わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

陶磁器の絵付け (金彩、銀彩) 2

2010-01-14 21:43:32 | 作品の装飾と陶磁器の絵付け
陶磁器の金彩、銀彩について、話を進めます。

 ) 金液を塗る方法

    金液や、銀液(白金液、パラジウム液)は、市販さている物を、使う事が、ほとんどだと、思います

    メーカーによって、色々な液が有り、金の含有量にも、差が有ります。   

  a) 絵付けする前に、作品に水、油、ホコリ等が、付着していないか、確認してます。

    これらは、焼成後のピンホールや、発色不良の、原因になります。

  b) 希釈剤は、絵付けの方法に合わせて、調整します。

    広い範囲を塗る時や、筆むらが、気になる時は、金油等の、遅乾性の油を、少量(10%以下)

    加えます。細い線等、金液が、広がらない様に、したい時は、「ベンゾール」等の、速乾性の油を

    少し(10%以下)加えます。

  c) 本焼きした、陶磁器の釉面に、絵具(金液)を水で、溶かしただけでは、釉面が弾いて、

    描きにくい事があります。

    その時は、アルコール(薬局で市販)などで、釉面の油を拭き取ると、スムーズに描けます

    (又、「ゼラチン」を水で溶き、筆などで、釉面に塗り、上絵付けをすると、弾かなくなります。)

  d) 金液を、容器など(金チョク、金液を小出しして、入れるガラス容器)に、少量取り、原液又は、

    適量の金油を、溶剤で希釈して、筆などで塗ります。

    金液塗布後、指で触っても、付かなくなる程度まで、乾燥させてから、焼成します。

 ) 金液の焼成時の注意

  a) 上絵付けや、金彩、銀彩は、素焼と同じ位の、温度で焼成しますが、素焼と一緒に焼く事は、

    出来ません。

    素焼では、大量の水蒸気が、発生します。この蒸気が、絵付けに、悪い影響を、与えます。

    絵付け専用の窯(錦窯)であっても、使用時には、窯道具類も、十分乾燥させて置きます。

  b) 窯は、理想的には、電気の窯が、良いと言われています。

    酸化焼成で有る事、炎が出ない為です。一般に、酸化焼成で、冷却速度も、やや速い方が、

    良い色が出ると、言われています。

    但し、金マットではない、金液を塗り、還元焼成すると、マットに成ります。

  c) 炎の出る窯では、炎が直接当らない場所か、「サヤ」などに入れて、焼きます。

    炎に当ると、釉面が、汚く成ります。   

  d) 金液に含まられる、接着剤や溶剤から、燃焼ガスが、発生する為、ガスが 発生しなくなる温度

    (400~450℃)まで、ゆっくり(100℃/時間)温度上昇させ、窯の扉も、少し開け、ガスを、

    逃がします。

  e) ガスの発生が、止まったら、窯の扉を閉め、各種素地に、適した温度まで上げ、窯の中の温度が

    均一に成るようにします。

    設定温度に成ったら、5~10分程度保持し、電源を切り(火を止め)、自然冷却します。

    (窯の中が、覗ける場合には、絵の具が、熔けて光る事を、確認します。)

