おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

史上最大の作戦

2019-07-13 10:14:23 | 映画
「史上最大の作戦」 1962年 アメリカ


監督 ケン・アナキン
   ベルンハルト・ヴィッキ
   アンドリュー・マートン
出演 ジョン・ウェイン
   ヘンリー・フォンダ
   ロバート・ライアン
   リチャード・バートン
   ロバート・ミッチャム
   リチャード・ベイマー
   ポール・アンカ
   メル・ファーラー
   クルト・ユルゲンス
   ゲルト・フレーベ

ストーリー
1944年6月4日未明セーヌ河の湾曲部にあるドイツ西部軍B師団司令部で、司令官ロンメル元帥は家族の許へ帰ろうとしていた。
連合軍の大陸侵入作戦を知らないわけではなかったがここ数週間は悪天候だし防御は完璧だった。
南部イングランドで300万近い連合軍を指揮するアイゼンハワー最高司令官は上陸作戦の日(D・DAY)を決定しょうとしていた。
最高首脳部会議は気象部員からの詳細な報告に基づき6日をD・DAYと最終決定し、5000雙からなる大船団はノルマンディへ南下し午前零時15分、米軍空挺部隊の降下から上陸作戦の火蓋は切られた。
5時半の海上からの攻撃開始を西部軍総司令部が知ったのはその30分前、情婦エヴァの側にあったヒトラーやヘルリンゲンの自宅にいたロンメルが知ったのは5時間後だった。
防御陣地は判断を誤った作戦会議のために殆ど無用の長物と化したが、激浪に苦しめられてきた連合軍を海辺に釘づけにして多大な損害を与えた。
しかし物量を誇る連合軍は内陸深く侵入し上陸舟艇はノルマンディの海を覆った。
“上陸作戦の最初の24時間は決定的なものになるだろう--この日こそ連合軍にとっても我々にとっても一番長い日になるだろう”とロンメルに言わせた6月6日は史上最大の作戦をもった連合軍の圧倒的な勝利に終わり、ナチス・ドイツが崩壊し去る運命の日になった。


寸評
独軍はバカだったけれど、連合軍はこんなにも勇敢で、明るく戦ったのだとでも言わんばかりの映画。
連合軍側にも多大な被害が出るがそれを感じさせない。
連合国側が無傷と言うわけはなく、それなりの死者が出るが、それにひるむことなく果敢な進撃を見せる。
事実もそれに近いものがあったであろうことは推察できるが、ここまでドイツ軍をバカ扱いするのは勝者の奢りのような気がする。

出撃はいつかと待ちわびている兵士の様子が冒頭から40分ほど続く。
そして反抗日が決定し、イギリスのグライダー部隊が橋の確保に出撃するところから戦闘が開始される。
米国の落下傘部隊も出撃し、アメリカを象徴するジョン・ウェインがヒーローらしく描かれる。
その他、出てくるわ、出てくるわで、各国の俳優達が目白押しで登場する。
オールドファンには、その俳優確認をしているだけでも楽しくなる作品だ。
アメリカからジョン・ウェイン、ヘンリー・フォンダ、ロバート・ミッチャム、メル・ファーラー、ロバート・ライアン、リチャード・ベイマー、テーマ曲も作曲しているポール・アンカなど目白押し。
イギリスからケネス・モア、リチャード・バートン、ピーター・ローフォード、ショーン・コネリーなど。
フランス側からはジャン・ルイ・バローを初め、ザナックに発見されてこの映画でデビューするイリナ・デミック。
ドイツからはクルト・ユルゲンス、ウェルナー・ハインツ、ピーター・ヴァン・アイクなどだ。
もちろんこれだけたくさんの出演者なのでちょっとしか出ない人もいる。

米、英、独をそれぞれ3名の監督で担当した3時間に及ぶ大作だが、盛り込まれるエピソードに切れがなくやや間延び感がしてしまうのは3名で分担した為かも知れない。
仲間を見分けるための合図に関するエピソード、教会の屋根に引っ掛かってしまった降下部隊の兵士の耳がおかしくなってしまった話、ドイツ兵のブーツの履き違いなど小ネタが散りばめられているのだが、どれもこれも添え物的に描かれていて、作品の重厚感を失わせていると思う。
連合国が勝ちドイツは負けたから仕方がないのかもしれないが、ここまでドイツはバカだったと描くと、かえって信憑性が薄れ映画自体の緊迫感を失くしている。
ドイツのパイロットはたった2機で上陸地点に出撃し、一度銃撃して「ドイツ空軍はよく戦った」と引き上げていく。
事前に戦闘機を終結させるように進言していたのに、それが叶わなかったことへの反発もあるのだろうが、それでも出撃する時には「もう戻ってこれないだろう」と言っていたのにアッサリと戦場放棄だ。
製作年度だけではなくその描かれ方が、今となっては実に懐かしい映画作りとなっていて、この様な作風の戦争映画は二度と見られないのではないか思う。
最初と最後は海岸に残されたヘルメットが映し出されるが、たった一つのヘルメットが失われた命の多さを物語っていた。
そしてオマハビーチの上陸作戦の成功をもって対ドイツ戦は終了したと思わせるラストであった。

でも懐かしいなあ…あのテーマ曲。
以前は今と違ってアメリカ製作のテレビ番組が放映されていて、ミッチ・ミラーの音楽番組でこのテーマソングを聞いたことが有る。
クワイ河マーチと共に耳に残るテーマ曲だ。