わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

3 色の種類によって人は特別な感覚を抱く

2018-12-31 14:42:45 | 色と陶芸
3) 色によって人は操られている。

 色は人の感覚に大きく影響を与え、特別な意識を醸し出す働きがあります。

 暖色系と寒色系があり、更に明度の大小等によって幸福感、安定感、重量感、鎮静効果の他

 物の大小(見た目の違い)を狂わせる効果を演出します。

 ① 暖色系と寒色系、明度の差の効果。

  暖色系は、赤、橙、黄、紫の範囲内の色をいいます。

  寒色系は、緑、青緑、青、青紫、紺の範囲内の色と白です。

  ⅰ) 赤い色は火の色や太陽を連想させ、暖かい感じを抱かせます。鮮明な赤系は血液を想

   像する為、気持ちを高ぶらせ「興奮感」を与えます。それ故、エネルギーを与える色で

   スポーツに関する用具や会場設備等では欠かせない色と言われ、多用されています。

   ・ 黄色系は「元気にさせる色」と言われて「希望、幸福、健康」等人に幸福感を与え

    る色です。仏教やヒンズー教では、最高の色とされているとの事です。

   ・ 橙色は「爽やかさ、暖かさ、明るさ」を感じさせる色です。スーパーマッケトでは

    果物や野菜などの瑞々(みずみず)しさを感じさせ、新鮮さをアピールします。

  ⅱ) 暖色系は前に迫ってくる感じで、「進出色」又は「膨張色」とも呼ばれ、同じ大き

   さの他の物より、実際に大きく見えるそうです。

  ⅲ) 青で代表される寒色系は、水、氷、雪を連想させ、冷たい感じを与えます。

   寒色系の青は、「後退色」又は「収縮色」と言われ、遠くにある様に見えます。

   即ち、実物より小さく見せる効果があります。彩度の低い青系は「鎮静効果」がありま

   す。青系の空間では、時間がゆっくり進み、遅く感じられとの事です。

  ⅳ) 光を反射する白色(明度が高い)は、重さを軽く感じさせ、黒色(明度が低い)は

   重く感じさせます。ダンボールが白色なのは、運ぶ人に軽く感じさせる為と言われてい
 
   ます。

 ② 安全色彩について。

  JIS規格で指定された、公に用いられる色があります。

  交通標識や消火栓、災害防止や救急体制などに関わる色で、目立つ色で注意を喚起する

  色です。主に赤、黄赤、黄、緑、青、赤紫、白、黒の8色です。

  ⅰ) 道路標識では、路面に引かれた白、黄色、進行方向を示す、青と白、通行止めや

   信号機の止まれや速度制限標識、駐車禁止などは赤、鉄道等の遮断機は黒と黄色、緊急

   停止ボタンは赤で塗られています。

   ⅱ) 消火栓は赤、注意書きは黄色です。救護施設は緑色で表示されています。

    安全誘導(非常口表示)、担架の位置、安全旗、救急箱などは緑色で統一されていま

    す。放射能関連の貯蔵施設や、管理区域、廃棄作業では赤紫が使用されます。

 ③ 「配管系の識別表示」もJIS規格で定められています。

  石油や化学プラント等の様々な配管系では、作業の安全と危険を防止する為、作業者が

  識別し易い様に管に色彩が施されています。

  青は水、暗い赤は蒸気、白は空気、薄い黄はガス、灰紫は酸又はアルカリ、茶は油、

  薄い黄茶は電気の管や弁、継手を表します。

  ・ 船舶配管の識別。

   青は清水、緑は海水、鼠色は圧縮空気、銀は蒸気、赤は燃料油、黄は潤滑油、黒は酸素

   橙は電線管を表します。

以上は色に付いての一般的な話で、陶芸とはほとんど関係ありませんでしたが、次回から陶芸

