わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

造る23(轆轤挽き16、萩茶碗2)

2013-01-30 23:02:39 | 陶芸入門(初級、中級編)

萩藩主の毛利輝元(1553 - 1625年)は当時の大茶人であり、代々の藩主も茶の湯に造詣が深く

その影響で萩焼は、茶陶(茶碗、水指など)のみを生産する窯場となっています。

江戸時代に、萩では藩の御用窯として「坂窯」、「三輪窯」が設けられ、藩主専用の器物を作ったり、

藩の産業保護の目的で設けられました。

3) 萩の茶碗を造る。

  ① 萩で使う土は大道土(だいどうつち)と呼ばれる、砂礫の多い白色の土です。

    防府市(ほうふし)の大道(おおど)付近で採掘され、鉄分を多く含み、「パサツキ」感があり

    ながら、可塑性に富み、柔らかさのある土です。

    防府市は萩より遠い場所(60km離れた場所)ですが、良い土を求めて見出した土です。

    この土は、花崗岩が風化した土で、粘りは少なく、耐火度が高く、1,600℃以上にならない

    と完全には焼き締まらないという事です。萩焼では、その大道土を1,200度程度の低温で焼き

    ますので、素地の収縮が少ない為、半焼け状態になります。 

   ・ その他に鉄分の多い見島土や、耐火度を高める金峯土(みたけつち)(阿武郡福栄村金峯山

     産)などの土に、それぞれの窯元の近くで採れる、地土を混ぜて使っています。

    注: 見島(みしま)は萩市の沖合45キロメートル、日本海に浮かぶ島です。

  ② 萩の茶碗は高麗茶碗を写した(模倣した)形や色の物も多く、「井戸茶碗」の中にも、萩が

     多く化けて紛れ込んでいるとの事で、貫入とは別の意味で、「萩の七化け」とも言われています

  ③ 萩焼には、古典的な古萩(こはぎ)、淡い紅色に仕上がる紅萩(べにはぎ)、胎土に小石や

    小砂混ぜて荒々しく仕上げた、鬼萩(おにはぎ)などがあります。

   ) 古萩は、高麗茶碗(井戸茶碗など)をモデルとした茶碗で、江戸前期に人気を博した焼き物

      です。

   ) 紅萩は、大道土が使われる以前から使われていた、鉄分の多い小畑土(萩の小畑で採れる

      土)を使い、白い釉を掛ける事により、 紅色を出しています。

      土の調合と、焼成のバランスによって微妙に変化します。

   ) 鬼萩は、見島土に荒ら砂や小石を混ぜ、成形後に白化粧掛けを行い、素焼き後に藁灰釉

     (わらばいゆ)を掛けて、酸化焼成した作品です。

     砂や小石を入れる割合によって、荒々しさの度合いが変わります。

    ・ 人間国宝の三輪寿雪(11代三輪休雪、1910~2012年)氏によって、新たに作りだされた

     萩茶碗です。

  ④ 伝統的な茶碗と、切り高台(削り高台)、十字高台、割高台

    萩焼の茶碗には三島手・粉引手・刷毛目・伊羅保などの朝鮮半島の陶器の風合いを持つ

    高麗茶碗の強い影響があり、切り高台や割り高台などの特徴を持っています。

   ・ 十字高台は、高台の輪の一部を切り取った割高台と異なり、平たく丸く削り出した高台に

     十文字の溝を切り、四分割した高台です。

以下次回に続きます。

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造る22(轆轤挽き15、萩茶碗1)

2013-01-29 22:21:22 | 陶芸入門(初級、中級編)


