ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

ノーベル平和賞と米朝首脳会談

2019-02-20 14:58:53 | 日記
きのうの本ブログでは、我が国のアベ首相がトランプ米大統領をノーベル平和賞の候補に推薦したという、びっくり仰天のトンデモ・ニュースについて取りあげた。このトンデモ・ニュースは、新聞の社説でも取りあげられている。
朝日新聞の社説《平和賞推薦 対米追従が過ぎないか》(2月19日)は、タイトルが示すように、安倍政権の対米追従姿勢、つまりその露骨なポチぶりが、いくらなんでも度を越えているのではないか、と非難している。

トランプ米大統領は、自分がアベ首相からノーベル平和賞に推薦された理由について、こう述べたという。「日本の領土を飛び越えるようなミサイルが発射されていたが、いまは日本人は安心を実感している」。
この発言は去年の米朝首脳会談の成果を受けたものだが、これについて、朝日はこう主張する。
「この会談を経て、北朝鮮が核・ミサイル実験を自制し、朝鮮半島の緊張が緩和されたのは事実だ。しかし、両首脳の合意はあいまいで、半年以上たった今も、北朝鮮の非核化の先行きは見通せない。」

緊張緩和の先行きが見通せないからこそ、アベ首相はアメリカから高額のイージス・アショアを買い(買わされ)、また、米国製戦闘機F35計105機の追加購入も決めて、国内の危機感をあおるしかないのだ。これでは日本の国民が、心から安心できるわけがない。

それに、このようにして達成された無風状態、つまり「北のミサイルが日本上空を飛ばない状態」は、力によって北の跳ね上がりを抑え込んだ状態であって、「力による平和」に過ぎず、こんなものはノーベル平和賞に値するホントの「平和」とは言えない、と朝日は言う。

そもそも、偏狭な「米国第一」主義に走り、国際強調の枠組みに次々と背を向けるトランプ大統領の姿勢は、平和主義に著しく反し、ノーベル平和賞の理念からも遠くかけ離れている。

朝日の社説は、最後にこう締めくくっている。「トランプ氏によると、首相は『日本を代表し、敬意を込めて推薦した』と伝えたという。ならば、(首相は)国民に堂々と説明すべきだ。それもできないのに、あたかも日本の総意のように振る舞うのはやめてもらいたい。」
アベ首相は日本国民に恥をかかせた。恥を知れ!と朝日は言いたいのだろう。


もう一つの社説、毎日新聞の《平和賞にトランプ氏推薦 安倍首相、ご冗談でしょう》(2月19日)はどうか。
毎日はこう論じている。米朝間の緊張緩和は、たしかに去年行われた米朝首脳会談の合意によって生まれたものだ。「しかし、合意には日本に脅威となる核兵器や短・中距離弾道ミサイルの廃棄は明記されなかった」。

つまり、日本にとっては、国民が安心できるようなホントの「平和」は生まれていないのだ。毎日はこう主張する。「平和賞候補に推薦されたのを自慢するのであれば、(トランプ氏は)次回の米朝首脳会談で、核・ミサイルを廃棄させ、敵対関係を緩和し、地域や世界に安定をもたらす合意につなげるべきだ。」

このように考えれば、トランプ大統領をノーベル平和賞に推薦するのは、ベトナムで近々行われる米朝首脳再会談の、その成果をみた後にするのが、まっとうな順序だろう。ところがトランプ大統領は、ベトナムで再会談が行われる前の、今の時点で自分を推薦するよう、安倍首相に依頼してきた。彼はきっと再会談の成果に自信が持てないでいるに違いない。

そんなトランプ大統領をヨイショしたって、浮かぶ瀬はないのだけれどね。アベさん。
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