の粉末に、石灰などのアルカリ成分を混入した物か、草木灰と長石との

混合物です。それ故、比重差によって自然と、水と釉は時間と共に分離します。

1) 完全に攪拌してから使用します。

  攪拌は、手又は機械を使って行いますが、大規模に釉を使用する以外は、一般に手で攪拌します。

  ① 1~2週間使っていない釉は、完全に分離し底に堆積していて、均一の濃度にするには、手間が

    掛かりますし、特に冬場には水も冷たく、溶くのに苦労しますので、他の人の使った直後の釉を

    使いたくなるものです。

    尚、沈殿防止剤なる物が市販されていますが、有効に作用する事は少ない様です。

  ② 釉玉が出来ない様に溶く。

   ) 既に溶かされている釉では、底に溜まった釉を均等に溶かします。

      釉玉が出来ると施釉した際に、濃度に差が出て、斑(まだら)文様になります。

      特別釉の塊 がくっついた場合には、その部分が十分熔けずに生の状態で残ります。

   ) 新たに釉(市販の釉、又は自家製の釉)を溶く場合は、予め釉の材料を細か摺り潰してから

      水を注ぐと、早く溶けます。

  ③ 釉の濃度の調整。

     釉の種類によっては、厚く掛けた方が良い場合と、薄掛けでもそれなりに発色する物があります。

   ) 新しい釉を溶く場合、一般に粉末状の釉1Kg当たり、0.8~1.0リットルの水で溶きます。

      この際、「マスク」を使用して、粉末を吸い込まない事です。(意外と舞い上がります。)

   ) 既に溶かされている釉でも、必ず濃度を確認します。

      濃度の確認は、攪拌した手を見て判断します。肌が見えていれば薄過ぎで、手に「ボッテ」と

      着く様ですと、濃過ぎです。このニアンスは、人に聞いたり、経験によって会得して下さい。

    ) 濃度の濃い場合は水を足し、薄い場合は水を抜きます。

     a) いきなり掻き回さない事。

       容器の釉を、いきなり掻き回しても、濃度が濃い場合には、水を追加すれば良いのですが、

       薄かった場合は、新たに釉を追加する必要が出てきます。

     b) 濃度が不明な場合、先ず上澄み液を別の容器に(0.5~1リットル程)取ります。

       その後、攪拌して濃度を確認します。濃度が濃ければ、先にとった上澄み液を少しづつ追加

       して濃度を調節します。そうする事により、新たに釉を追加する必要はありません。

  ④ 釉は直ぐに沈殿します。

     上記の様に濃度を調節しても、1分もしないうちに、沈殿が始まります。

     (釉の種類によって、沈殿速度に差があります。)

     それ故、調整後は直ちに施釉しなければ成りません。又連続して同じ釉を掛ける時でも、

     1~2個施釉したら、再度掻き混ぜてから釉を掛けます。

     スプレー掛けの様にスプレーする容器に取った釉薬も、頻繁に振って釉の沈殿を防ぐ必要が

     あります。スポイト掛けの場合も事情は同じです。

  ⑤ 釉に濃淡を着けたい場合。

     勿論濃淡に差がある、2種類以上の釉を用意し、施釉する事は可能です。

     但し、濃い釉を一度に掛けると、釉剥げが起こり易いです。それ故、やや薄目の釉を数度に

     分けて、濃くする部分に施釉した方がベターです。

     但し、下地が乾いたらその上に塗る事です。塗れた状態で上塗りしても、釉は厚くなりません。

次回(技術は体で覚える)に続きます。

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陶芸の心得17(集中力について4)

2012-07-27 21:39:35 | 陶芸の心得

前回に続き集中力の話をします。

◎ 陶芸に於ける集中力について。

1) 電動轆轤作業に於ける集中力について。

 ⑧  作品の寸法に注意する。

    轆轤挽き終了直後の出来上がり寸法(高さ、直径)は、予め決っているはずです。

  ) 「トンボ」や「スケール(物指)」を使い大きさを測定し、寸法の過不足を調整します。

     轆轤では、背を高くする事と、直径を小さくする事が難しいです。

     特に、肉厚が薄くなった作品の径を細める事は、大変困難です。それ故、若干径を小さく

     しておき、最終段階で予定通りの寸法に合わせます。

   ) 径を大きくすると、高さは低くなります。逆に細めると高くなり易いです。

      その為、径と高さを所定の寸法に合わせる事は、意外と難しくなりますので、何処かで

      妥協点を見つける必要があります。(径を重視するか、高さを重視するかです。)

