「オズの魔法使」 1939年 アメリカ
監督 ヴィクター・フレミング
出演 ジュディ・ガーランド
バート・ラー
ジャック・ヘイリー
レイ・ボルジャー
ビリー・バーク
マーガレット・ハミルトン
ストーリー
アメリカ合衆国カンザス州でエム叔母、ヘンリー叔父、小さな飼い犬のトトと共に少女ドロシーは暮らしている。
ある日、ドロシーとトトは竜巻に巻き込まれて、不思議なオズ王国の中のマンチキンの国へ飛ばされてしまう。
落ちた家は、マンチキンたちを独裁していた東の悪い魔女を圧死させる。
北の良い魔女がやってきてマンチキンたちと喜びを分かち合い、悪い魔女が履いていた不思議な力を持つ赤い靴をドロシーに授け、良い魔女はドロシーに家に帰れる唯一の方法はエメラルドの都に行って壮大な魔力を持つオズの魔法使いに頼むことだと語る。
マンチキンによるパーティに出席した翌日、ドロシーは棒に引っ掛かったカカシを助け、ブリキの木こりに油をさし、臆病なライオンと出会う。
カカシは脳を、ブリキの木こりは心を、ライオンは勇気を手に入れる願いを叶えてもらうため、ドロシーとトトと共に魔法使いに助けを求めにエメラルドの都に向かう。
一行はエメラルドの都で1人1人呼ばれ、ドロシーは大理石の王座の上の巨大な頭、カカシは絹の紗に包まれた愛らしい女性、ブリキの木こりは恐ろしい野獣、臆病なライオンは火の玉の形をした魔法使いに会う。
魔法使いはもしオズ王国のウィンキーの国を独裁する西の悪い魔女を殺せば全員の願いを叶えると語る。
西の悪い魔女は一行をやっつけるために、狼、野生のカラス、黒い蜂の群れ、ウィンキーの兵士たちを送るが、彼等に敗れ去ってしまったので、ついに魔女は黄金の冠の力を使い飛ぶ猿を呼び集めた。
寸評
ジュディ・ガーランドを一躍スターダムに乗せた伝説的作品だが、童話の世界を題材にした古いタイプのミュージカルで、日本人に受けるかどうかの疑問符がつく作品のように思う。
最初と最後はセピア調のモノクロ画像だが、ドロシーが夢の中で見ていたであろう魔法の国のパートはカラー撮影となっていて、制作当時に於いてはその事も評価されたのかもしれない。
主人公のドロシーは少女で、演じた16歳のジュディ・ガーランドをそれらしく見せる工夫が見て取れる。
童話の世界なので、セットはわざと作り物であることが分かるようにしてある。
その事がなんだか子供だましのような気がして、僕は余り乗り切れなかったが、ミュージカルとして歌われるナンバーのシーンは素直に楽しめる。
テーマソングとして歌われる「 Over The Rainbow 虹の彼方に」は間違いなく映画史に残る名曲だと思う。
登場するキャラクターは面白いけれど、やはり僕には子供だましに思えた。
ドロシーのお供は三人のキャラクターなのだが、お供としては三人が治まりが良いのだろうか。
桃太郎のお供も猿、犬、雉で、それぞれ智・仁・勇を表しているとのことであるが、ここで登場する案山子は知恵を求め、ブリキ男は心を、ライオンは勇気を求めている。
智・仁・勇は日米を通じて共通した価値観なのだろう。
ドロシーがエメラルドの国を目指す途中で、一人ずつ仲間に加えていくのも桃太郎と同じだ。
桃太郎の家来たちと違い、彼らは自分たちの持つ能力を生かして戦うことはしない。
むしろ弱点ばかりがあって、案山子は体に藁を詰め込まれているので火に弱く、藁を抜かれてしまうと動けなくなってしまうし、ブリキ男は水に弱くすぐに錆びついてしまう。
涙を流すだけでも錆びついてしまって動けなくなるので、すぐに油を刺してあげないといけない。
ライオンは強そうに見えるが、実は弱虫で非常に怖がりである。
そのような設定が映画を楽しいものにしていて、子供を含めた家族で見る分には満足できると思う。
魔女や魔法の国での登場キャラクターが特異なため、主人公のドロシーが可愛く見える。
ジュディ・ガーランドは特に抜きん出た可愛さがあるわけでもないが、その歌声は魅力的で役柄の加勢もあって一躍人気者になったのは理解できる。
エメラルドの国の大王は、愛することよりも、愛されることの方が大事だと語り、ドロシーは家庭こそ一番だと悟る。
そして夢から覚めたドロシーは魔法の国で出会った人たちは、自分の周りにいた人たちだったことを知る。
ドロシーはその人たちを愛し、その人たちから愛されていたから、魔法の国で出会えたのだろう。
小犬のトトが少し活躍するのが微笑ましい。
魔女がドロシーに水を掛けられて解けてしまうが、なぜ魔女は水に弱かったのだろう。
ドロシーはケシが咲き誇る丘で眠りこけてしまう。
ケシと言えば麻薬の原料となる花で、後年ジュディ・ガーランドが薬物中毒になったことを想うと、皮肉なシーンだなと思えた。
47歳のジュディ・ガーランドは滞在先のロンドンで、睡眠薬の過剰摂取にてバスルームで死去し自殺説もある。
演技力も備えた女優で、この若さはやはり惜しい。
