「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」 2017年 日本
監督 大根仁
出演 妻夫木聡 水原希子 新井浩文 安藤サクラ
江口のりこ 天海祐希 リリー・フランキー
松尾スズキ 李千鶴 カイ・ホシノ・サンディー
ストーリー
“力まないカッコいい大人”奥田民生を崇拝するコーロキ(妻夫木聡)は、おしゃれライフスタイル雑誌編集部に異動したが、慣れない高度な会話に四苦八苦するコーロキを編集長の木下(松尾スズキ)は励ましてくれた。
コーロキは次第におしゃれピープルに馴染み、奥田民生のような男を目指していた。
そんなある日、仕事で出会ったファッションプレスの美女・天海あかり(水原希子)に一目ぼれ。
その出会いがコーロキにとって地獄の始まりとなるのだった。
あかりに釣り合う男になろうと仕事に力を入れ、嫌われないようにデートにも必死になるが常に空回り。
あかりの自由奔放な言動と行動に振り回され、コーロキはいつしか身も心もズタボロになってしまう。
おまけにあかりのDV男が同僚の住吉(新井浩文 )だと判明しあわてるコーロキ。
コーロキは基本的には仕事はできるのだが、あかりに対しては醜態をさらし続けている。
ある日、いつものように自宅マンションでSEXした翌日、コーロキとあかりは京都旅行を計画する。
だがそのためには、コーロキは土曜日の夜までに美上ゆう(安藤サクラ)の原稿を手に入れないといけない。
遅筆で有名な美上は、金曜の夜の段階で逃げた猫を捜しに駒沢公園に行ってしまい、原稿を書く様子はない。
あかりとの約束を破りたくないコーロキは発狂するが、編集長の真っ当な助言もあり、一緒に公園で猫を追い掛け回す。
美上はそのあとすぐ家に戻り、コーロキに付き添ってもらいながら一日がかりで原稿を仕上げ、奥田民生と絡めた最高傑作のエッセイを仕上げる。
すぐさま編集部に戻り入稿の準備をするが、エッセイに添えられたイラストに重大なミスが発見される。
コーロキは美上に電話を入れて訂正を依頼するが、あかりとの約束は果たせなくなってしまう。
寸評
コーロキが奥田民生を崇拝しているのは他人の目を気にせず自分らしさを貫く姿に感銘しているからである。
ところが現実のコーロキは、あかりに気に入られるためにはと常にあかりの存在を気にしてしまっている。
目指す自分の姿とは違うが、コーロキがあかりの前で右往左往する姿は分らぬでもない。
思いを寄せる女性の前で背伸びしながら自分を演じ続け、相手の気を引こうとする姿は片思い経験のある男性なら思い当たるふしがあるのではないか。
そんな時の女性は悪魔的に思わせぶりな態度をとったりする。
その小悪魔的な態度に男はさらに悶絶しながら翻弄されるのである。
男目線ではあるが、そんな恋模様が面白おかしく描かれていて楽しめる作品となっている。
遅筆で有名な美上からの入稿にたいして、ウジウジするコーロキに優対して、それまで彼に優しかった編集長が一喝するが、その一喝はしごくまともなものである。
コーロキは目を覚ましたように美上と共に猫を探し、その事を通じて原稿を手に入れる。
恋愛ごっこから仕事に目覚めていく姿でもある。
男はどこかで仕事と恋愛の二者択一を迫られた時に決断しなければならない時がある。
コーロキはその場面に直面した時に仕事を選択したのだ。
その事をさらに描き出したのが、それに続くシーンである。
エッセイに添えられたイラストにミスが発見され、描き直してもらっていたら新幹線には間に合わない。
イラストの間違いに目を瞑れば新幹線に間に合って、あかりに会うことができるという状況となる。
恋愛と仕事をごっちゃにしてきたコーロキが、これらに順序をつけなくてはいけなくなる。
そこでコーロキは仕事を選択し、結果的にあかりと別れることになってしまう。
ところがコーロキと美上の距離は、ここで縮まったのだろうと思わせる描き方が意味深いものとなっている。
コーロキは仕事のクオリティを優先させたことによって、本当の恋愛を手に入れたのだと思う。
この一件によってコーロキは、あかりによる試練を乗り越えたと見るべきなのだろう。
そうみると、この映画のヒロインは天海あかりの水原希子ではなく美上ゆうの安藤サクラだったのではないかと思えてくる。
松尾スズキの 編集長がコーロキに語っていた青春時代の恋の景色が、コーロキの目の前で再現される。
編集長はそれをバネに仕事に目覚めたようなことを述べていたが、コーロキも仕事に邁進していくのだろう。
それは憧れていた自分の生き方を捨て去ることではない。
夢を描いていた頃の自分と出会いながら、今の自分を感じるコーロキの前途は開けていると言える。
あかりを巡る三人の男の存在は面白かったが、その男たちを翻弄する天海明かりを演じる水原希子がそれ以上に面白い表情を見せる。
場面場面によって全く違う女を感じさせるのがいい。
嫌味な女に思え、こんな女性はまっぴらだと反感を持ちながら見ていた水原希子だったのだが、この作品における女優としては中々のものだった。
