ジグザグ山歩き

山歩き、散歩、映画など日々、見たこと、聴いたこと、感じたことなどつれづれに。

ヘルプ 心がつなぐストーリー

2012-04-23 10:56:25 | 映画
映画、『ヘルプ』と『サラの鍵』と二日続けて観た。『ヘルプ』は人種差別を扱い、『サラの鍵』は第2次大戦におけるホロコースト、フランス人のユダヤ人への迫害をテーマにした映画である。共に差別という社会問題をテーマにしている。
ヘルプについてふれてみる。
1960年代、人種差別が激しかったアメリカ南部のミシシッピ州ジャクソン。黒人メイドに育てられた作家志望の白人女性スキーター(エマ・ストーン)は、地元の新聞社で家事に関するコラムの代筆を担当することになった。友人宅のベテラン黒人メイド、エイビリーン(ヴィオラ・デイヴィス)に相談したことにより、メイドたちが置かれた立場に疑問を持ち始め、その証言を集めて本にしようとした。メイドたちを雇う白人女性たちが、自分たちはさも進歩的であるかのように振舞っているが、それでもトイレを別にしようとするなどの差別的行動を取る。しかし、食事はメイドに作らせたり、子どもの世話をさせて抱くことは平気であるといった矛盾である。この差別的な感覚は、人種問題をかかえるアメリカ独特な歴史から来る根深さもある気もするが、誰でも持ちやすい差別や偏見の問題を提議している様にも思われる。オクタヴィア・スペンサーが演じる黒人メイドやジェスカ・チャスティン演じる天然ボケの女性も魅力的である。深刻な社会問題を扱っているが、どこかユーモアがあって、楽しめる作品でもある。


アーティスト

2012-04-09 11:32:25 | 映画
「アーティスト」をみた。『サイレント映画には、セリフがない。観客は、生きた感情を心で感じる。そんな経験を贈りたかった。』と監督、ミシェル・アザナヴィシウスの言葉である。1927年、ワーナー映画社が史上初のトーキー映画を製作した。この時代は映画もサイレントからトーキーに確実に移動しつつあった。この大転換期のハリウッド映画界を舞台に音楽を入れたサイレント映画がフランスの監督によって作られたのである。過去の栄光が忘れられないジョージは新しいトーキーに組みすることは良しとはせずに自ら監督、主演してサイレント映画で活劇を作る。そして失敗する。時代の変化に置いてきぼりを食らった無声映画のスターとは逆に、ジョージに「黒子をつけて売り出せば」と助言されたぺピーは新しい女性を象徴したスターになっていく。そのぺピーがジョージを救援する。名犬アギーもジョージの守護神である。サイレント映画は俳優の身体表現が重要となる。ラブストーリーであるこの作品は、俳優の顔の表現や手指の動きで恋愛表情を表現していて、名シーンも登場。今のこの時代にサイレント映画を製作するとは勇気ある挑戦でもある。そして、内容は過去の名作へのオマージュを数多くちりばめているようにも思われ、映画愛に満ちた作品でもある。昨年、『午前十時の映画祭』で、過去の名作を40本以上見てきて、映画の魅力や深さを感じた。そういう意味では、この作品のように、映画愛に満ちた作品は、映画好きにはたまらない。この映画は、言葉で表現できない映像だけで想像力をかきたてる映画の原点に立ち戻っているともいわれている。

春風亭一之輔真打昇進披露興行

2012-04-08 16:51:52 | 落語
4月6日、夜勤明けの勤務で、朝10時半過ぎに勤務をあがれることになった。そこで、前回の末広亭でスタンプ10個貯まって、招待券が一枚あったので、急遽末広亭に行くことにした。12時前に着き、平日にもかかわらず、桟敷席まで人が入っており、やっと椅子席が一つ空いていたので、座ることが出来た。夜勤明けのため、最初の方はどうも眠くて、うとうとしていたが、少しずつ目が覚めてきて、志ん弥、歌之介、権太楼と爆笑して聞けることが出来た。夜の部も人は減らず、一之輔の真打昇進興行を楽しみにしている様子である。2階席まで埋まっていた。そして、小朝が出てきたし、勢朝の話も面白いと思って来てよかったと聞いていたら、勢朝から次はすごい人が出てきますよと言って、出てきたのが、小三治でびっくり。場内は拍手の音がひときわ大きくなる。小三治の噺は、三人旅は一人が寂しい思いをするので、旅は二人がいいというマクラから「二人旅」の話に入る。夜の部の中休みで一之輔真打昇進の口上が始まった。司会を市馬がし、木久扇、一之輔、一朝、馬風、小三治と並んでいた。皆、口ぐちに一之輔をほめて、小三治は大絶賛をしていた。一之輔の大物ぶりは間違いないようだ。馬風の紹介で市馬の相撲甚句、木久扇の声色、一朝の笛と芸を披露していた。小三治会長は実力主義を唱えており、今回の一之輔の昇進は21人抜きといわれている。協会の改革にも着手したともとれる。トリで春風亭一之輔が登場し、『雛鍔(ひなつば)』を演じる。ちょうどこの日は子どもの小学校の入学式で、椅子に座って人の話を聞く苦痛を味わった、という話をマクラにして、本題に入っていった。さすがに私自身が最後になってくると疲れが出てきて、集中が切れがちであったが、噺のうまさは感じた。緊張感をあまり感じなくて貫禄のある話し方である。長い時間座っていたが、満足して、末廣亭を後にする。

末廣亭余市会

2012-04-01 06:28:18 | 落語
膝を痛めてから、休日は映画を見に行くことが多かったが、3月31日は、末広亭の余市会で第二十一回三派連合落語サミットと称するのをやっていたので、行ってみた。いつものように桂花ラーメンを食べて末広亭に着くと行列が出来ていた。既に椅子席は満席になっており、桟敷席となる。膝や腰を痛めるかなと思いながらも、座ることにした。最終的には2階席も埋まってしまった。その日は春の嵐で強風が吹き、電車も停まったりして、最初の小痴楽が到着するのが遅くて、前座さんが頑張って引っ張って、話を続けた。話が長くなるのを説明しながら、その引っ張り方がうまくて、太鼓が鳴るまで枕の話を続けて、思わず観客の笑いを誘っていた。そんなわけで急遽、平治も喫茶店でコーヒーを飲んでいるところを呼び出されて、小痴楽の前に高座に上がることになったのである。彦いちは来る前にラジオ番組で出ており、司会の永六輔がやはり強風の影響で来られなくなり、急遽司会をすることになったエピソードを紹介していた。落語は平治、小痴楽、文左衛門、竹丸、遊雀、円丈、彦いち、桃太郎と続き、主任は昇太である。さすが昇太の話は面白い、桃太郎の妻や娘のマクラの話をしてから親父の悲哀を上手く演じ、場内は爆笑である。独身の割には、こういった夫婦や親子の機微の話が出来るというのはすごいと思った。