 萩焼きは、山口県萩市を中心にした窯場で作られる陶器です。

1) 歴史的には、文禄二年(1593年)に毛利輝元が、朝鮮から李勺光(しゃっこう)と李敬の陶工

   兄弟を連れ帰り、萩の城下に窯を築かせ茶陶を焼かせた事が起こりと言われています。

   勺光は早世してしまいますが、弟の李敬は「坂」姓を名乗り、後に藩主より「高麗左衛門」の

   名前を拝領し、初代の「坂高麗左衛門」となります。

2) 萩焼の特徴

  ① 茶の湯の世界では、昔より「一楽、二萩、三唐津」と言われておている事はご存知だと思い

    ます。 これは、茶の湯で使う抹茶々碗を良い(と思われる)順序で並べたものです。

  ② 萩茶碗が二番目にランクされた理由は、人により諸説ありますが、一般的には次の事が

     挙げられます。

   ) 「茶慣れ」の良さ。

      貫入(ひび)の影響で、使えば使う程茶碗に趣が増し、茶人の間では『茶慣れ』と言われ、

      珍重されています。

   ) 素朴で温か味があり、柔らかく「ザックリ感」のある器肌は、熱伝導が悪く、熱を逃がさず

      更に、手に馴染み易い器です。  

   ) 派手さが無く、「侘び、寂び」の世界に見事に溶け込んでいる器です。

      特に絵などの意匠も無く、釉一色で地味な感じですが、近年鬼萩と呼ばれる荒々しい

      茶碗が、 十一代三輪休雪氏によって発表されています。詳細は次回に述べます。      

   ) 高麗茶碗の風情を残している事。

      朝鮮で焼かれた高麗茶碗は、井戸茶碗を始め、粉引茶碗、割高台茶碗、三島茶碗など、

      種類も多く、長らく我が国の茶の湯での茶碗として使用され、珍重されていました。

      その高麗茶碗に強い影響を受けている萩茶碗も、茶の湯で重要な働きをする事になります。

   ) 萩の七化け

      土と釉の収縮差によって起こる「貫入」は、使うに従い茶が染み込み、「経年貫入」となり、

      茶碗の表情を徐々に変化させ、肌の色も変化して行きます。又、高麗茶碗の様に化けて

      行くとの意味も含んでいるそうです。

③ 萩焼の欠点。

    ) 焼きが甘く焼き締めが弱く、胎土も柔らかい為、強度的に弱い。(壊れ易い)

    ) 釉に「ひび」(貫入)が入り、そこからお茶や水が、浸み込み、水漏れも起こし易く

       茶碗が汚れ易いです。尚、水漏れはそれなりの対策を取るか、多く使う事により、次第に

       少なくなる様です。

3) 萩の茶碗を造る。

以下次回に続きます。

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造る21(轆轤挽き14、志野茶碗5)

2013-01-28 21:41:33 | 陶芸入門(初級、中級編)

6) 志野の焼成に付いて。

   後に人間国宝に指定される荒川豊蔵氏(1894~1985年)は、1930年に桃山時代の志野を

   焼いていた窯跡、大萱古窯跡(岐阜県可児市久々大萱)を発見し、その場所に当時と同じ構造の

   窯を築き、志野の再現(復活)を目指して、制作に没頭し再現を果たします。

  ・ 現在では、昔ながらの窖窯(あながま)で焼成している作家もいますが、多くの作家はガス窯を

    使用しています。ガス窯でも、桃山期の志野と遜色ない作品を作る事が可能と言われています

  ① 桃山時代の作品は窖窯(あながま)による焼成でした。

   ) 大萱古窯やその近辺の窯の調査で、山の傾斜を利用した窖窯で焼かれていた事が判明

     します。側(そば)に谷川が流れ、北西方向が開けた山中や山頂付近に築かれていました。

    志野は高温で焼きますので、谷川(又は沢)から山に昇って行く強風や、北西風(季節風)

    を利用していました。

   ) 構造は分炎柱(ぶんえんちゅう)と呼ばれる天井を支えながら、炎を左右に分けて窯全体を

      均一に暖める様式で、胴が太く尻尾から急に細くなる魚の「あんこう」の様な形をしています

      耐火度があり、砂気のある粘土で築かれていました。

   ) 当時の陶片から1260~1300℃で焼成された事が推察されます。

      当然、匣鉢(さや)に入れ、灰の掛かるのを予防します。

    ) 現在でも桃山時代と同じ場所で、同じ構造の窯で志野を焼いている人もいます。

 ② 現代の志野の焼成。

    人間国宝の鈴木蔵(おさむ)氏ら、多くの作家達はガス窯を使って焼成しています。

   ) ある著名な陶芸家の場合、分厚い壁の窯で、五日間焚いて五日間冷ます工程で、ゆっくり

      温度上昇させ、ゆっくり冷却する事が志野を成功させる「コツ」と述べています。

      この陶芸家は、ガス窯にも関わらず、さや匣鉢(さや)詰めで焼成する事により、緋色が

      出易くなったそうです。

    ) 別の陶芸家の場合は、美濃で「セリ」と呼ばれる攻め焚きで、一時間に5℃と言うゆっくり

        したスピードで、温度上昇させ、約30時間掛けて、1250℃まで上げます。更に一日

       その温度を保持し、火を止めずに18時間を掛けて900℃まで還元冷却し、火を止めます

       この冷ましの際に、緋色が出るとの事です。

     ) いずれにしても、途方も無い長時間の焼成が必要な様です。

7) 緋色について。

   志野の緋色は、土や釉の中の鉄分の作用と考えられていましたが、人間国宝の鈴木蔵氏は異を

   唱えています。焼成実験を繰り返してその結果を得たとの事です。

   即、土と釉の成分を厳選し、徹底的に鉄分を除去した作品を焼成し次の結論を得ます。

    ① 焼成の仕方(焼成時間、冷まし時間、還元焼成の有無)によって、緋色の出具合に差が

      出る。作品は匣鉢(さや)詰めが良い。

    ② ゆっくり時間を掛けて、900℃位まで冷却すると良い。

       但し、それ以降は冷却を早めないと、緋色が飛んでしまうそうです。

    ③ 冷却時間には、還元を掛ける。

    ④ 鉄での着色は1250℃が限界で、それ以上では発色せずに、飛んでしまうそうです。

8) 茶碗は手取り(手に持った時の感じ)が大切です。

   ① 重さ(出来上がり時)は530~550程度が最適です。(作品の大きさにもよります。)

