ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

「虎に翼」と戦争は

2024-06-09 09:56:46 | 日記
毎朝、NHKの朝ドラ「虎に翼」を興味深く見ている。これまでに二度、印象深いシーンが出てきた。傷痍軍人が道端に座り、ハモニカを吹いている姿である。

私は小学生の頃、不具になった軍人たちのそういう姿を実際に見たことがある。小学4年生か5年生だった頃、学校で上野動物園に遠足に行ったとき、私はそういう傷痍軍人たちの痛ましい姿を見たのだった。

朝ドラ「虎に翼」を見て、このシーンが印象に残ったのは、その後の私の著述活動と関係がある。ある本の執筆段階で、私はこの(傷痍軍人の痛ましい姿を見た)体験について書いたのだが、その箇所は編集者によって削除するように要求された。
察するにこの「傷痍軍人」という言葉は、「屠殺場」や「養老院」といった言葉と同様、「公にするのは不適切」とされたのだろう。

敗戦後50年あまりが経ち、だれもが忘れたがっている過去の戦争の、その戦後の黒歴史を公にするのは適切ではない、ーー編集者はおそらくそう判断したのだろう。
この編集者の判断が当時の出版物編集のガイドラインにあったのかどうか、私は知らない。

もうお分かりだろう。NHKの朝ドラは、この禁を破り、戦後の黒歴史を描こうとしているのだ。前作の「ブギウギ」もそうだったが、最近のNHKは戦後の歴史を客観的に見つめなおそうとしているのかもしれない。

だがそうであるなら、NHKはこのドラマで、米軍による原爆投下問題にも切り込むべきだろう。
よく知られているように、この朝ドラは、女性初の判事となった三淵嘉子をモデルにしている。この三淵嘉子について、Wkipediaには次のような記述がある。

1956年5月、東京地裁判事となる。広島と長崎の被爆者が原爆の責任を訴えた『原爆裁判』を担当(裁判長古関敏正、三淵、高桑昭)。1963年12月7日、判決は請求棄却とするも日本の裁判所で初めて『原爆投下は国際法違反』と明言した。

この「原爆裁判」の判決に携わったことこそ、三淵の最大の功績と見るべきだろう。
焦ってはいけない。朝ドラは今はまだ昭和22年(1947年)あたりを描いている。今後は当然、1956年の「原爆裁判」も描くことになるはずだ。NHKがこのあたりをどう描くか、ちょっぴり楽しみではある。
「国民のためのNHK」である。アメさんに「忖度」なんてしないよなあ。

コメント
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