謙信の軍配者

2011-07-30 15:46:30 | 日記
富樫倫太郎  中央公論新社刊

本書は『早雲の軍配者(風魔小太郎)』『信玄の軍配者(山本勘助)』に続く最終巻。この巻の主人公は、宇佐美冬之助。歴史上、軍配者・軍師として知られているのは、秀吉の軍師竹中半兵衛や本書の山本勘介が代表で、風魔小太郎は忍者集団の頭領としては知っているが、軍配者とは思ってもみなかった。まして、上杉謙信に軍師がいたとは知らなかった。3人の軍師の立場からそれぞれの武将を分析しているのが、この小説の読みどころ。
面白いのは、ここに登場する3人が共に足利学校の出身者だということだ。詳しくは最初の巻に譲るが、この当時足利学校は日本で最高の大学だった。一流の識者、四書五経は勿論のこと、軍学、兵学、陰陽道、文学とおよそ考えられる学問を一流の学者、僧が教える大学だった。そればかりではない。ここに集められた書籍、文献は日本有数のものだった。
面白いところに目をつけたと思う。