   ② 志野釉の厚みは5mm程度有りますので、重くなり勝ちで、いかに高台脇を削り取るかが

      課題に成ります。

   ③ 志野茶碗の特徴の一つに豪快さがあり、どうしても重くなり勝ちです。

   ④ 持った時のバランスも重要ですので、削りや削ぎ(そぎ)の最中や、終了後には常にバランス

     を確認する必要があります。

 尚、著名な志野の作家達には、荒川豊蔵氏。加藤唐九郎氏。加藤孝造氏。鈴木蔵氏。若尾利貞氏。

  林正太郎氏らが、個性豊かな作品を造っています。

以上にて志野茶碗の話を終わります。

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造る20(轆轤挽き13、志野茶碗4)

2013-01-26 17:25:39 | 陶芸入門(初級、中級編)

4) 志野釉に付いて。

  ① 素焼きは、800度程度の温度で焼成します。

    尚、艾(もぐさ)土を単味で使用する場合は、「素焼き切れ」を防ぐ為に、360~370℃程度で

    素焼きを行うとの事です。

    (420~430℃程度で盛んに水分が蒸発し、急乾燥とその衝撃により肌理の粗い艾土は、

     耐えられずに、素焼き切れを起こすそうです。)

   ) 鼠志野や赤志野などの場合の化粧土は、素焼きの前に行う方が安全で確実です。

   ) 絵志乃の場合には、素焼き後に絵付けを行います。

      一般的な絵柄では、竹の子、竹、とくさ、蕨(わらび)、すすき(芒)などの植物や、山、月、鳥、

      雁(がん)などの自然界なもの、更には抽象的な丸や三角、四角、井桁文様などが多い様で、

      濃い目の弁柄(ベンガラ)などの、鉄分の多い絵の具を筆で描き、絵が乾いたら長石釉を

      掛けます。

  ② 志野釉には不明な点(技術が公開されていない秘密の部分)が多いです。

   ) 志野釉は長石釉で長石を単味で使用すると文献等に記載されていますが、カリ長石

      (正長石)の融点は、1533℃、ソーダー長石は1528℃、灰長石では1553℃程度とされて

      います。実際には、不純物が含まれていますので、上記の温度よりも低くなりますが、

      1300℃以上は、必要ではないかと言われています。但し軟化点は1250℃前後です。

   ) 長時間焼くとは言いながらも、焼成温度は1250℃程度の様ですので、長石を単味で使用

      しても、十分熔けないはずです。更に釉は他の焼き物より、厚く掛けてありますので、熔け

      不足が生じそうですが、見事に焼き上げている作家も多いです。そこには何らかの秘密が

      隠されているはずです。当然その秘密は公開される事はありません。

      (各作家達が、長年の試行錯誤によって、手に入れた調合方法です。)

   ) 美濃の林正太郎氏は、現在を代表する志野の第一人者ですが、彼はインドのカリ長石を

      使用しているとの事です。耐火度が割合低く透明性があり、絵志野向きとの事です。

      カリ長石は粘りが少なく、これを補う為、数%のカオリンを混ぜています。更に、粘土質の物を

      入れると、緋色が出易いとも述べています。

      もう一つは、風化長石を使い、乳濁したマット調の柔らかい焼き上がりに成ります。

      耐火度は高くなります。尚、彼は八種類の長石を組み合わせているとの事です。

   ) 原材料の長石は、槌(つち)で良く衝いて細かく粉砕した状態で使用します。

      長石を選ぶポイントは、鉄分が少ない事、粉砕し易い事、及び水の中で余り沈殿しない事

      で、良く熔けて透明性があり、貫入が入れば上等の長石です。

     ・ わが国には、著名な長石の他に、多様な長石や石粉(いしこ)と呼ばれる半分解物

       (風化物)が、各地の窯場所に存在しています。

       例として、三河石粉、波佐見石、尾張白川石、サバ土、釜戸石粉、千倉石、肥前網代土

       などが上げられます。

5) 施釉に付いて

   原則、生掛けはせずに素焼き後に施釉します。生掛けですと、一時間後には釉が素地から剥がれ

   落ちます。(釉の濃度も大きく関係します。)

  ① 志野茶碗の施釉しない場所は、高台際と高台及び、高台内です。この部分は素地がそのまま

     露出します。これを「土見せ」と言います。高台際も整った円形ではなく、不定形に施釉します

  ② 志野茶碗の高台は、低いものが多く、施釉する際に高台が持てません。

     その為、五本の指で腰の部分を鷲掴み(わそずかみ)して、施釉する事になります。

  ) 志野釉は極端に流動性の無い釉ですので、釉を掛けた状態で焼き上がります。

     即ち、施釉時の指跡がしっかり残ります。補修を試みても指跡を完全に消す事は困難です。

     もっとも、この指跡が、志野茶碗の見所の一つで指跡部を正面にしている作品も多いです。

      (作品集などの写真をみると、指跡が正面に写っている作品が多くあります。)

