わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

青磁4(秘色青磁)

2011-08-13 22:18:21 | 各種の釉(鉄、銅、その他)
中国の、著名な青磁についての話を、続けます。

③ 秘色(ひそく)青磁

 秘色とは、中国唐時代の末(9世紀頃~11世紀頃)に、越窯で焼かれた、皇帝用、皇室用の青磁で

 その色を指します。

 秘色の言葉は、唐時代(621~907年)の文人達が、詩歌に歌い、その美しさが、賞賛されます。

 我が国でも、「源氏物語」の注釈書の「河海抄(かかいしょう)」(10世紀中頃)に「その色翠青にして、

 真に優れたり」と記述されて、いるほどです。

 又、平安時代の「宇津保物語」にも、取上げられている程、評判の良い色です。

 ・ 但し、言葉のみが伝わり、実際はどの様な色彩なのか、長らく不明でした。

) 秘色青磁の発見

  1986年、中国、陜西省扶風県にある古刹法門寺で、前年崩壊したの塔の再建の為、基壇の発掘

  調査が、行われました。

  その際、塔の下に、唐時代末期の第二十代・僖宗(いそう)帝(873~888)が、寄贈した宝物を

  収めている、地下宮が発見されます。

  その宝物中に、「越州窯青磁」が含まれており、併納されていた 宝物目録に、「秘色瓷」と

  記された文書があり、「秘色青磁」の実物14点を、見る事に成ります。

  (尚、地下宮殿には、金銀宝石等で飾られた、八重の箱に仏舎利、金銀器、ガラス器、青磁器、

   宮廷茶器、絹織物などの文物が、大量に収められていました。)

   これらの宝物は、法門寺への埋葬後、続く動乱と唐の滅亡で、人々の記憶から、完全に消え去り、

   今日まで至った訳です。

  ・ 現在、これら宝物の大部分は、法門寺博物館に、展示されているとの事です。

 ) 秘色青磁の特徴

    法門寺出土の「秘色」は、「一般の越磁と違い、薄手の端整な姿をした、碗や皿で、淡く澄んだ

    青緑色の釉薬が掛かった、艶のある青磁である」という事が、多くの書物に書かれいまです。

    又、釉肌は、萌黄(もえぎ)色、璧玉(へきぎょく)色、翡翠(ひすい)色などに似た、

    薄い青緑色をしています。 

  ・ 尚、中国語で「秘」、「碧=へき」、は同じ(びい)の音であり、「秘色」は、碧の色即ち

    青緑色の意味でもあります。

 ) 秘色の焼かれた、越州窯は、五代十国時代と呼ばれる、小国が分立していた、小国の呉越国の

    支配下にあり、国王の庇護の下に、優れた青磁が焼かれていました。

    秘色青磁はその中の一つで、唐の皇帝に、献上されたものと、思われます。

 ④ 汝窯(じょよう)の青磁 : 淡い青色の釉で、全面に貫入が入っています。北宋の時代の作で、

    世界でも、故宮博物館(北京、台北)を、中心に70点余りしか、確認されていません。

 以下次回に続きます。
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 青磁3(古越磁、越窯) | トップ | 青磁5(汝青磁 謎の窯柴窯) »

コメントを投稿

各種の釉(鉄、銅、その他)」カテゴリの最新記事