ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

少子化と夢の世界

2024-06-17 13:46:32 | 日記
少子化の危機が叫ばれて久しい。その影響がこんなところにまで及んでいるときょうの新聞で知り、自分の無知に愕然とした。

5月9日の参院外交防衛委員会。元陸上自衛官の佐藤正久氏(自民)は海上自衛官から届いた勤務環境改善を求める手紙を読み上げ、『人的有事だ』と語気を強めた。
『防衛力の抜本強化と言っても人がいないと、骨太ではなく骨細の自衛隊になりかねない』
答弁に立った木原稔防衛相は『あらゆる産業で深刻な人手不足社会を迎え、人材獲得競争は熾烈(しれつ)』と現状の厳しさを認めた上で『隊員確保に尽力する』と答えた。

(朝日新聞6月17日)

少子化の影響で、深刻な人手不足に陥っている自衛隊。人手不足の現状では、国防体制の弱体化は免れない。その窮状を乗り越えるには、ではどうすればよいのか。

同じく少子化に悩む欧州では、「徴兵制の復活」が大真面目で議論されているらしいが、平和憲法をいただく日本では、「徴兵制」の復活をめざすことは難しく、現実的ではない。

とすれば、自衛隊員の給与を引き上げるといった待遇改善策が隊員確保の手段として有力になるが、これにも限界がある。
今どきの若者は3Kを嫌い、「きつく」「危険な」職場はそれだけで毛嫌いする傾向がある。

だからといって「きつく」「危険な」訓練を行わなないことにすれば、自衛隊の戦闘能力=防衛能力は著しく弱体化する。

ではどうすればよいのか。決定的な二つの切り札がある。
一つは、AIの活用である。戦闘などの危険な行為はAIに任せ、自衛隊員はその操縦に専念する。何ならAIの操縦もAIに任せ、自衛隊員は戦況を見守るだけにする。
テクノロジーの活用はだれもが考えることらしく、朝日の記事もこう書いている。

『8がけ社会』を前提に自衛隊が精強さを保つには、テクノロジーの活用は欠かせない。元海上自衛官で、AI企業『FRONTEO』社長の守本正宏氏は『いかに少ない人手で機械を故障なく動かし続けられるかが、自衛隊でも大切になる』と指摘する。(中略)
防衛省幹部は、人手不足が進む中では『火力(破壊力)を強め、射程を伸ばし、打撃の精密性を高めていくしかない』と語る。攻撃を未然に防ぐ抑止力の向上のためとされる敵基地攻撃能力の強化や、AIの活用を見込む。

(同前)

最先端のテクノロジーであるAIの活用。これなら自衛隊は「有事」でも、3Kとは無縁の職場になり、人員の確保も容易になることだろう。

もう一つは、戦闘・戦争の回避である。利害が衝突する敵国とはできる限り外交的な交渉を行い、なるべく戦争は行わないようにする。
戦争をしないとなれば、戦闘訓練をする必要もなくなり、自衛隊ほど快適な職場はない。まがりなりにも国家公務員であるから、給与面での安定性も抜群であり、これこそ理想の職場だ、と思う若者も激増することだろう。

こう考えると、少子化がもたらす影響は、決して悪いことばかりではないことが分かる。少子化は、戦争がない世界、平和な世界をもたらす。各国が少子化に悩む現状では、これは決して夢の話ではない。
これは素晴らしいことではないだろうか。

コメント
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