佐野洋子  追悼総特集

2011-05-05 09:52:52 | 日記
KAWADE夢ムック   河出書房新社刊

佐野洋子の本は『問題があります』(筑摩書房)、『シズコさん』(新潮社)の2冊を読んだだけで、あとはエッセイをあちこちで読んだくらい。とても絵本には手が回らなかった。前書はとてもユニークな書評で、「こんな書評もありなのか、それにしても面白い視点だな」と思ったし、後書は私も同じような状況だったので半分同感しながらも、しかし結末は納得できなかった憶えがある。それは、私が男で佐野洋子が女だからなのかなぁとも思っている。
この追悼総特集に寄稿された人たちの文章を読むと、彼女の女性らしからぬキッパリしたところがかなり評価されているようだが(それが魅力でもあるのだが)、私には限りなく女性であったと思える。ドライであるようで、実はその発想の源は紛れもない女性のものである。そして、1938年(昭和13年)という時代生まれた者達ではないと分からないかも知れない。誰でも開き直った根っこには、彼女と同じ信念があるはずなのである。ただ、それを心の奥底に秘めて「こんなこと言っても大人気ないか」と不本意ながら自分に納得させているのである。

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