  ) 凹凸のある状態で施釉が終わると、そのまんまの形を維持します。

      その為、二重掛けで施釉すると、釉の濃淡がしっかり出ます。

 ③ 施釉の仕方。

  ) 濃度を調整する。作品に応じて濃淡二種類の濃度を重ね掛けする事も有ります。

  ) 茶碗の内側に釉を流し込み、一定の時間(数秒)後に釉を捨てます。

      茶碗をしっかり持ち、外側を柄杓で流し掛けします。その際、高台周辺は塗り残します。

    ・ 他の方法として、外側を漬け掛けする方法があります。流し掛けより時間の調整が容易で

      釉を厚く掛ける事が出来ます。又、薄目の釉を掛けた後、部分的に濃目の釉を流し掛ける

      事により、より変化のある釉掛けが出来ます。

  ) 釉掛けが終わった作品には、クレエーターの様な穴が開く場合があります。

     これは、胎土に含まれる空気が、釉の水分によって押し出され、釉の表面から抜け出した

     跡です。高い温度で焼成しても、流動性の無い志野釉では、そのまま現れ残します。

     尚、他の焼き物の場合には、指などで気泡跡を潰します。

6) 志野の焼成に付いて。

以下次回に続きます。

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造る19(轆轤挽き12、志野茶碗3)

2013-01-25 21:54:58 | 陶芸入門(初級、中級編)

3) 志野茶碗を造る。

 ③ 削り(削ぎ)作業に付いて。

    志野茶碗は、削りや削ぐ(そぐ)行為によってその真価を発揮します。

    これらの作業は、形を作る(形を整える)だけではなく、志野茶碗特有の「ぶつぶつ」感のある

    釉を出現させる為には、是非とも必要な作業です。

  ) 形を作る為の削りと削ぎ。

     轆轤挽きされた茶碗は、次に形作りの工程に成ります。

    a) 口造りが行われていない場合や、器の変形が行われていない場合には、その作業を行い

       ます。(轆轤挽きの際に行われていれば、この項目は終わっています。)

      ・ 変形や削り作業には、最適な乾燥時を選ぶ必要があります。乾き過ぎると硬い感じの

        茶碗になってしまい、ひびを起こす恐れもあります。季節や気候、周囲の環境によっても

        左右されますので、常に一定の時間ではなく、臨機応変に対処する事です。

      ・ 器の変形は、側面を両方の手の平で押して、全体を歪めたり指で押して、三角、四角

        (菱形)、五角、六角形などにしますが、左右対称にはしない事です。

      ・ 口造りは、削ぎ用のカンナやへら(木製)を使い、手轆轤を回転させながら、高低差を

        つけます(山道とする)。その際、内側がやや低くなる様に斜めの角度を付けます。

      ・ 口縁の切り口は、指で摘んで押さえ、土を締めます。次に胴部を軽く叩き形を整えたり、

         親指で胴部を押して凹ませて、形にアクセントを付けます。

       b) 胴部や高台際などに、へら目や削ぎを入れる。

       少し乾燥させてから、へら目を入れる場合には、ある程度の力が必要ですし、へら目も

       硬い感じに仕上がります。

      ・ 削ぎは胴体部分と腰及び高台周りの部分です。木へら(赤松)を使って削ぎ取ります。

       幅の大小あるへらを適宜使い、胴を垂直や斜め方向に削ぎ落とします。全体の形を見な

       がらの作業に成ります。なるたけその部分は一度で終わらせる様にします。

       へらの削ぎ跡も茶碗の見所に成ります。

      ・ 高台は一般に削り出しで行いますが、底が薄くなった場合には、付け高台にします。

        シッタに載せて高台際を削りますが、削れる量を予め見極めておく必要があります。

        片手の親指と中指で厚みが解かれば良いのですが、深い茶碗の場合には、針などを

        突き通して計る場合もあります。高台際は「ザックリ」切落とします。

      ・ 高台径の当たりを付けてから、その外側を削り(削ぎ)ます。次に高台内を削ります。

        高台は低めの輪高台が一般的ですが、近年「碁笥底高台」にする人もいます。

        但し、完全な円形ではなく、ある程度の歪みが有った方が趣があります。

        畳付きも適度に削り変化を持たせます。

     c) 削ぎ目の効用。

        艾(もぐさ)土を削ぐと、土は「ささくれ」立ちます。

      ・ 釉が掛からない、高台際と高台は、「ささくれ」状態がそのまま現れます。

        これも、志野茶碗の見所の一つに成ります。

      ・ 志野釉の掛かった部分は、「ぶつぶつ」感のある器肌(梅花皮状)に成ります。

        これは、削ぐ事により轆轤挽きした際に出来た滑らかな器肌が荒され、焼成時に、

        艾土内の空気の細かい泡が、表面に押し出されますが、流れ難い志野釉に邪魔され

        押さえられながらも、強引に釉を突き抜けた跡(針で突き刺した様な小さな穴)です。

        流動性の無い為、跡が塞がらない状態に成ります。

        茶碗の内側(見込み)は削ら無い為、「ぶつぶつ」は生じません。

      ・ 志野釉が縮れた状態にも成りますが、これも削ぐ事により荒らされた表面に、釉が

        平滑に載らない為に、集まって来たとも考えられます。 

      ・ 何れにしても、削りや削ぐ行為によって志野特有の器肌に成ったものです。

4) 志野釉に付いて。

以下次回に続きます。

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造る18(轆轤挽き11、志野茶碗2)

