おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

野郎どもと女たち

2023-05-09 14:11:23 | 映画
「野郎どもと女たち」 1995年 アメリカ


監督 ジョセフ・L・マンキウィッツ
出演 マーロン・ブランド フランク・シナトラ ジーン・シモンズ
   ヴィヴィアン・ブレイン スタビー・ケイ ヴェダ・アン・ボルグ

ストーリー
タイムス・スクエア近くの街頭で、サラ・ブラウン(ジーン・シモンズ)という救世軍の女軍曹が、魂を救うにはわが許に来たれと熱弁を振っていた。
その頃、お調子屋のジョンスン(スタッビー・ケイ)と南街のベニイ(ジョニー・シルヴァ)の2人は、お馬のハリー(シェルドン・レオナード)に出逢った。
ハリーは、ネイザン・デトロイド(フランク・シナトラ)の賽ころ博奕の賭場を探していると言ったが、ネイザンは場所を変えて警察の目を逃れていた。
ジョンスンとベニイの2人は理髪屋でネイザンを探しているブラニガン警部(ロバート・キース)に出逢ったが、警部は今にネイザンの賭場を押えてやると言った。
ネイザンは近頃シケていた。
お蔭で、14年も婚約している恋人アデレイド(ヴィヴィアン・ブレイン)にプレゼントすらできない。
彼は、町に大博奕打ちのスカイ・マスタスン(マーロン・ブランド)が来ていると知り、彼に1000ドルの賭をしないかと云うが仲々乗らない。
この時、街を救世軍の楽隊が通り、ネイザンは先頭のサラを指して、彼女をハバナへ連れて行けるかどうか1000ドルの賭をしようと言い、スカイは承知した。
スカイはサラをキューバに連れ出していたが彼女の純真さと愛を知り、手をつけずにその夜遅く2人でニューヨークに帰ると、警察と博奕屋どものゴタゴタが起こったりした・・・。
やがて、ミンディ料理店では、ニューヨーク中の野郎共と女たちの列席の上、2組の結婚式が挙げられた。


寸評
ミュージカル映画としてはノスタルジーを感じさせる作りだが、1955年の製作にもかかわらず、曲や振り付けがちょっとアヴァンギャルドで衣装や背景のカラーリングが時代を超えたものとなっていて格好良く見える。
ミュージカル映画として僕の作品歴の中では評価は高くないのだが、何といってもフランク・シナトラとマーロン・ブランドが共演しているだけで僕にとっては特別な作品となっている。
あの「ゴッド・ファーザー」のマーロン・ブランドが、若かりし頃とは言え、生歌と踊りを披露しているのだ。
この映画ではミュージカル・ナンバーよりもダンスの方が印象的だ。
オープニングと同時に披露されるコミカルな動きが楽しめる。
ここで披露されたダンスのテイストは以後も一貫して受け継がれていく。

一番楽しくて秀逸な場面は、ジーン・シモンズ扮する救世軍のサラ・ブラウン軍曹とラスヴェガス帰りのギャンブラー、マーロン・ブランドのスカイ・マスターソンがデートするハバナのクラブで披露する歌と踊りのシーンだ。
酔っぱらって踊るジーン・シモンズがキュートで、マーロン・ブランドならずとも思わず抱きしめたくなる。
二人はクラブのフロアに並べられたテーブルの一つで雰囲気良く語り合っている。
クラブのステージが始まり、滑稽なスタイルのダンスが披露されていき、女性ダンサーの一人がマーロン・ブランドに色目を使ったことから、ダンサーとジーン・シモンズのいさかいを皮切りに大乱闘が勃発する。
ユニークなダンスが楽しめるし、ジーン・シモンズも数人を相手にパンチを繰り出す痛快なシーンとなっている。
騒ぎが治まった後の、マーロン・ブランドとジーンシモンズのラブ・シーンもロマンチックで映画の世界に浸れる。

マーロン・ブランドは僕の好きな俳優の一人だったが、出来上がっていたイメージからすれば意外や意外の生歌とダンスを披露してくれていて、それだけで古い作品にもかかわらず新鮮な気持ちになれた。
フランク・シナトラはもっと目立っても良かったと思うが、ミュージカル映画にもかかわらず影が薄い。
むしろ彼と婚約期間が14年に及び、早く結婚をしたいと彼に惚れこんでいるアデレイドのヴィヴィアン・ブレインの方が役柄的にも目立っている。
それでもこれは女が男に惚れる物語であり、男冥利に尽きる映画だ。
ラストシーンはまるで舞台のフィナーレを見るような雰囲気である。
大きなケーキが意味ありげに二つ運ばれてきて、ああこれはマーロン・ブランドとフランク・シナトラたち二組の結婚式なっだなと分かる。
沿道に大勢の人々が待ち受けている中で建物のドアが開き、整列したダンサーたちがピンクのステージ衣装で整然と登場してくる。
二人を追っていた刑事の介添えでアデレイドが登場し、続いて救世軍の長老に伴われてサラが登場してくる。
待ち受けるシナトラとブランド。
大勢の人々の祝福を受け車に乗り込んだ4人が旅立っていくのをカメラが俯瞰的に捉える。
見終るとなんだか懐かしい映画だったなあとの感情が湧いた。
懐かしいなあと思わせたのは、この映画が表現していた色調だったのかなあ・・・。
それとも描き方などの演出によるものだったのだろうか。
今では撮られることのないミュージカル映画のスタイルである。