おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

リオ・ロボ

2023-05-25 07:47:52 | 映画
「リオ・ロボ」 1970年 アメリカ


監督 ハワード・ホークス
出演 ジョン・ウェイン ホルヘ・リヴェロ クリストファー・ミッチャム
   ジェニファー・オニール ジャック・イーラム ヴィクター・フレンチ
   スサーナ・ドサマンテス シェリー・ランシング
   デヴィッド・ハドルストン マイク・ヘンリー ビル・ウィリアムズ
   
ストーリー
南北戦争末期、北軍のマクナリー大佐の護衛する金塊輸送列車は南軍のコルドナ大尉の率いるゲリラに襲われ、マクナリーは捕えられたが巧みな手段で脱出し、逆にコルドナと部下のタスカロラを捕虜にし、事件の背後で操った北軍の裏切り者が2人いることを聞き出す。
戦争が終わり、故郷の町に帰ったマクナリーは、若い娘シャスタの危難を救ったことから、偶然、裏切り者の1人をしとめ、コルドナと再会をする。
一方、魔術芝居の巡業をして歩くシャスタは、リオ・ロボで悪徳保安官ヘンドリックス一味に相棒を殺され、彼女も追跡されていたのだった。
コルドナは、その保安官一味に裏切り者がいると教えた。
彼もリオ・ロボに牧場をもつ旧友タスカロラが、地元のボスのケッチャム一味に牧場を乗っ取られようとしているのを救援にいこうとしているところだった。
3人はリオ・ロボへ向かうこととなり、マクナリーはそのボスこそ、例のもう1人の裏切り者に違いないとにらんだ。
タスカロラが馬泥棒に仕立てられて逮捕され、彼の祖父フィリップスが監禁されていることを知った3人は老人を救出したが、リオ・ロボの留置所は砦のようで、まともな攻撃でタスカロラは助けられそうもなかった。
マクナリーは一計を案じ、ケッチャムの牧場を襲って彼を人質としたところ、やはり、彼は例の裏切り者だった。
マクナリーはコルドナを近くの騎兵体砦に通報にやり、敵とリオ・ロボでのタスカロラとケッチャムの人質交換をもくろんだが、コルドナはヘンドリックスに捕えられてしまった。
今度はリオ・ロボの町を流れる川の橋で、ケッチャムとコルドナの身柄交換となった。
多勢に無勢、マクナリーたちの形勢は不利となったが、タスカロラの作戦が功をそうした。
形勢は逆転して、ケッチャム一味は硝煙の藻屑と消えた。
コルドナとシャスタは結ばれて、リオ・ロボに平和が戻った。


寸評
痛快娯楽作品としてテンポよく進んでいき、特別な趣向を凝らすでもない語り口は新鮮さがないものの安心感があって、リラックスして見ることが出来る西部劇である。
北軍の運ぶ金貨を南軍が奪うディテールもてきぱきしており楽しめるものとなっている。
捕虜にしたりされたりのやり取りを見ていると、随分とのんびりしたものだなあと感じるが、その雰囲気は最後まで持続したままで、銃撃戦があるとはいえほのぼの西部劇と言ってもいい。
おまけに南北戦争がすぐに終わってしまうので南北の対決もない。
前二作の「リオ・ブラボー」「エル・ドラド」と同じく豪放な笑いを基盤に、老若男女入り乱れての戦う集団形成のディテールが大いに楽しめる。
マクナリーやコルドナに負けず、女性陣が活躍するのも楽しめるし、最後になってフィリップス爺さんが出てきて主演のジョン・ウェインを喰ってしまうような存在感を見せ楽しませる。
歯医者さんもそうだが、マクナリーに協力する人が次々と登場するのが特徴となっている。
こんなシチュエーションが必要なのかと思わせるセミヌード女性の登場などはサービス精神か。

マクナリーは南軍の金塊強奪に北軍を裏切った兵士がからんでいるとして、その裏切り者を追っているのだが、その裏切り者が誰であるかのスリルはない。
せめて二人の裏切り者を列車護送場面で登場させておいてほしかった。
さらにその裏切り者二人がいとも簡単に撃ち殺されたり、つかまったりしてしまうので、復讐劇の方は肩透かしを食ったような気がする。
相手方にマクナリーが追う裏切り者の一人がいるとは言え、マクナリーたちがリオ・ロボの保安官一味の悪事に立ち向かって行くことがメインになっている。
その間にコルドナがシャスタに恋する姿を面白おかしく挿入している。
このシャスタが時折男勝りの活躍を見せて、ほんわかムードをさらに高めている。
目新しさのない演出だが、そつのない演出でもある。
最後の決戦も極めて明るいもので、なんだかみんなして遊んでいるみたいな雰囲気だ。
これこそがハワード・ホークスという余裕が感じられるものとなっている。

決戦の場には土地の権利書を取り返してもらった連中が加勢に来るが、これだけ多数の若い元南軍兵士が加わればマクナリーは苦戦するはずがない。
ここは少人数で多数の敵を倒した方がスカッとしただろうと思う。
そしてボスが最初に殺されてしまっては盛り上がりにも欠けると言うものだ。
保安官のヘンドリックスはボスが無一文になったことを聞いても逃げ出すことはせず戦っていて、結局彼を倒すことが最終目的となっている。
そしてヘンドリックスを倒すのは予想通りの人物で、これも観客の期待を裏切らないものとなっている。
コルドナとシャスタは結ばれ、タスカロラも恋人と結ばれ、めでたしめでたしで終わるという安定感を見せる。
マクナリーがマリアにかける最後の言葉がユーモアたっぷりでいい。