ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

生ゴミから都市ガス⁉

2024-06-18 11:20:20 | 日記
この記事を新聞で見たとき、「むむ、こういつは素晴らしい!」と思った。だが、この記事に何度か目を通すうち、私の中に「う〜む、実際はどうなのだろうなあ」と迷う気持ちが芽生えはじめた。「こいつは案外、食わせものなのかもしれない・・・」。

その記事には、こんな見出しが付けられていた。

燃やすのに脱炭素?生ゴミから都市ガス メタン合成、大阪ガスが万博隣接の設備
(朝日新聞6月18日)

この見出しがいうように、問題の技術は、生ゴミ(バイオマス)から(そこに含まれる水素とCO2を合成して)都市ガスと同じ成分の「e―メタン」を製造する技術である。言ってみれば「地産地消型」のエネルギー製造の技術である。
都市ガスを燃やせばCO2が排出されるが、それと同量のCO2が「e―メタン」の合成過程で使われるから、排出CO2は使用CO2と相殺され、「脱炭素」の目標が達成されるという。

原料となる生ゴミは、近隣のスーパーから提供を受けるから、これには費用もかからないし、事欠くこともない。

ーーと、まあ、一見すると良いこと尽くめだが、実際のところはどうなのだろう。そんなうまい話があるのだろうか。
このところずっとデイサでスキマ時間に『人新生の「資本論」』(斎藤幸平著)を読んでいたので、私には「脱炭素化」の技術に疑いの目を向ける癖(へき)がついてしまった。

疑いの目で見ると、次の件(くだり)が気になった。

課題は、コストだ。脱炭素化を進めるには、多額の費用を投じて大きな設備をつくり、再エネ由来の水素を調達する必要がある。後藤氏は『コストはまだまだ未知数な部分がある』とし、『(水素の生成に使う)再エネ由来の電力をいかに安く入手できるか、CO2を大量に回収できる仕組みも欠かせない』とする。
(同前)

「e―メタン」を作るためには大量の水素を調達する必要があるが、そのためには大きな設備をつくる必要がある。とすれば、これには莫大な費用がかかり、また、その過程で排出されるCO2の量も馬鹿にならないのではないか。
それだけではない。水素の生成のために大量の電力が使われるとすれば、その電力を生み出すために使われる費用や、排出されるCO2の量も大きなものになるだろう。

つまり、生ごみから都市ガスをつくるこの(夢の⁉)プロジェクトは、それ自体、多額のコストを必要とし、大量のCO2の排出を必要とするというのである。
う〜む、どうなのだろうなあ。


コメント
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