おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

エル・ドラド

2022-03-10 09:56:57 | 映画
「エル・ドラド」 1966年 アメリカ


監督 ハワード・ホークス
出演 ジョン・ウェイン
   ロバート・ミッチャム
   ジェームズ・カーン
   アーサー・ハニカット
   エドワード・アズナー
   ミシェル・ケリー

ストーリー
ガンファイターのコール(ジョン・ウェイン)はテキサスのエル・ドラドに久しぶりにやって来た。
迎えたのはシェリフになった旧友ハラー(ロバート・ミッチャム)のライフル銃と、昔の恋人、酒場の女主人モーディー(シャーリン・ホルト)のキスだった。
コールは牧場主ジェイスン(エドワード・アズナー)に頼まれ、水利権の争いの助太刀にやって来たのだ。
しかしハラーがシェリフになっているのを知ると、旧友のために手を引くことにした。
ジェイスンの牧場に助太刀を断わりに行った帰り、狙撃してきた男に応戦、重傷を負わせた。
男はジェイスンと水利権を争っているマクドナルド(R・G・アームストロング)の息子で、彼は苦痛にたえかねて自殺したので、コールは事情を説明しにマクドナルドの牧場へ行った。
だがその帰り、今度は仔細を知らないマクドナルドの娘ジョーイ(ミシェル・ケーリー)に撃たれ重傷を負った。
コールは傷がなおるとエル・ドラドを去ったが、マクロード(クリストファー・ジョージ)というガンマンがジェイスンにやとわれ、エル・ドラドへ行くことを知り、ハラーの身を案じて再びエル・ドラドへ戻った。
マクロードはマクドナルド一家にいやがらせをはじめ、町には銃弾が飛びかった。
結果は、ジェイスン側にマクドナルドの息子ソール(ロバート・ロスウェル)が捕らえられ、水利権の書類との引きかえを要求される破目になってしまい、情勢はマクドナルド一家に不利となった。
そこで最後の決戦が開始されることになった。
コールは古傷でまだ体の自由がきかなかったが、マクロードを撃ち倒した。
ハラーたちはソールを助けだし、ジョーイはコールを狙ったジェイスンを撃ち倒した。


寸評
ハワード・ホークスらしい超娯楽作。
牧場の水争いがあり、ガンマン対決があり、牢屋に入れられたボスを助け出すサスペンスあり、女性との色恋ありと、何でもござれの要素が詰め込まれている。
敵方に雇われたコールが友人の保安官ハラーの話を聞き、契約を破棄した帰りに味方すべきマクドナルド一家の息子を射殺してしまうという導入部でまずストーリー的に驚かす。
そしてコールはマクドナルドの娘ジョーイに撃たれ傷を負うが、この傷が後々の伏線となっている。

コールと保安官を演じるのがジョン・ウェインとロバート・ミッチャムでなかなか渋い。
時間経緯が示され、その間にロバート・ミッチャムはアル中になっていて、ジェームズ・カーンのミシシッピによって酒抜きをされるが完全復活とはいかない。
片や古傷を抱えたガンマン、片やアル中症状が抜けきっていない保安官とハンデを負った二人が悪徳ボス一味と対決するというのが醍醐味となっている。
コールは背中に入った弾丸を摘出しておらず、時々激痛が走り右手がしびれて使えなくなる。
ハラーはボロ布のようなシャツを着て時々胃のむかつきを覚えてうずくまるといった具合だ。

ジェームズ・カーンの若者もいいが、アーサー・ハニカットのブルという老人が面白い役回りをやっていて、さながら孫を見守る爺さんのような雰囲気だ。
ハラーに浴びせる憎まれ口が雰囲気を和らげる。
ミシシッピはナイフの使い手だが、それは復讐劇で示されるだけで、ジェイスン一味との戦いでは登場しない。
銃を取り上げられるが、背中に隠し持ったナイフでやっつけるような演出があっても良かった。
散弾銃のエピソードだけでは物足りなかったような気がする。

ジェイスン一家にはマクロードというスゴ腕のガンマンが雇われるが、それに匹敵するのがコールとハラーだ。
三者とも早打ちだが、コールとハラーがハンデを負っていることでその決闘は見られずじまい。
ちょっとあっけない幕切れのように感じる。
ガン・ファイトでは待ち伏せの場面が多かったように感じるが、上手い処理で楽しませてくれる。

結果的に銃撃戦は古い教会で行われたものが一番だったように思うので、最後の対決は物足りなさ感がある。
マクロードというガンマンの凄さが最後まで示されることはなく、コールとのプロ同士のやり取りだけだったが、雰囲気だけは出していて倒れた後のセリフも賞金稼ぎの末路らしい。
コールとシャーリーン・ホルトのモーディーとの結末、ミシシッピとジョーイのその後などが描かれておらず、消化不良感が残る内容なのだが、見終るとなぜか満足感が生じる作品だ。
中身は大したことのない映画なのに、なんとなく納得してしまういうのがハワード・ホークスの作品だ。
この映画も例外ではない。
コールはモーディと一緒になって町に残ることが暗示されて終わるが、ミシシッピはどうなったんだろうな。
オーソドックスな西部劇だが、ハワード・ホークスの職人芸で魅せる映画となっている。