ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

たかがヒグマ、されど・・・

2024-06-14 15:45:38 | 日記
デイサから帰宅し、チューハイで喉を潤しながらテレビをつけると、夕方のニュース番組が次のように伝えた。

ヒグマの目撃が相次ぐ町で、クマが出没しても町が猟友会に連絡をしない異例の事態が続いています。

このニュースを上の空で聞きがら、私は「ははあ、あれだな」と思った。町の当局者はきっと動物保護団体の抗議を恐れて、猟友会への連絡を控えたのだろう。ヒグマが住民を襲えば、大変なことになる。それを知っていながら、人命よりもヒグマの命を優先するなんて、本末転倒もはなはだしい。アホらしい話だ。

私は腹が立って、チャンネルを切り替えた。チャンネルを切り替えたあとで、「待てよ、こんな話でも、あしたのブログのネタにはなるかもしれない」と思い直した。

問題の町は、北海道にある「奈井江町」だという。さっそくネットで事の顛末を調べてみた。こんな記事が見つかった。

北海道空知地方の奈井江町で、地元の猟友会が報酬の低さなどを理由に活動を辞退している問題で、奈井江町が猟友会への依頼を断念したことがわかりました。(中略)
奈井江町の三本英司町長は8日、地元の猟友会が『報酬が不十分』などとしてクマの駆除などの活動を辞退していることを受け、報酬の増額を含めた猟友会側の要望を早急に検討すると回答しましたが、猟友会側は『有害駆除を理解していない』として打診を断ったということです。

(TBS NEWS DIG 6月11日配信)

要するに、猟友会側はこう言いたいらしい。
「ヒグマを駆除することで、貴重な人命が救われる。だが、ヒグマを駆除するために、我々も相当の危険を冒さねばならない。ヒグマの駆除という仕事は、命がけの危険な仕事なのだ。だからそれなりの報酬をもらわなければ、我々はこの仕事を引き受ける気にはなれない。我々としては、報酬の増額を要求する。」

つまり、ここにあるのは「労働者の賃上げ要求」というよくある話のバリエーションである。
「危険を伴う仕事」はなにもヒグマの駆除だけではない。火事の消火にあたる消防士も、暴力団を取り締まる「マル暴」の刑事も、みな同じである。

猟友会が要求する「報酬の増額」を認めたら、奈井江町は消防士の賃上げも認めざるを得ないことになる。そんなことをしたら、「なにィ〜、小さな町の木っ端役人が、とんでもない越権だ!」と、中央官庁・人事院のお偉方は怒りを顕にするだろう。
とはいえ、ヒグマの駆除に町は猟友会の手を借りないわけにもいかず・・・。
う〜む、簡単なようで、難しい話である。


コメント
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