2013-01-24 22:36:07 | 陶芸入門(初級、中級編)

3) 志野茶碗を造る。

 ① 土の種類: 従来艾(もぐさ)土と呼ばれる粘土を、単味で使っていましたが、現在はほとんど

    産出されず、限られた作家のみが使用している状態の様です。

    尚、艾土は、珪砂を含む蛙目質の粘土で、「ザックリ」感があり、箆目(へらめ)や削目(そぎめ)

    などの土味が必要な志野には、欠かせない土と言われていました。

    しかし、現在では市販されている数種の志野の土をブレンドして、艾風の土を使用している人が

    大多数でます。又、練り合わせの際に、真空土練機を使うと、「ザックリ」感が損なわれる為、

    使わない作家もいます。

 ② 志野茶碗の形と轆轤挽き。

    一般に、志野茶碗のイメージは、腰が張り、轆轤目の少ない半筒茶碗ですが、椀形(わんなり)

    の茶碗もあります。 

  ) 轆轤挽きで半筒形に制作する。

     伝統的な手回しの轆轤を使う作家が多いですが、電動轆轤を駆使している作家も大勢

     います。腰の無い(弱い)艾土は、低速で回転するのが轆轤挽きの極意の様です。

   ・ 轆轤作業は他の茶碗作りと同じ工程になります。即ち、土殺し、土取り、穴を開ける、

     底を作る、底を広げる、腰から口まで挽き上げながら徐々に肉を薄くする、挽き上げる度に

     口縁を締める、口の形を整える等の手順を踏みます。

     轆轤挽きの方法は、人により各自異なりますので、詳細は省きます。

   ・ 腰が張った形にするには、茶碗の土台となる底や腰の部分を、力を込め(土を締め)更に、

     時間を掛けて整形する必要があります。

     腰から上の土はほぼ垂直に挽き上げ、徐々に薄く延ばします。

   ・ 厚めに轆轤挽きし、轆轤目を付ける。

     垂直に伸びた土をやや内側に倒し、口縁をやや捻り出して反らします。

   ・ 茶溜りを作ります。右手の指で中央を押しながら、外側にずらせて作ります。その際、親指で

    行う人と、中指を使う人あるいは、ヘラ等の道具を使う人等そのやり方は様々です。

   ・ 轆轤目を付ける場合でも、右手親指を外側に掛けて、他の指を内側に掛けて、摘み上げ

    ながら轆轤目を付ける人、両手を使って付ける人等など、やり方は色々あります。

  ) 椀形の茶碗を挽く

    半筒茶碗より、背が高く腰の張りも少なく、口径もやや小振りで、丸味のある茶碗です。

    ・ 口を締めながら、内側に向け太鼓形に挽き上げます。

    ・ 茶碗の中央部に、半筒茶碗より荒目に2~3本の轆轤目を付ける。すると腰と轆轤目の上が

     少し張り出した形に成ります。

  ) 同じ志野茶碗といっても、作者によって大きな違いがあります。

     即ち、おとなしい感じの作品と、荒々しさを表に出した作品です。

     後者の場合には、轆轤成形時に、へら目を入れたり、口を針で切り取り山道を作ります。

     又、あえて綺麗な円形を壊し、変形させる場合もあります。変形は轆轤挽き時にやる場合と、

     轆轤より切り取り、ある程度乾燥させてから行う方法があります。

     何れにしても、両手の手のひらや指を使って変形させます。

  ③ 削り(削ぎ)作業に付いて。

    志野茶碗は、削りや削ぐ行為によってその真価を発揮します。

以下次回に続きます。

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造る17(轆轤挽き10、志野茶碗1)

2013-01-22 16:44:24 | 陶芸入門(初級、中級編)

志野は岐阜県土岐市近郊の九尻(くじり)から山間の大萱(おおかや)、大平(おおひら)にかけての

地域の窯で、桃山時代~江戸初期の短い期間に焼かれた焼き物で、主に茶陶を中心にし、美濃焼き

と呼ばれています。制作場所は不明で、制作方法は長らく途絶えていましたが、1930年に荒川豊蔵

氏(1894~1985年、人間国宝)によって、窯跡が特定され、更に志野の復元に成功します。

1) 志野の起源。

  天正年間に九尻窯の加藤四郎衛門景延が、朝廷に白薬手(しろくすりて)の茶碗を献上したのが

  起こりとされています。志野の黄金時代は、桃山時代ですが、室町末期ごろには焼かれていた

  ようです。それらは、現在志野と呼ばれる作品とは異なる、白い陶器です。

2) 志野の特徴

  ① 素地は艾(もぐさ)土と呼ばれる、ザックリとした白土で、半透明の白い長石釉が掛かって 

    います。口縁や釉際には緋色(火色)と呼ばれる、ほんのり赤みを帯、美しい景色に成って

    います。 尚、現在では、艾土はわずかしか産出せず、手に入れる事はほとんど不可能です。

     注: 艾とは蓬 (よもぎ)の葉を乾燥して綿状にして灸に使うもので、志野の高台廻りの土見せ

         部が艾の様にしっとりと、柔らかく見える処から付けられた名前です。

  ② 釉は長石を主体とし、すこぶる厚く掛け、釉肌に細かい穴(針で突いた様な穴)が有るのが

     特徴で、鬼板などで簡単な鉄絵が褐色に浮き出て、効果的な装飾に成っています。

     文様の無いのを無地志野、絵付けのあるのを絵志野と呼んでいます。

     絵志野では国宝の「卯花墻」(うのはながき、筒茶碗)が有名です。(大萱の牟田洞の産)

