ジグザグ山歩き

山歩き、散歩、映画など日々、見たこと、聴いたこと、感じたことなどつれづれに。

オレンジと太陽

2012-05-10 22:20:42 | 映画
 マーガレット・ハンフリーズの手記「からのゆりかご 大英帝国の迷い子たち」を、ケン・ローチ監督の息子ジム・ローチが映画化。英国が19世紀から1970年まで密かに行っていた強制児童移民の実態と、彼らの家族を探すハンフリーズ本人を描いている。児童養護施設の子どもたちが「児童移民」として密かにイギリスからオーストラリアに送られ、オレンジと太陽がある国といわれながら、実際に子ども達を待っていたのは過酷な労働や児童虐待などである。それを主導したのは、教会や慈善団体で、イギリス政府も公認していた。しかし、一般の人たちもほとんど知らなかったとのことである。そして、このような親の許可のないまま移民された子ども達は15万人を超えるといわれる。これが明らかになり、本作が制作されている中、イギリスとオーストラリア政府が認めて、公式に謝罪をしている。それにしても先進国といわれているイギリスでも戦後までこんな非人道的なことが行われていたのかと驚く。
主演のハンフリーズ役はエミリー・ワトソンが演じる。ソーシャルワーカーであるハンフリーズのところに、児童養護施設育ちの人たちから自分の親は誰か調べてもらえないかと頼まれる。それは自分が何者であるかのルーツを調べたいのである。仕事で関わった児童養護施設育ちの子ども達の多くが、自分の親が誰だかわからないまま大人になって、自分というものがつかめなくて、苦しんでいるのである。親の存在の大きさを感じさせる。彼らの訴えに応じて調べていくうちにイギリスとオーストラリアを行き来し、様々な関係者と出会い、過去に起きた出来事を探るとともに、オーストラリアに送られた子供たちの母親探しを続ける。その中で、教会や国が行ってきた実態がわかってきて、妨害に会ったり予期もしないできごともおきたりするのである。こうして親探しの仕事をして、自分の子どもとの生活は離れてしまうのである。また、マーガレットの行動からソーシャルワーカーとしての高い専門性が随所に現れている。虐待した親から子どもを分離させる時に無理やり引き離すのではなく、一旦ベッドに置かせてひきとったり、クライエントとの面談での方法などは訓練を受けているのを感じさせる。ソーシャルワーカーとしての専門性の必要性を問うている気がする。
 




新緑の高尾

2012-05-02 09:44:41 | 山歩き
久しぶりの山歩き。膝を痛めてから、山に行くのを控えていたが、そろそろ足慣らしをしなければならないと思って、家から便の良い高尾山に登った。ゴールデンウィークで天気が良いので、混むのを覚悟して向かう。高尾山口駅に着くと予想通りの人でごった返していた。ケーブルカー乗り場はものすごい行列が出来ていた。とても乗る気にはなれない。琵琶滝コースを歩くことにした。それでも結構人が多かったので、なかなか前に進まないが、膝が痛い身分では、このぐらいのゆっくりのペースがちょうどいい。高尾山頂もものすごい人である。座る場所を確保するのも大変。やっと石の塀際に座るところを確保する。隣に陣取った人も一緒に来た人がどこにいるかわからなくなり、携帯電話で連絡を取っていたが、なかなか合流が出来ないような状態だった。城山に向かう途中の新緑が鮮やかであったし、山桜も散り気味ではあったが、まだ残っている。城山山頂は、しばらく来ていないと、新たな物もあった。新たな木造彫刻が作られていた。桜もきれいであった。下りは城山から日影沢に下りてきたのだが、アスファルトの林道歩きは膝に負担がかかると思い、登山道のある道を歩き始めたが、それが膝を痛めている足にとっては、結構急な下りに感じられ、ゆっくり下りていった。帰りは日影からバスに乗る。臨時バスも出ていたが、すごい混み具合である。低山ではあるが、久しぶりに山頂に立つことが出来て、うれしかった。