仏典はどう漢訳されたのか -スートラが経典になるとき-

2014-04-04 08:58:59 | 日記

船山 徹著   岩波書店刊

久し振りで手を挙げた。素人が読む本ではないと思い知らされた。しかし、テーマは面白いのである。インドで生まれた仏教は、当然サンスクリット語で書かれていたもので、それが中国で漢訳されたのがいわゆる仏典である(細かいことは省略して)。つまり、トランスレーションなのであるが、当然インド文明と中国文明が密接な互換性を持っている筈もなく、漢訳の過程でそれなりの操作が必要だったことは分かる。それまでの中国文明にはなかった概念を表現するための様々な工夫があった。分かったのはここまで。
造語や当て字、時にはこれまであった漢語に別の意味を強引に援用した。例を挙げる。縁起、世界、輪廻、煩悩、羅漢、億劫、奈落、餓鬼、寺、色(しき)、梵、塔、僧、袈裟等々。これはこれで面白いのだが、解説があまりにも専門的すぎて付いていけない。著者のせいではない。身の程知らずに手を出した私がいけない。
できればもっと一般的に分かり易く書かれていたのならば、と思うがこれはないもの強請りというものだろう。いや、久し振りで頭を抱えてしまった。