    ・ 志野茶碗 銘「卯花墻」: 高さ 9.6 口径 11.7 高台径6.3 cm

      轆轤で筒形に成形後、箆(へら)と手捻りで絶妙な変化を与え、口造りは小さく捻り返しで、

      起伏(山道)を付けています。

  ③ 鼠(ねずみ)志野、紅志野、赤志野。 純白な釉肌の他に、色 の付いた作品もあります。

   ・ 鼠志野: 白い素地に鬼板を混ぜた泥を化粧掛けし、更に「へら」で文様を彫り込み、志野釉を

     施釉し、鼠色の釉肌に白い文様を浮き立たものです。

   ・ 紅志野: 鬼板の代わりに、黄土(赤楽)で化粧したもので、赤志野より淡い赤(ピンク色の

    場合もあります。)です。鼠志野の鬼板が薄い場合にも、紅志野になる事があります。

    又、白土と赤土を練り上げて作る技法もあります。

   ・ 赤志野: 素地と同じ土に10%程度の弁柄(ベンガラ)を混ぜた泥を化粧土に使います。

     いずれも、素焼き前に化粧掛けるのが原則です。有名な作家達は、半年程寝かせた化粧土を

    使い、粘りを出してから使用し、化粧土の「めくれ」を防止するそうです。

    ・ 尚、紅や赤色は鉄分とは無関係であると、異を唱える作家もいます。

      詳細は次回に取り上げます。

  ④ 千利休の始めた創作茶道具の制作に、いち早く行動を起こし、大衆性に対応し技術革新と

     斬新な作風は、美野地方から全国の窯場に広がって行きます。

     当初は中国の白磁を写す事を目標にし、白い土と白い釉で表現しようとして、生まれたと

     言われています。この白釉陶器は、従来に無かった形や釉の新しい表現と成っています。

     作品は主に、茶道具で懐石道具も焼かれています。親しみ易い志野は、更に大量生産、

     大量販売を目指し、大衆向きの焼き物として制作されていました。逆に大衆的であった為に、

     桃山期の作品は後世に、多く残らなかったとも言われています。 

3) 志野茶碗を造る。

以下次回に続きます。    

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造る16(轆轤挽き9、沓形茶碗)

2013-01-21 21:57:06 | 陶芸入門(初級、中級編)

千利休(1522~1591年)の時代に成ると、中国や朝鮮で作られていた茶碗から、新しい茶道具を

作る機運が生まれます。即ち、わが国に於ける、創作茶道具の使用と制作の動きは全国に広が

ります。その中でも、利休亡き後、天下一の宗匠になった古田織部(1543~1615年)によって、

斬新な形や色などの意匠の茶道具が美濃焼きを中心にして、各地の窯場で作られる様になります。

これらは、織部(又は織部好み)と言われ、従来の侘び寂とは異なる、奇抜な形や装飾が施されて

います。その中でも、沓形茶碗は従来にない形で、美濃(志野)の他、唐津、伊賀、備前など国内

だけでなく、朝鮮にも発注して作らせています。(御所丸茶碗)

実際に古田織部が指導して制作させた物かは不明です。むしろ一部の陶工が遊び心で作った茶碗が

たまたま茶人の目に留まり、面白がられて使用され、同時に古田織部が活躍していた時代でしたので

織部焼(織部好みの焼き物)と称されたのが実情かも知れません。

沓(くつ)形茶碗とは、貴族や公家達が輪になって蹴鞠(けまり)をする際に履いた木沓の形に由来し、

その形が似ていて、口縁が大きく歪んだ形の抹茶茶碗を言います。

1) 沓茶碗の特徴。

 ① 轆轤挽きされた口縁は、意図的に大きく歪められ、楕円形や三角形などの不規則な形になって

    います。

 ② 高さは、6.5~8cm と他の茶碗(井戸、唐津、志野茶碗など)より低めで、口径も最大(長径)で

   15cm程度です。(当然、変形していますので、短径は一定ではありません。)

