ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

フュージョンエネルギー

2024-06-24 10:41:47 | 日記
きょうの朝日新聞を読んで、「フュージョンエネルギー」という夢のようなエネルギー技術があることを知った。

フュージョンとは核融合。海水にも含まれる重水素を燃料として核融合発電できれば、二酸化炭素を排出せず、原発のような高レベル放射性廃棄物も出ない。エネルギーや環境課題に朗報となる。
(朝日新聞6月24日)

重水素を燃料として核融合を起こし、発電を行う。この発電技術が実現すれば、「二酸化炭素を排出せず、原発のような高レベル放射性廃棄物も出ない」というのだから、地球温暖化の抑止に役立ち、エネルギー問題の解決にも役立つのだから、願ったり叶ったりではないか。

問題は、この技術の安全性である。フクシマのような大事故を起こす可能性があるのでは、元も子もない。ネットで調べてみた。次のような記事が見つかった。

原子炉と比較した場合、フュージョンエネルギー固有の安全性を示す、以下の特長を持つ。①どちらも反応後に中性子が発生するが、原子炉では中性子を介した連鎖反応を用いているのに対して、フュージョンエネルギーでは反応後に生成されたヘリウムと中性子は、次の核融合反応に無関係。②フュージョンエネルギーでは、炉の中に燃料が装荷されているのではなく、必要な燃料をその都度外部から供給する。そのため、燃料の供給を止めれば反応も止まる。③燃料の温度を数億度にしないと核融合反応は起きないので、加熱を止めれば反応も止まる。④核融合反応後に生成されるものはヘリウムと中性子のみであり、原子力発電所の使用済み燃料のような高レベル放射性廃棄物はでない。
(日本機械学会誌「総論~最近の核融合開発の動向~」)

なるほど。フュージョンエネルギーの技術が安全であることの合理的な説明であり、これには私も納得せざるを得ない。

では、コスパの面はどうなのか。上の記事には「燃料の温度を数億度にしないと核融合反応は起きない」とあるが、燃料を数億度まで上げるとなれば、その施設の建造にはとんでもなく費用が掛かるのではないか。

この点についてネットで検索すると、

「経済の観点から見れば、核融合エネルギーは風力発電や太陽光発電よりもむしろ高コストかもしれない」

とする記事が見つかった(WIRED.jp)。
ド素人の私にはこの記事の真偽ははかりかねるが、朝日新聞の記事は、この点に関する一つの判断材料を提供してくれているように思える。朝日は次のように書いている。

文部科学省が、ほぼ5年ごとに未来予測の調査を続けている。多数の専門家へのアンケートで、さまざまな技術が実現すると見込む時期をまとめている。それぞれの時点で各分野の専門家の見解を統合した予測だ。
核融合発電は、1971年の1回目の調査では実験炉完成を93年と予測した。
毎回同じ設問ではないが、77年の調査は『電力を取り出すシステムの開発』が『2004年』、87年は『実験炉の開発』が『2016年以降』。97年は、核融合発電炉の開発が『2026年以降』とされた。今世紀に入り、核融合発電について10年が『41年以降』、直近の19年は『51年以降』に延びた。

(同前)

開発が実用段階に近づくにつれ、このシステムの完成年は「逃げ水」のように先へ先へと伸びていく。
このことは、この技術がとんでもなく「金食い虫」であることと関係があるのではないか。この技術はとんでもない「金食い虫」だから、だから永久に完成しないのではないか。

フュージョンエネルギー。これは「夢のようなエネルギー技術だ!」と思ったのも束の間、この私の思いは夢のように儚く消えていったのである。

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