に関する色に付いてお話したいと思っております。

以下次回に続きます。
  
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2 色の名前について

2018-12-26 09:36:23 | 色と陶芸
2) 基本的な色の分類

 JIS(日本工業規格)では「現代社会で必要とされる基本的な色の分類」として、「物体色

 の色名」が定められています。

 ① 「基本色名」は13種類です。

  赤、黄、緑、青、紫とその中間色の、黄赤、黄緑、青緑、青紫、赤紫の10種類と無彩色

  の白、黒、灰色の3種類、計13種です。

 ② 「系統色名」は上記「基本色名」に、一定のルールで修飾語を付けた言葉です。

  ⅰ) 色彩や明度に付けられた修飾語は以下の13種類です。

   鮮やかな、明るい、強い、濃い、薄い、柔らかい、くすんだ、暗い、ごく薄い、明るい

   灰味の、灰味の、暗い灰味のある色と表現します。

  ⅱ) 無彩色の明度に関する修飾語は以下の4種類です。

   薄い、明るい、中位の、暗い。

  ⅲ) 色相に関する修飾語は以下の5種類です。

   赤味の、黄味の、緑味の、青味の、紫味の。

 ③ 「固有色名」は顔料や染料等の原料名や、動物、植物、鉱物、地名等から転用された名

  又はそれより連想される名前を現した物です。

  例えば顔料であれば、「朱色、緑青、群青」等で、染料ならば、「紅、茜、藍」等です

  植物であれば、「桜色、山吹色」等で、動物では「鶯色、鴇(とき)色」で、自然界では

  「空色、水色、草色」等があります。

 ④ 「慣用色名」は「固有色名」の中で一般的に広く使われ、知名度があり社会的利用度も

  高い色名です。JIS規格にも和名147種、欧米色名122種が採用されれています。

  例えば、薔薇(バラ)色、桃色、小豆(あずき)色、海老茶色、レンガ色、錆(さび)色

  駱駝(ラクダ)色、栗色、土色、茶色、山吹色、萌黄(モエギ)色、瑠璃(ルリ)色、

  鉛色、菫(すみれ)色などです。

 ⑤ 「伝統色名」は、我が国で古来から使われ続けている伝統的な色名です。

  「和名大辞典」では日本の伝統色として、465色が掲載されているそうです。

  万葉の時代や江戸文化に生まれた名前や、明治以降の化学染料から付けられた名もありま

  す。身近な動植物から採用した物などが多いです。

  例えば、桜色、薄紅色、臙脂(えんじ)、韓紅花(からくれない)、浅葱色、小麦色、

  弁柄色、緋色、象牙色、黄金色、檜皮(ひわだ)色、亜麻(あま)色、鳶(とび)色、

  紺色、濃紺、狐色、玉子色、利休鼠、江戸紫など多数知られています。

   注;利休鼠:千利休に因み抹茶の色からの連想で、茶色を帯びた鼠色を言います。

     江戸紫: 武蔵野に自生する紫草で染められた紫色です。

 ⑥ 「基本色彩語」とは、どの民族でも小さい頃より経験より、自然に覚える基本色があり

   これらを表す言葉を言います。

   我が国では、白、黒、赤、青、緑、黄、茶色、紫、灰色、ピンク、オレンジ色の11

   種類を基本色彩語と言います。別名「経験の言語」とも呼ばれています。

 ⑦ マンセル記号で、色を指定する事があります。

   1905年にアメリカのアルパート・H・マンセルによって創案された物です。

   色彩を色の3属性(色相・明度・彩度)によって表現します。

   主に、塗装関係や、デザイン関係者、建材の見本色等を万国共通の色番号で指定する

