ジグザグ山歩き

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マジックアワー

2008-06-07 21:09:33 | 映画
三谷幸喜監督・脚本の新作「ザ・マジックアワー」が初日で見た。楽しみにしていた作品である。映画マニアだった三谷は、名作のオマージュをいっぱい盛り込んでいることを見終わって、ネットでみてみるとわかった。ビリー・ワイルダー監督の『お熱いのがお好き』がモチーフになっているほか、市川昆監督の『黒い10人の女』やギャング映画の代表作『暗黒街の顔役』などの過去の作品へのオマージュにもなっているとのことである。劇中映画として登場するのは、「カサブランカ」をパクッた「暗黒街の用心棒」、故市川崑監督の「黒い十人の女」をもらった「黒い101人の女」では、生前の市川監督の演出ぶりも見られる。深津絵里が三日月に乗って歌うのはウッディ・アレン監督の「ギター弾きの恋」で、曲はショーン・ペンがサマンサ・モートンに歌った「アイム・フォーエバー・ブローイング・バブルス」など、まだまだあるとのこと。確かに渋い映画のオマージュになっているような気はしたが、すぐには気がつかなく、読んでみると、なるほどと思った。やはり、市川監督もでていたのだ。
マジックアワーとは、太陽が地平線に落ちてから、完全に光がなくなるまでのわずかな時間のことである。この時間にカメラを回すと幻想的な絵が撮れるということで、こう呼ばれているとのこと。それにしても豪華な顔ぶれである。売れっ子の佐藤浩市が売れない俳優、妻夫木聡がギャングの子分を演じている。ギャングのボスが西田敏行であり、ボスの愛人役で深津絵里が演じる。オマージュのところでも豪華な出演である。その豪華さの中で綾瀬はるかなどが埋没気味である。
三谷監督も劇場作品は4作目。テクニック的にはこなれてきている印象。フジテレビが全面的にバックアップして、大宣伝を繰り広げている。三谷監督も頻繁にテレビにでるようになってきた。そういう意味では新鮮さに欠けてきている気がしてならない。確かに劇場では笑う人は多いし、私もつい笑って、うまくできていた。これだけの豪華な俳優とセッティングにもお金をかけて、ある意味、有名になった三谷があまり制約もなく自分のしたいようにできたかもしれない。しかし、だからこそ物足りなさを感じる部分があるのかもしれない。笑いを取ることにてんこ盛りで、ばたばたしている気もした。
ただ、あまり深く考えずに、三谷監督は本当に映画が好きであることがよく伝わってくるし、今回は、オマージュとコメデイに徹したような気がする。その中で、言いたかったのは、人生の輝きも一瞬であるかもしれないが、誰もそこにかけており、そのときにできなくても、次の日にまた陽が昇り、夕方になると輝く一瞬はめぐってくる。そのために生き続けるのかも知れない。そんなことも言いたかったのかもしれない.

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