人間総業記 知床ウトロ絨毯

2013-02-28 14:28:18 | 日記

小野寺英一著   (有)港の人刊

本書は幼少北海道遠軽町に育ち、戦中樺太に渡り、戦後を迎えた著者のエッセイである。
このエッセイを読んで思い出したことがある。それは私の祖母や叔父、両親も似たような状況を経験しただろうということだった。勿論、著者のような過酷な状況とは桁違いだったと思うが…。当然のことながら、私も長男としてその片鱗を経験している(その頃は、長男とは跡取りでありほかの兄弟とは段違いの扱いであった。父が留守の時は父と同様の待遇であったが、その代わりいざという時は父と同様に働かなければならなかった)。
ただ、著者は多くの人に助けられ、しかも自己努力も惜しまなかった。そうなのだ。一所懸命に努力している人には当時の人は協力を惜しまなかったし、たとえ少々の盗みをしても大目に見ていた。
しかし、樺太という土地で敗戦を迎えた人の体験談は初めて読んだ。同時に当時のソ連という国の遣り口にも肯けるものがあった。ソ連という国は占領した国には、そこがヨーロッパであろうと北欧であろうと全く同じことを平然としていたということである。
ともかく、敗戦後の日本を改めて思い出さざるを得ないエッセイであった。
続編がいずれ出るそうで、ぜひ読んでみたい。多分、これほど悲惨な話はないと思って……。