おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

ビフォア・ミッドナイト

2024-07-03 07:48:36 | 映画
「ビフォア・ミッドナイト」 2013年 アメリカ 

                            
監督 リチャード・リンクレイター                           
出演 イーサン・ホーク ジュリー・デルピー
   シーマス・デイヴィー=フィッツパトリック
   ジェニファー・プライアー シャーロット・プライアー
   ウォルター・ラサリー ゼニア・カロゲロプールー
               
ストーリー
列車の中で出会い、その9年後再会しパートナーがいるにも関わらず互いへの愛に気付いた小説家のジェシーと環境活動家のセリーヌは、今や家庭を築き双子の娘にも恵まれていた。
友人の招きを受け、パリに暮らしている彼らはジェシーの元妻と住んでいる息子ハンクともども南ギリシャの美しい港町にバカンスにやって来ていた。
一足先にハンクがシカゴへ戻るためジェシーは見送りに空港へ向かうが、演奏会に行くと伝えたところ母親がナーバスになるからシカゴには来ないでほしいと言われてしまい、ショックを受ける。
ジェシーと元妻の関係は良好ではないせいで息子になかなか会えないことを気にするジェシー。
セリーヌが先行きについて悩んでいる仕事やハンクについてなど様々なことを話し合っているうちに、ジェシーはシカゴへ引っ越さないかと提案。
セリーヌは激怒する。
別荘の主である老作家や孫、友人たちとの会食の後、友人たちの計らいで子どもたちを預かってもらえることになり、教会に立ち寄ったり海辺で夕日を眺めたりしながらロマンチックな時間を過ごす二人。
しかしちょっとした言葉のはずみで再び彼らの間に険悪なムードが漂いはじめ、ついにはセリーヌがホテルの部屋を飛び出してしまう……。


寸評
シリーズ作品らしいのだが僕は前2作を見ていない。
見ていなくても二人を取り巻く環境や経緯が推測できるので十分に楽しめる内容になっている。
それにしても、すさまじいばかりの会話劇だ。
車の中のシーンや道を歩くシーンなど長回しシーンが随分と多いのだが、その間にはふたりの会話が延々と続く。
その会話を楽しむことが出来るかどうかが、この映画を受け入れられるかどうかの分岐点。

ジェシーがアメリカに帰る10歳の息子を空港に送るシーンから映画は始まる。
そこで父の息子への愛情や別れた元妻との関係などが観客に知らされる。
息子は振り返ることもなくアメリカへ帰っていく。
続くシーンは、ジェシー、セリーヌ、そして2人の間に生まれた双子の娘が空港から車で移動する場面となる。
これがその後も続く会話と長回しの幕開けとなる。
その後は、ふたりが滞在する家の人々を交えたランチでの会話、道を歩くふたりの会話、そしてホテルでのふたりの会話などが延々と続く。
会話の中身は哲学的であったり、あるいは他愛のない会話もはさみながら、離れて暮らす息子の心配、二人の愛情、生と死についてなどが彼らのこれまでの人生を織り込みながら語られる。
やがてホテルでの言い争いになるのだが、下手をすると中年カップルのつまらないケンカ話になってしまう内容なのに、そうはなっていないのは一にも二にもごく普通の会話の中身による。
脚本を書いた3人である監督のリチャード・リンクレイター、主演のイーサン・ホーク、ジュリー・デルビーの努力に敬意。

途中から、この映画、いったいどうやって終わらせるつもりなのだろに興味しんしんとなったのだが、タイムマシンのたとえ話で彼らの行く末を観客の想像に委ねたラストの会話の小粋さを聞かされ、この作品の一貫した作風を堪能。
ただし、ボンヤリと見ているわけにはいかない作品で有ることは確かで、ミニシアターの暗闇の中で集中して見るべき作品だと感じた。
そしてその暗闇の中で僕は自分の過去を思い起こし、現在と未来に思いをはせていた。


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