 ③ 胴には荒く太い轆轤目が数本入り、全体に厚目に轆轤挽きされています。

    特に口縁部は、腰よりも肉厚で「ひねり返し」(外側に捻り出す)になり、山道になっています。

 ④ 口縁だけでなく、腰から高台に掛けて、五角や六角形に変形させた茶碗もあります。

   高台は削り出しです。

 ⑤ 沓形茶碗の中でも、黒織部茶碗と呼ばれる一群は、大きく歪みが与えられ、釉肌は光沢の

   ある黒で、箆(へら)彫り文様に白釉を掛けたり、一部を白く窓を取り、鬼板などの 鉄絵を描いた

   物や、施釉の後掻き落とし等で手を加えた物など、技術的な変化に富んだ絵柄が多いです。

 ⑥ 御所丸茶碗は、慶長年間(1596~1615年)後半に流行した黒織部を手本として、小堀遠州の

    時代に、朝鮮に発注し作らせた茶碗で、御所丸船によって輸入された為、この名があります。

2) 沓形茶碗を造る。

   前回取り上げた、井戸茶碗は端正な形でしたが、沓形茶碗は、形、装飾などその対極に位置する

   茶碗です。志野の沓形茶碗はさほど変形を施していませんが、唐津の沓形茶碗は極端に変形

   されている物が多いです。

  ① 轆轤挽きの方法は、やや肉厚に引き上げる事や背が低い事を除いて、前回お話したやり方

     と大差ありません。

  ② いかに変形させるか?

    底を糸切した作品を轆轤に載せたまま、茶碗の腰を両手の4本の指で、左右より強く押し潰し

    大きく変形させます。次に轆轤を90度回転させ、胴を両手の指や手のひらを当てて、押して

    変形させるとやや四角っぽくなります。当然押す力の強弱により、その変形の度合いが変わり

    二つと同じ形には成りません。但し、強く押し付けた為、口に「ひび」が入る事もありますので、

    その際には撫ぜて補修します。

  ③ 次に口縁を適度に押して、口の形を整えます。更に手板に取り微妙な調整を行います。

     変形させる作業は自体は簡単ですが、姿が良い形に変形する事は大変難しい作業です。

     多くの場合、変形させる事によって、姿を悪くし、使い勝手ても悪くして仕舞い勝ちです。

  ④ 乾燥後に底削りを行いますが、「シッタ」を使えば口の変形を気にせずに、中心を取る事が

    出来ます。カンナを使い畳付、高台際、高台内の順で削ります。

  ⑤ 「シッタ」から外し、最後に両手にもち、手取り具合と飲み口の位置を確認します。

以下次回に続きます。

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造る15(轆轤挽き8、井戸茶碗4)

2013-01-19 21:29:15 | 陶芸入門(初級、中級編)