監督 ヴィクター・フレミング
出演 ジュディ・ガーランド
バート・ラー
ジャック・ヘイリー
レイ・ボルジャー
ビリー・バーク
マーガレット・ハミルトン
ストーリー
アメリカ合衆国カンザス州でエム叔母、ヘンリー叔父、小さな飼い犬のトトと共に少女ドロシーは暮らしている。
ある日、ドロシーとトトは竜巻に巻き込まれて、不思議なオズ王国の中のマンチキンの国へ飛ばされてしまう。
落ちた家は、マンチキンたちを独裁していた東の悪い魔女を圧死させる。
北の良い魔女がやってきてマンチキンたちと喜びを分かち合い、悪い魔女が履いていた不思議な力を持つ赤い靴をドロシーに授け、良い魔女はドロシーに家に帰れる唯一の方法はエメラルドの都に行って壮大な魔力を持つオズの魔法使いに頼むことだと語る。
マンチキンによるパーティに出席した翌日、ドロシーは棒に引っ掛かったカカシを助け、ブリキの木こりに油をさし、臆病なライオンと出会う。
カカシは脳を、ブリキの木こりは心を、ライオンは勇気を手に入れる願いを叶えてもらうため、ドロシーとトトと共に魔法使いに助けを求めにエメラルドの都に向かう。
一行はエメラルドの都で1人1人呼ばれ、ドロシーは大理石の王座の上の巨大な頭、カカシは絹の紗に包まれた愛らしい女性、ブリキの木こりは恐ろしい野獣、臆病なライオンは火の玉の形をした魔法使いに会う。
魔法使いはもしオズ王国のウィンキーの国を独裁する西の悪い魔女を殺せば全員の願いを叶えると語る。
西の悪い魔女は一行をやっつけるために、狼、野生のカラス、黒い蜂の群れ、ウィンキーの兵士たちを送るが、彼等に敗れ去ってしまったので、ついに魔女は黄金の冠の力を使い飛ぶ猿を呼び集めた。
寸評
ジュディ・ガーランドを一躍スターダムに乗せた伝説的作品だが、童話の世界を題材にした古いタイプのミュージカルで、日本人に受けるかどうかの疑問符がつく作品のように思う。
最初と最後はセピア調のモノクロ画像だが、ドロシーが夢の中で見ていたであろう魔法の国のパートはカラー撮影となっていて、制作当時に於いてはその事も評価されたのかもしれない。
主人公のドロシーは少女で、演じた16歳のジュディ・ガーランドをそれらしく見せる工夫が見て取れる。
童話の世界なので、セットはわざと作り物であることが分かるようにしてある。
その事がなんだか子供だましのような気がして、僕は余り乗り切れなかったが、ミュージカルとして歌われるナンバーのシーンは素直に楽しめる。
テーマソングとして歌われる「 Over The Rainbow 虹の彼方に」は間違いなく映画史に残る名曲だと思う。
登場するキャラクターは面白いけれど、やはり僕には子供だましに思えた。
ドロシーのお供は三人のキャラクターなのだが、お供としては三人が治まりが良いのだろうか。
桃太郎のお供も猿、犬、雉で、それぞれ智・仁・勇を表しているとのことであるが、ここで登場する案山子は知恵を求め、ブリキ男は心を、ライオンは勇気を求めている。
智・仁・勇は日米を通じて共通した価値観なのだろう。
ドロシーがエメラルドの国を目指す途中で、一人ずつ仲間に加えていくのも桃太郎と同じだ。
桃太郎の家来たちと違い、彼らは自分たちの持つ能力を生かして戦うことはしない。
むしろ弱点ばかりがあって、案山子は体に藁を詰め込まれているので火に弱く、藁を抜かれてしまうと動けなくなってしまうし、ブリキ男は水に弱くすぐに錆びついてしまう。
涙を流すだけでも錆びついてしまって動けなくなるので、すぐに油を刺してあげないといけない。
ライオンは強そうに見えるが、実は弱虫で非常に怖がりである。
そのような設定が映画を楽しいものにしていて、子供を含めた家族で見る分には満足できると思う。
魔女や魔法の国での登場キャラクターが特異なため、主人公のドロシーが可愛く見える。
ジュディ・ガーランドは特に抜きん出た可愛さがあるわけでもないが、その歌声は魅力的で役柄の加勢もあって一躍人気者になったのは理解できる。
エメラルドの国の大王は、愛することよりも、愛されることの方が大事だと語り、ドロシーは家庭こそ一番だと悟る。
そして夢から覚めたドロシーは魔法の国で出会った人たちは、自分の周りにいた人たちだったことを知る。
ドロシーはその人たちを愛し、その人たちから愛されていたから、魔法の国で出会えたのだろう。
小犬のトトが少し活躍するのが微笑ましい。
魔女がドロシーに水を掛けられて解けてしまうが、なぜ魔女は水に弱かったのだろう。
ドロシーはケシが咲き誇る丘で眠りこけてしまう。
ケシと言えば麻薬の原料となる花で、後年ジュディ・ガーランドが薬物中毒になったことを想うと、皮肉なシーンだなと思えた。
47歳のジュディ・ガーランドは滞在先のロンドンで、睡眠薬の過剰摂取にてバスルームで死去し自殺説もある。
演技力も備えた女優で、この若さはやはり惜しい。