   方法です。所定のカラーチップや番号(マンセル記号)で表示します。

   ここではも陶芸とはあまり、関係がないので詳しい事は省きますが、興味のある方は調

   べて下さい。

   マンセル色見本表(マンセル表色系)は市販されていますので、容易に入手可能です。

以下次回に続きます。


  参考文献: 「色の化学」日刊工業新聞社発行:五感教育研究所編著

  
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1 初めに 色に付いて

2018-12-24 11:39:04 | 色と陶芸
この世の中には、色が溢れています。色を感じる事の出来る人なら、何万種類の色を見る事が

出来る(識別出来る)とも言われています。各々の物には、それぞれ特有の色があり、又色が

付けられています。

色は人の心に何かを訴える場合も多く、心理的に色々影響を及ぼすからです。更に色の好みも

十人十色と言われています。単に一色のみでなく、複数の色を使い分ける事でより複雑に変

化します。


陶芸であっても、土の色を始めとして、釉の色、焼き上がりの色、炎の色等色に関する事項も

多いです。食器の色も食材を引き立て、更には食欲を増す効果があります。逆に色によっては

食欲を無くす事すら起こりえます。

特に施釉が必要な焼き物では、慣れない方だけでなく、長らく陶芸を楽しんでいる方も、どの

様な色を塗ったら良いか迷う事も多いです。

なぜなら、色の使い方によってその焼き物自体の良し悪しを左右する事も稀ではありません。

昔より、着物を着せる行為と言われています。即ち、「馬子にも衣装」と言う訳です。

今回からは、この色に付いて考え、私なりに述べたいと思います。

1) 色とは光である。

 ① 物に光が当たると、その一部は反射して我々の目に入ります。どの程度反射するかは

  その物質によって異なります。その反射した光が、目の網膜に当たり、光を受容する神経

  細胞によって、電気信号(神経信号)に変換され脳中枢部に送られ色を認識していると言

  われています。

 ② 光が何であるかはしっかり(はっきり)判っていません。

  昔より、ニュートンやホイヘンス、更にはアインシュタイン等の高名な物理学者が色々

  説明しています。例えば粒子でるとか、波であるとか、その両方の性質を持つ物とか等

  ですが、「いまだに明確な論理付けがなされていない」のが実情です。

 ③ 光の三原色と色の三原色(加法混色と減法混色)

  ⅰ)赤、緑、青が光の三原色と言われ、その三原色の混ざり具合によって多くの色が出来る

   事になります。この三原色が等分に混ざりあえば、「白」になります。即ち混ぜれば

   混ぜる程明るくなります。

   尚、色の三原色はマゼンタ(M=赤紫)、Y(黄=イエロー)、C(青=シアン)で印刷

   物で利用されています。等分に配合されると黒になります。即ち全ての光が塗った物質

   に吸収され黒色にまなります。混ぜれば混ぜる程、色は暗く「くすむ」できます。

   陶芸で使用する釉も色の三原色の範囲ですが、インクが主体の印刷物とは、異なる事も

   多いです。

  ⅱ)網膜には光(色)に共鳴する錘体(すいたい)があります。

   但し、人が見える光は、可視光線と言われ波長が360-400 nm~760-830 nmです。

    注:nm(ナノメータ)=ナノは10の-6乗です(10億分の1m)。

   赤(L)錘体(620~750nm)、緑(M)錘体(495~570nm)、青(S)錘体(450~495nm)