監督 大根仁
出演 妻夫木聡 水原希子 新井浩文 安藤サクラ
江口のりこ 天海祐希 リリー・フランキー
松尾スズキ 李千鶴 カイ・ホシノ・サンディー
ストーリー
“力まないカッコいい大人”奥田民生を崇拝するコーロキ(妻夫木聡)は、おしゃれライフスタイル雑誌編集部に異動したが、慣れない高度な会話に四苦八苦するコーロキを編集長の木下(松尾スズキ)は励ましてくれた。
コーロキは次第におしゃれピープルに馴染み、奥田民生のような男を目指していた。
そんなある日、仕事で出会ったファッションプレスの美女・天海あかり(水原希子)に一目ぼれ。
その出会いがコーロキにとって地獄の始まりとなるのだった。
あかりに釣り合う男になろうと仕事に力を入れ、嫌われないようにデートにも必死になるが常に空回り。
あかりの自由奔放な言動と行動に振り回され、コーロキはいつしか身も心もズタボロになってしまう。
おまけにあかりのDV男が同僚の住吉(新井浩文 )だと判明しあわてるコーロキ。
コーロキは基本的には仕事はできるのだが、あかりに対しては醜態をさらし続けている。
ある日、いつものように自宅マンションでSEXした翌日、コーロキとあかりは京都旅行を計画する。
だがそのためには、コーロキは土曜日の夜までに美上ゆう(安藤サクラ)の原稿を手に入れないといけない。
遅筆で有名な美上は、金曜の夜の段階で逃げた猫を捜しに駒沢公園に行ってしまい、原稿を書く様子はない。
あかりとの約束を破りたくないコーロキは発狂するが、編集長の真っ当な助言もあり、一緒に公園で猫を追い掛け回す。
美上はそのあとすぐ家に戻り、コーロキに付き添ってもらいながら一日がかりで原稿を仕上げ、奥田民生と絡めた最高傑作のエッセイを仕上げる。
すぐさま編集部に戻り入稿の準備をするが、エッセイに添えられたイラストに重大なミスが発見される。
コーロキは美上に電話を入れて訂正を依頼するが、あかりとの約束は果たせなくなってしまう。
寸評
コーロキが奥田民生を崇拝しているのは他人の目を気にせず自分らしさを貫く姿に感銘しているからである。
ところが現実のコーロキは、あかりに気に入られるためにはと常にあかりの存在を気にしてしまっている。
目指す自分の姿とは違うが、コーロキがあかりの前で右往左往する姿は分らぬでもない。
思いを寄せる女性の前で背伸びしながら自分を演じ続け、相手の気を引こうとする姿は片思い経験のある男性なら思い当たるふしがあるのではないか。
そんな時の女性は悪魔的に思わせぶりな態度をとったりする。
その小悪魔的な態度に男はさらに悶絶しながら翻弄されるのである。
男目線ではあるが、そんな恋模様が面白おかしく描かれていて楽しめる作品となっている。
遅筆で有名な美上からの入稿にたいして、ウジウジするコーロキに優対して、それまで彼に優しかった編集長が一喝するが、その一喝はしごくまともなものである。
コーロキは目を覚ましたように美上と共に猫を探し、その事を通じて原稿を手に入れる。
恋愛ごっこから仕事に目覚めていく姿でもある。
男はどこかで仕事と恋愛の二者択一を迫られた時に決断しなければならない時がある。
コーロキはその場面に直面した時に仕事を選択したのだ。
その事をさらに描き出したのが、それに続くシーンである。
エッセイに添えられたイラストにミスが発見され、描き直してもらっていたら新幹線には間に合わない。
イラストの間違いに目を瞑れば新幹線に間に合って、あかりに会うことができるという状況となる。
恋愛と仕事をごっちゃにしてきたコーロキが、これらに順序をつけなくてはいけなくなる。
そこでコーロキは仕事を選択し、結果的にあかりと別れることになってしまう。
ところがコーロキと美上の距離は、ここで縮まったのだろうと思わせる描き方が意味深いものとなっている。
コーロキは仕事のクオリティを優先させたことによって、本当の恋愛を手に入れたのだと思う。
この一件によってコーロキは、あかりによる試練を乗り越えたと見るべきなのだろう。
そうみると、この映画のヒロインは天海あかりの水原希子ではなく美上ゆうの安藤サクラだったのではないかと思えてくる。
松尾スズキの 編集長がコーロキに語っていた青春時代の恋の景色が、コーロキの目の前で再現される。
編集長はそれをバネに仕事に目覚めたようなことを述べていたが、コーロキも仕事に邁進していくのだろう。
それは憧れていた自分の生き方を捨て去ることではない。
夢を描いていた頃の自分と出会いながら、今の自分を感じるコーロキの前途は開けていると言える。
あかりを巡る三人の男の存在は面白かったが、その男たちを翻弄する天海明かりを演じる水原希子がそれ以上に面白い表情を見せる。
場面場面によって全く違う女を感じさせるのがいい。
嫌味な女に思え、こんな女性はまっぴらだと反感を持ちながら見ていた水原希子だったのだが、この作品における女優としては中々のものだった。