 ⑨ 作品を下の土から切り離す際と、轆轤上から作品を移動させる際の注意点。

    数挽きの際には、「しっぴき」や「糸」を用いて切り離します。回転させながら行うのが一般的

    ですが、轆轤を止めたままで切り離す場合もあります。短い時間ですが、集中力が必要な作業です。

   ) 底を水平に切り離す。「糸」を入れる前に、切り離すべき位置をしっかり決め、竹へらで筋

      (細い溝)を着けておきます。轆轤が回転していれば水平にきり易いのですが、止めてあると

      水平に切れない場合が結構あります。

      切り離す直前に糸が上に持ち上がり易く、切り口が斜めになってしまいます。

   ) 作品を轆轤上から取り上げる際にも注意(集中力)が必要です。

      口縁は絶対触らぬ事です。触ると変形します。じゃんけんの「ちょき」を上向きにして、高台脇を

      はさみながら手前に倒して取り上げ、手板に移します。口縁が楕円などに変形する

      場合があり、この様な場合は、作品の腰で直します。

    ) 切り離す作品の底を大きく取ると、かえって口縁が変形し易いです。なるべく小さ目に

       取ると、変形は少なくなります。

以上の様に轆轤作業では、注意すべき事柄は多く、一連の作業が終わるまで、気が抜けません。

2) 施釉作業に於ける集中力について。

  ① 釉薬を塗る(釉を掛ける)事は、漬け掛(浸し掛け)や、流し掛けなどは、ほんの数秒で完了する

     場合が殆どです。 しかも、一発勝負が基本で、やり直しをしないのが普通です。

     その為、短い時間でも神経を集中させる必要があります。

     (尚、スプレー掛けや筆塗りなどの技法では、時間を掛けて作業が出来ます。)

  ② 施釉する際には、作品を持つ位置に気を使います。

    ) 作品を取り落とさない事。作品は大きさに応じて、片手又は両手に持って釉を掛けます。 

       片手で持てる小さな作品は、高台部を持って施釉しますが、輪高台以外の碁笥底高台や、

       ベタ高台では、持つべき処を何処にするか迷いす。作品を浸し掛けする場合、浸す際には

       保持できたものが、引き上げる際には指が滑り、容器の中に落としてしまう事も多いです。

       作品を容器の中に落としてしまうと、作品が壊れる事は少ないものの、釉の厚さが厚くなり、

       釉に斑(むら)が出ます。持ち難い作品は、釉の掛ける方法を工夫するか、「釉はさみ」を

       利用します。

    ) 大皿の様な径の大きな作品は、盥(たらい)の様な口径の大きな容器を使い、両手で保持

       しながら、釉の中を潜らせます。先に入れた部分から引き上げると、均等の厚みになります。

       又、他の人の助けを借りて、流し掛けする場合もあります。流し掛けの際には、裏面に

       釉掛けする際、どう持つか予め考えてから、行動する事です。

    ) 指痕はなるべく着けない事。着いた場所は補修しておく事。

       手を同じ釉に漬け、汚しておくと指痕は少なくなります。汚れていない手で作品を持つと、

       そこに指痕が着きます。指痕には釉が掛からず、指の輪郭に沿って釉が厚く掛かります。

       尚、釉の容器の中で、作品から手を話さないで下さい。一度沈んだ作品を、拾い上げるのは、

       難しい作業で、失敗し易いです。なるべく数少ない指(3本)で作品を持ちます。

       指痕の補修は、指や筆を用いて同じ釉を塗りますが、ほとんどの釉では、厚みの濃淡が出て

       完全に消す事は、難しいです。勿論作品によっては、指痕をわざと残す場合もあります。

以下次回(釉は沈む物)に続きます。

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陶芸の心得16(集中力について3)