   で色を感知します。

   上記の様に同じ赤、緑、黄と言っても、感知する範囲に幅が有りますので、色には色

   各種存在する訳です。

   更に、万人が同じ色を同じ様に見ている訳では無く、個人によって見え方も若干異なる

   と言われています。画家の様に色に敏感な人がいても、不思議ではありません。

  ⅲ) 明度、彩度と色調について

   我々が色を表現する際、色の濃淡、明暗、鮮やかさ等を大まかな言葉で言い表します。

   これら明度と彩度をひっくるめて、色調(トーン)と呼びます。  

   尚、明度とは明るさの度合いで、彩度とは鮮やかさの度合いです。

以下次回に続きます。
 
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質問36電気窯不調について

2018-12-18 21:34:36 | 質問、問い合わせ、相談事
「はた」様より以下の質問を頂きましたので、当方なりの回答をいたします。

◎ 電気窯不調について

電気窯についての質問です。家庭用電源で使用できる電気窯を使用1年半で、温度が

1250度まで上がらなくなってしまいました。素焼きを含め45回の焼成(素焼き

750−800度、本焼き1250度)で、電熱線交換は早いと思うのですが、メーカーに

相談したところ、電気線に問題はないので、原因として、アグレッシブな釉薬の使用また

は、まだ乾燥しきっていない状態(釉掛けしてすぐに焼成)で本焼きをするから、電熱線の

劣化が早いのでは、とのことでした。

2酸化マンガンを使用した黒釉や酸化コバルト使用の青釉の自作釉以外は、通常の市販釉薬

を使っています。何度か灰釉を使いましたがテスト程度です。2酸化マンガン使用の釉薬で

電熱線の劣化が早まるということは、あり得ますでしょうか。

ご教授いただけましたら幸いです。どうぞよろしくお願い致します。

◎ 明窓窯より

 温度が所定まで上昇しないのは、電熱線の抵抗が大きく成ったのが原因と考えられます。

 即ち電気的抵抗値(R.単位オーム=Ω)が大きく成った為、電流値(I.単位アンペア)が

 減少した結果発熱量(ワット=W)が低下と見られます。

  ちなみに発熱量=電流X電流(電流値の二乗)X抵抗=IxIxRとなります。

  その為、電流の少しの増減でも発熱量に大きく関係します。

 尚、電熱線の抵抗はテスター(電圧、電流、抵抗が測れる)で測定すれば簡単に判ります

 それ故定期的に測定すれば細る状態を発見する事が出来ます。又窯に電流計が設置されて

 いれば、電流値が判ります。
 
 1) 抵抗が増大した理由は以下の原因だと思われます。

  ① 電熱線が腐食し一部又は全体が細くなった為。

  ② 電熱線を含む電気回路内のどこかで、接続不良が起きている。但し断線ではない。

  ③ 電熱線の一部が機械的(物理的)理由で摩耗し細くなっている。

 2) 上記の原因について述べます。

  ① 電熱線の腐食について。

   2酸化マンガンを使用した黒釉や酸化コバルト使用の青釉に、原因があるとは思われ

   ません。 2酸化マンガンや酸化コバルトは、釉の中に多量に含む事は少ない事と、

   揮発性が強い物ではない為です。

   メーカーが説明した「まだ乾燥しきっていない状態(釉掛けしてすぐに焼成)で本焼

   きをするから、電熱線の劣化が早いのでは」との見解が妥当と思われます。

   特に施釉直後ではなく、出来るだけ一晩程度窯の中に放置する事を勧めます。

   その際、窯の扉は開けて少しでも湿気を逃がします。

   ⅰ) 高温の水蒸気は電熱線を痛めます。

    素焼きでも本焼きでも大量の水蒸気が発生します。一般の技術書では400℃程度ま

    で蒸気抜きを行う様に説明されていますが、当方では500℃程度まで行っています

    窯を早く密閉し、温度を早く上昇させたいのは判りますが、十分蒸気を抜いた方が

    その後の温度上昇が早くなります。

   ⅱ) 電気窯の場合、蒸気抜きが有れば、この温度程度まで開けておくか、無い場合

    には、扉を少し開けておく必要があります。尚、煙突のある窯であれば、煙突から

    も多少蒸気が抜けますが、やはり扉などを開けておく方が正解です。

   ⅲ) 水蒸気は温度が高くなるに従い、腐食性(酸化、錆)が増大します。

    それ故、水蒸気の発生がなくなるまで、窯を密閉しない事です。

    尚、水蒸気は冬であれば、肉眼でみる事が出来ますが、ガラス等を近付けると曇り

    ますので、容易に有無が確認できます。

   ⅳ) 使用しない窯の中も常に乾燥させておく事。

    金属類(電熱線など)は湿気に弱く、例え高温でなくても腐食されます。

    それ故、湿気が籠らない様に、使用しない場合でも、窯の扉を開けて通気する事が

    大切です。窯は湿気を嫌います。

   ⅴ) 施釉した作品を窯詰めの際、作品が電熱線に当たり、釉が電熱線に付着したま

    ま、通電すると釉が溶けて電線を痛める場合もあります。通電する前に綺麗に拭き

    とっておきます。通電した後では容易に取れません。

  ② 電熱線を含む電気回路内のどこかで、接続不良が起きている。

   電熱線同士、または他の電線との接続部分が接触不良を起こすと、その部分の抵抗が

   大きくなります。結果的に全体の電気抵抗が増します。

   接続部分にはコネクター、ねじ止め、カシメ(圧着)があります。常日頃より、この

   部分に緩みが無い事を点検する必要があります。

  ③ 電熱線の一部が機械的(物理的)理由で摩耗し細くなっている。

   窯詰めの際、狭い空間では作品と電熱線が接触する事があります。電熱線を傷付ける

   とその部分の抵抗値も上がります。又、窯の壁や扉に張り付けてある電熱線が、何ら

   かの理由で宙ぶらりんになり、壁と接触しすり減る事も起こりえます。この様な状態

   では、電熱線は次第に摩耗し細くなり、抵抗値も大きくなります。電熱線の状態も確

   認する事もお勧めします。


以上参考にして頂ければ幸いです。

   
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