ヒトはなぜ神を信じるのか  ー信仰する本能ー

2013-01-03 08:38:12 | 日記

ジェシー・ベーリング著   化学同人刊

私はリチャード・ドーキンズの『神は妄想である ー宗教との決別ー』(早川書房刊 2007年)という説を全面的に支持しているので、私にとっては「ヒトはなぜ神(という妄想)を信じるのか」という観点から読まなければならないのかな、と思って手に取ったのだが、どうやら早とちりしていたようだ。
著者の言わんとするところは、心理学からのアプローチによれば、ヒトは進化の過程で認知的進化を遂げた。その過程で認知バイアスを持つに至った→自然の出来事に隠れたメッセージを見る→これがないと宗教は成立しない。つまり、進化論的な意味での適応的錯覚。
そのような直感が、おそらくは生物学的な適応的理由のせいで、認知バイアスを通して生じ、私たちの思考を客観的現実から大きく逸らせている。だから私たちの脳から神を実際に、完全に、恒久的に取り去ってしまうには、科学の教師ではなく脳外科医が必要なのである。
著者は言う。「私の主張を無視するのを選んだところで、とんでもないことはならない。よい機会を逃がしたにすぎない。いずれあなたにも死は訪れる。そう、それが真実だ。神に誓ってもいい」。
実に、スッキリした結論で、私も同感である。なにも、正月に読むこともないのだが……。


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