2012-07-26 20:33:15 | 陶芸の心得

前回に続き集中力の話をします。

◎ 陶芸に於ける集中力について。

1) 電動轆轤作業に於ける集中力について。

  ④ 土が振れていないかを、注意する。

     土が轆轤の中心に載っていなければ、必ず作品に振れが発生します。

     この中心に載せる作業が「土殺し」と言われる作業です。特に初心者では、「土殺し」が十分

     終わらないうちは、その先の作業に進む事は出来ません。「土殺し」が終わっているかは、

     轆轤上の土の塊に手(右回転の場合左手)を当て、停止していればOKです。

     又、轆轤挽きでは、背が高くなるに従い、振れが起き易くなります。根元では少ない振れも、

     上部に行く程、振れ幅が増します。狂いは根元の方に原因がありますので、口縁を補正する

     のでは無く、根元から直す必要があります。

     注意が手元ばかりに集中していると、振れが発生している事さえ、見過ごす事があります。

     土の振れに合わせて、手(指先)が動いている場合は、振れを直す事は出来ません。

     常に、全体がどうなっているかに、注意を集中しチェックする必要があります。

  ⑤ 土の厚みに注意する事と、土の「拠れ」や「ねじれ」に注意する。

    轆轤では根元が肉厚で、上部に行くほど、徐々に肉薄になります。

    途中で上部より肉薄に成った場合、上部の土を支えきれず、「拠れ」や「ねじれ」が出易いです。

     又、水切れによる摩擦抵抗の増大によっても、引き起こされる現象です。

     一度発生させると、補正するにはそれなりの技術が必要になり、初心者には修正不可能とも

     言えます。それ故、「拠れ」や「ねじれ」を早く発見する為にも、注意力が必要になります。

  ⑥ 空気や異物の混入に注意する。

     轆轤挽きしていれば、自然とその存在が気になるはずです。特に肉厚が薄くなるに従い、

     空気の存在や、粘土の固い部分、小石等の異物が指先で感じます。

     これらは、針を刺したりして取り除きますが、他の部分より固い土がある場合には、最初から

     やり直す方が得策です。この空気や固い塊は、土練が不完全な為に起こります。

  ⑦  作品の形に注意する。

     形作りの作業(径を大きくするか、小さくする)に入ると、現在全体の形の中でどの部分を

     変形しているのかが解かり難いです。

     人の五感で一番敏感で、頼りに成るのは触覚です。回転している作品を下から上に力を

     入れずに撫ぜるだけで、その形の凸凹度や良し悪しを判断する事ができます。 

以上の様に、轆轤作業には、神経を集中させる事項が多く有りますが、これらは別々に存在するのでは

無く、一つの作業で同時に又は、順を追って発生してきます。

そして、意識せづに自然にこれらの事が遂行できる事が、轆轤に慣れた事でもあります。

以下次回に続きます。

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陶芸の心得15(集中力について2)

2012-07-25 21:43:53 | 陶芸の心得

同じ土の量で器を3個轆轤挽きして作ると、最初の1個はどうしても、小さく出来上がります。

二番目の作品は、ほぼ思った通りに、轆轤挽きができます。しかし、三番目の作品は失敗する事が

多いです。その失敗も、最初からやり直した方が早い程の大失敗と成り易いです。

① 最初の1個は、手が十分に慣れていない事が原因です。

  音楽家が楽器の演奏を毎日練習しないと、手が思うように動かないと言われています。

  同様に轆轤職人であっても、その日の最初の作品は、手慣らしとして作業するそうです。

  前回の轆轤挽きより、1週間~1ヶ月も時間が経過してしまうと、感覚を呼び戻すにはある程度の、

  練習が必要で、最初の作品は肉厚に成り易く、作品も小振りになります。

  それ故、久し振りの轆轤作業では、思うように行かないのは、自然な事とも言えます。

② 二個目は、手も馴染んできますので、以前の感覚を取り戻し、轆轤挽きもスムーズに行う事が

   可能になります。

 ③ 三個目で大失敗する原因は、集中力が途切れた為と思われます。

    即ち、二個目までは慎重に作業していたものの、ここで気が緩み大胆に成ったのか、途中の

    手順を抜いてしまったのか、力み過ぎたのか何らかの原因で、失敗したものと思われます。

  以上の様に何らかの事情で、集中力が欠けた場合には、悪い結果と成り易いです。

前置きが長くなりましたが本日の本題に入ります。

 結論を先に述べると、陶芸に於いては、一連の作業が終了するまでは、意識を集中する必要があります。

 集中できない時は、区切りの良い処で、休憩を入れる事です。

◎ 陶芸に於ける集中力について。

  陶芸のどの作業で有っても、集中力が必要ですが、特に(電動)轆轤作業に於いて重要になります。

1) 電動轆轤作業に於ける集中力について。

   轆轤作業は手捻りに対して、非常に「デリケート」な作業だといえます。

   轆轤作業は(慣れた方なら)、作るのも早いのですが、失敗して壊れるのも早いです。

   土が薄く、更に水を含んでいる為に、一寸した「ミス」やタイミングで、作品が変形して仕舞います。

   前回述べた集中力の分類の中で、② 「注意を払う集中力」(集中すべき事柄が多い)が重要に

   なります。集中すべき事柄を列挙すると、以下の様になります。

  ① 轆轤作業は主に両手の指先と、脚を使って行います。

    脚は轆轤の回転スピードをコントロールし、蹴り轆轤では回転力を与える役目もします。

    5本の指先で作品を作り出します。 実際には、指先以外に指の側面、指の関節、指の付け根、

    掌(てのひら)、手首、肘(ひじ)など、作業に応じて適宜、注意を向ける必要があります。

    その他に、目も重要ですが、初心者は目に頼り過ぎる事も多く、目に惑わされる事もあります。

    ある意味で、目で認識した事は「あて」になりません、

  ② 回転スピードは指と土との速度で調整する。見た目の速さで判断しない事です。

     作品は指先で作る事が多いですので、実際に作業している処のスピードが大切です。

     即ち原則は、径が大きくなる処での作業では、径に従い回転を落とし、径の小さい場合には、

     回転を速めます。なるべく指が感じる回転スピードを一定に保つ様にします。

     制作過程では、常に集中力を働かせ、スピードを調整する必要があります。

  ③ 「水切れ」の注意。指先が土の表面を滑っているかを確認する事です。

     轆轤挽きでは、「水切れ」が作品を歪ます原因に成ります。轆轤作業中は、土の表面に水を

     引いたり、「ドベ」を塗り水切れを防ぐと同時に、指先(手全体)を濡らしておきます。

  ④ 土が振れていないかを、注意する。

 以下次回に続きます。

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