  f) 素材に対する、標準的な焼成の適温は、次の通りです。

     磁器・・750~850℃、 半磁器・・600~650℃、 陶器・・650~750℃、

    焼成温度が、高過ぎると、金属皮膜が、損なわれ、低過ぎると、付着力が、不十分で、

    取れ易くなります。

  g) 銀液、白金液、パラジウム液の、焼成温度は、一般的には、750℃です。

    マット金、艶消しパラジウムは、800℃です。

    銀液や、マット金などは、焼成後に、「ジルコンサンド」等で磨く事により、金や銀特有の

    落ち着いた色を、呈します。

    尚、銀は、しだいに酸化して、変色し黒くなりますので、その際は、再度磨します。

  以下次回に続きます。
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6 コメント

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銀彩の焼き直し (中島大輔)
2011-10-18 08:26:44
私は、下関市で陶芸をやっている中島と申します。ブログが大変参考になりました。銀彩に挑戦中なのですが、明窓窯のブログをもっと前に読んでいれば失敗することは無かったと思います。できればひとつ教えてほしいのですが
失敗した作品は再度本焼きすればまた銀彩を塗って焼き直せるときいたことがあります。
やってみたいのですが、焼き直しの作品をほかの作品と一緒に本焼きの窯にいれても問題はないでしょうか、焼き直しと一緒に入れた作品に窯の中で、焼き飛んだ銀が影響をあたえることはあるのでしょうか?たとえば、銅が隣の作品に飛ぶような影響です。あつかましいメールをもうしわけありませんが、教えていただけると幸いです。
銀彩の焼き直し 1 (明窓窯)
2011-10-21 21:31:26
中島様より頂いた質問についてお答えいたします。
先ずお断りしておきますが、銀彩の焼き直しの経験がありませんので、確実な事はお話できませんが、おおよその予想が付きますので、お答えします。
銀彩した物を本焼きすると
① 銀の融点は961.93℃ですので、釉の融点よりも低く先に熔けて流れ落ちてしまうと思われます。(流れ落ちる先に注意)
② 皿など平らな物は、水滴状に成ると思われます。銀は釉より比重が大きく重い為、釉が熔けるに従い埋没してしまうと思います。
③ 確かに、銀の蒸着と言う技法がありますが、真空中で高い温度で行います。以下続きます。
銀彩の焼き直し 2 (明窓窯)
2011-10-21 22:17:11
④ 銀は銅に比べ蒸発し易い傾向にありますが、銅の転写現象は、普通の窯詰めでは、頻繁に起こる現象では有りませんし、使っている銀彩の量と銅釉の量を比較すると、圧倒的に銅の量の方が多いはずです。即ち、転写する確立は少ないと思われます。
(銀彩の量、窯の大きさ、隣との距離などが不明ですので、確実な事は申せませんが・・)

⑤ 本焼きを覚悟しているならば、削り取ってしまう方が確実ではないでしょうか。(すでに実施済みかも知れませんが・・)即ち、金、銀彩赤絵の皿等は、「たわしや磨き粉で洗っていけません。」と言われています。剥れてしまうからです。紙、鉄鋼、ダイヤモンドやすり(100円ショップに有り)等や、歯磨き粉を使い、削り取ります。マスキングをしても周囲を傷つけますが、本焼きをすれば、修復できます。車の傷の修復で使うコンパウンドで磨けば、本焼き不要かも知れません。

この方法が一番確実で安全策と思われます。削り取るのにはさほど苦労は無いはずです。

⑥ その他塩酸などの強酸で、溶かす方法もありますが、入手難や危険が伴います。(尚、釉は酸に強いです。)

以上思いつくままに述べましたが、参考にして頂ければ有り難いです。
金彩、銀彩について (楊 鋆)
2014-04-30 17:56:18
何回も読ませて頂きました、大変勉強になりました。
ありがとうございます。
陶芸教室へ訪問することは可能ですか?
金彩の消去 (杉山 哲雄)
2015-04-28 07:34:47
 印鑑(象牙)に施した「金彩」を完全消去したいのですが、そちらで可能でしょうか?。
金彩の消去に付いて (明窓窯)
2015-04-28 14:40:14
杉山 哲雄 様  コメント有難う御座います。

「印鑑(象牙)に施した「金彩」を完全消去したい」とのご要望ですが、当方で行う事は出来ません。

尚、当ブログで取り扱っているのは、金彩した作品を焼成する事で、焼き付ける方法です。

当然、象牙ですので焼き付けた訳ではなく、漆(うるし)や膠(にかわ)で接着した物と思われます。

それ故、その接着剤を溶かす方法で除去するのが本道です。

その為にそれらを溶かす溶剤を取り扱う店などを、ネット上で検索し、可能性を検討して下さい。

更に、印鑑に金彩された物が、本物の金で無い場合が考えられます。

即ち、釣道具やさんで釣竿に蒔絵(まきえ)を施す為に偽者の金(銅の合金など)が市販されています。それらは、新漆で接着する方法です(新漆が含まれる金液もあります)その様な金の可能性も高いです。この様な場合には、溶剤も市販されていますので、釣具店と相談して下さい。

注意点は、溶剤で象牙が化学変化を起こし、変色する事です。その場合は物理的な方法で除去する事です。

即ち、肌理の細かい「紙やすり」等で削り取る事です。表面に傷が付いたら、「バフ研磨」で更に磨きます。

以上、ご自分で取り除く事はさほど難しくは無いと考えられます。

参考に成ったでしょうか?

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