わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

青磁3(古越磁、越窯)

2011-08-12 21:08:38 | 各種の釉(鉄、銅、その他)
代表的な、中国の青磁についての話を、続けます。

青磁とは本来、釉の名称である為、胎土は、磁器土、半磁器土、粘土(陶器)など、様々で、必ずしも

磁器を表すものでは、ありません。

 ② 古越磁(こえつじ)

  ) 戦国時代から、後漢後の、呉、西晋(せいしん)、東晋(とうしん)と五世紀にかけて、

    南京の江南地方を中心に、多くの墳墓が作られ、そこから特色ある青磁が、出土します。

    これらの青磁を、古越磁と呼びます。

    特に我が国では、六朝時代(西晋、東晋、宋、斉、梁、陳)の越州窯の作品を、古越磁と呼びます。

  ) 古越磁は、前回お話した様に、最初は、副葬品の明器(めいき)として、作られました。

    青銅器を模した、重厚で厳格な形から、次第に丸みを帯びた、軽やかな形へと変化し、

    釉も改良が進み、滑らかに熔け、安定した色になって行きます。

  ) 五世紀以降、短命な王朝(宋、斉、梁、陳)が続きますが、青磁の需要が大きくなり、窯場も

     拡散し、作品も多様化します。 胎土は白っぽく、釉は黄色みを帯びています。

   ・ 形は優美で、細身のものや、蓮弁や蓮花の文様が流行します。

     更に、六世紀に成ると、器表面は華やかな、貼り付け文で、飾られる様に成ります。

     又、実用と言うより、装飾の為に、細い紐状の耳が、肩に複数個付いた壷なども、多く

     出土しています。 これらの作品には、暗褐色の青磁釉が、掛けられています。

  ) 我が国に、中国から最初にもたらされた、青磁の器は、東京国立博物館所蔵の、青磁四耳壷と

     言われています。奈良法隆寺伝来で、香料を入れる容器(丁子=ちょうじ)として、

     使用された器です。重文に指定され、高さは26.4cmで、唐時代(618~907年)前半に

     作られた物と、思われています。

    ・ 肌理(きめ)の細い、ねっとりとした胎土に、灰色かかった青緑色の青磁が、かかっています。

  ) 唐の後期になると、実用的な青磁が、大量生産される様になります。

     王侯貴族や僧侶以外の、一部庶民にも、行き渡る様に成ります。

     それに連れて、陶磁器(越州青磁)の輸出に、本格的に取り組み、世界各地へ運ばれて行ます。

     我が国でも、多くの遺跡から、この時代の、青磁が出土しています。

 ③ 秘色(ひしょく)青磁: 釉肌は、萌黄(もえぎ)色、璧玉(へきぎょく)色、翡翠(ひすい)色を

   しいます。 長らく、その正体が不明でしたが、近年明らかに成りました。

   唐及び、その後の五代時代の越州窯(越窯=えつよう)で、焼かれた作品群です。

以下次回に続きます。 
コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 青磁2(原始青磁) | トップ | 青磁4(秘色青磁) »

コメントを投稿

各種の釉(鉄、銅、その他)」カテゴリの最新記事