4) 素焼きと施釉

  白化粧土された茶碗は、乾燥後素焼きを行います。素焼き後には、釉を掛ける事に成ります。

  尚、唐津でも井戸茶碗を造っていますが、唐津では特殊な作品を除き、素焼きをせずに、生掛け

  の場合が殆どですので、素焼きをせずに釉を掛けます。

 ① 枇杷(びわ)色を出す為、釉は各々独自の調合を行っていて、詳細は不明ですが、ある作家の

   場合は以下の様に調合しています。

   長石と 柞(いす)灰と雑木灰(土灰)を混ぜた釉(土灰釉)で、薄めに掛かった処は、透明に

   近い色となり 濃く掛かった処は、やや白く焼き上がる釉です。長石の割合は約4割との事です。

   尚、枇杷色は素地の鉄分と、白化粧土、それに釉の調子、更には、焼きの状態(酸化焼成)の

   総合的な相乗効果によるものと言われています。

 ② 濃淡を付けて施釉する。

   濃淡は釉自体に付けるのではなく、白化粧を掛ける時と同様に、茶碗の一部を水に浸す事に

   よって濃淡をつけます。

   ) 高台と腰を水に浸し、濡らしてから釉を掛けます。

     茶碗を上向きに持ち、腰の辺りまで水に浸し、次に高台を持って逆さにして水を切ります。

     水は口縁方向に流れ落ちます。

   ) そのままの状態で、釉の中に茶碗全体を浸し2秒程したら、勢い良く引き上げ見込みに釉を

      掛けます。ガバ漬け、突込み掛、ずぶ掛などと呼ばれる方法です。

      更に、2~3cm程口縁を浸し、左右に激しく揺さぶり、釉の厚みに変化を付けてから、静かに

      引き上げます。

   ) 素早く上下を逆にして、口縁に流れている釉の向きを変え、腰の方向に流します。

     この時、激しく揺さ振る事で、波打った感じを作り出し、やがて流れは止まります。

     水に浸した部分は、釉が流れ易く成っています。

     この釉の流れや濃淡が、井戸茶碗の見所にも成っています。

   ) 時には厚く掛かり過ぎた釉や、不要に成った波の部分などを、指(爪)などでこすり削り取り

      調整する場合も有ります。

   ) 釉掛けは一発勝負です。

      一度釉掛けした作品は水分を含んでいる為、やり直しても上手くいきません。

      素焼きがしてあれば、完全に乾燥後、全ての釉を剥ぎ取り、スポンジ等で残った釉を拭き

      取り、乾燥後に再度挑戦する事も可能です。

5) 焼成は、登窯や 窖窯等の薪窯で行う作家が多いですが、その他の窯で焼成する作家もいます

  ① 井戸茶碗の土味を出すには、1230~1240℃程度が良いそうです。

     高い温度になると、釉は同じ様な色や景色が出ますが、良い土味(つちあじ)が出難いです。

     即ち、作品が硬い感じと成って仕舞い勝ちです。

  ② 酸化雰囲気で焼かれた作品は、枇杷色に発色し、釉の濃く掛かった部分は、白っぽい色に

    発色します。還元雰囲気で焼成した作品は、青っぽいグレーに発色します。

  ③ 梅花皮(かいらぎ)が激しく出現した場合、作品が割れる事もあります。

     又、梅花皮が出ていない茶碗でも、良い感じの作品も有ります。

最後に井戸茶碗は、轆轤挽きする際、特別な技巧は少なく、効率良く作れる茶碗との事ですが、

実際に世に出て、評価される作品は、有名作家でさえ一割程度と、関門は厳しい様です。

以下次回に続きます。   

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造る14(轆轤挽き7、井戸茶碗3)

2013-01-18 17:25:44 | 陶芸入門(初級、中級編)

轆轤挽きされた茶碗は次の工程に移ります。

2) 高台削り。

 ① シッタの上で削る。

   シッタは素焼きした台形の筒形をした物で、十分水を吸い込ませた状態で、轆轤の盤面の中央に

   据え粘土で固定します。その頭に生の粘土を巻き付け、茶碗の見込みに合わせて削り出して

   おきます。その上に逆さにした茶碗を載せます。

 ② 削りに適した乾燥具合で削る事。

   轆轤挽きした茶碗は陰干しで乾燥させますが、乾燥が甘かったり乾燥し過ぎでも土の「ささくれ」

   による縮緬皺(ちりめんじわ)が出ません。季節や気候によっても、乾燥時間は違います。

 ③ 高台は一気に削る。

  ) 底(畳付)が水平に置かれている事を確認してから、削りに取り掛かります。

    水平でない場合は、茶碗が「シッタ」に対して傾いて載っている事で、片削りになってしまい

    ますので必ず水平にします。但し、糸切の際、斜め切に成った場合には、轆轤を緩やかに

    回転させ、高台脇が綺麗な円になっている事で確認します。

  ) 最初に畳付きを「カンナ」で、凸凹の無い様に水平に削ります。

    次に高台際、高台脇、腰の部分を削りますが、轆轤を勢い良く回転させ、一気に削り取ります。

    土の中に含まれる、小砂や小石が表面に現れ、器肌は荒れた状態となります。

    井戸茶碗の高台外径は約5.5cm前後、高台内径は約4cm、高台高さは1.5cm程が多いです

    尚、高台や腰の削り痕も、井戸茶碗の見所の一つになっていますので、綺麗に削らない事です

    慣れた方では、竹の節は自然に出来ると言われていますが、慣れない人では、意図的に削り

    出す方が確実です。更に、高台内を削りますが、「カンナ」の角を当てて二回転程で、縮緬皺の

    兜巾高台が出来上がります。

3) 白化粧土を施す。

  鉄分を含む土は本焼きの高温で焼成すると、酸化、還元に関わらず黒く焼き上がります。

  その為、白化粧土を施し表面を白っぽくすると同時に、土に含まれる鉄分と反応させ、土の質感を

  和らげ、更に、井戸特有の枇杷(びわ)色に発色させる事が出来ると言われています。

 ① 白化粧は生化粧掛けで行う。  

  ) 白化粧のタイミングは、器がほんのり白くなり始めた頃が最適です。

     水分の多い時に掛けると、器が壊れますし、白く乾いてから掛けると、「ひび」が入ったり

     化粧土が剥離を起こします。

  ) 白化粧を掛ける前に、作品の一部を水に浸し白化粧に濃淡を付けると同時に、白化粧が

     流れ落ち、景色の一部となります。但し、水に長く浸すと作品が溶けたり、壊れたりしますから

     注意が必要です。化粧掛けの直前に行います。

  ) 化粧土の濃度と素地との相性。

     化粧土が薄いと、素地の黒さが目立ち、濃いと「めくれ」や「剥離」が起こります。

     又、化粧土と素地との相性も大切です。基本的には、縮み率が同じである事や、素地の

     一部が白化粧土に含まれている事などで、実際に化粧掛けし、試さなければ解かりません。

  ) 化粧掛けは、漬け掛けで行う。

   a) 泥状に溶いた白土に水を加えて徐々に薄くし、適度の濃度にします。

   b) 他の容器に水を入れ、茶碗の底や見込み、胴などの一部を水に浸します。直ぐに化粧土の

     容器に茶碗の高台を持ち、横にして浸し、回転させながら全体に化粧土を施します。

   c) 茶碗をやや斜めにして引き上げ、その状態で余分な化粧土が、流れ落ちるのを待ちます。

     水に浸した部分は流れ易くなります。

   d) 化粧土の流れが止まったら、手板に載せ乾燥させます。

      この状態で、化粧土の濃淡や流れが確認されます。

4) 素焼きと施釉

以下次回に続きます。

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