辞書になった男  -ケンボー先生と山田先生-

2014-04-21 15:19:22 | 日記

佐々木健一著  文藝春秋刊

三省堂の『三省堂国語辞典』と『新明解国語辞典』を作った二人の男の物語である。
読み終わった第一印象は国語辞典にはこれほど個性があって、人間くさかったのか、ということだった(私は両方持っていたので、読みながら納得したのだが)。しかし、本文中で言われている事だが、辞書は読み物ではないので、ここまで深か読みすることがなかったのも事実。本書を読みながら、手元の他の辞書も引いてみると、成る程と思われるに違いない。
ただし、国語辞典の定義にもよるだろうが、わたしにとっては本来の意味とは違う使われ方をしている事が多い(最近はこちらの方が断然多い)ので、それを確認するために専ら使っている。本当は「古語辞典」を使うべきなのかもしれないが。と言って、国語辞典が現代を映す辞典だという意義を否定するものではない…。
決して退屈しない本。まさか手元にある辞典に、こんな物語があるなんて、きっと驚くに違いない。とりあえず、気になる言葉を幾つか引いてみるといい。あなたが思っている通りの意味だったらいいのだが、ちょっと違うと思う解説もあるかも知れない。
因みに、私は両方持っているけれど『三省堂国語辞典』派です。