産油国になったサウジで財を成したムハンマド・ビンラディンの、その17番目の息子・オサマ・ビンラディンが、なぜアメリカの象徴ともいえるワールドトレードセンターを標的にして同時多発テロを仕組んだのか、大体のところはお分かりいただけたと思う。
オサマ・ビンラディンの犯行の動機をみるとき、私は(日本で半世紀前に割腹自殺を遂げた)三島由紀夫のことを思い起こす。三島は、アメリカに敗けた日本の、その戦後の精神文化が、たちまちアメリカナイズされ、享楽主義によって蝕まれていく風潮に危機感を懐いていた。
オサマも、ムスリムの伝統文化がアメリカの享楽主義によって蝕まれていくことに憤っていた。
それはともかく、同時多発テロの事件後の急転直下の展開は、大方の知る通りである。
アメリカ当局は、同時多発テロの首謀者がオサマであること、オサマがアフガンに逃げ込んだことをすぐに突きとめた。同国のタリバン政権に匿われていることを知ったアメリカのブッシュ政権は、アメリカ国民の激しい怨嗟の声を背景に、直ちにアフガンに軍隊を送り、同国のタリバン政権を崩壊させた。
アメリカの強大な近代的軍事力によって、未開の国・アフガンの野蛮なタリバン政権は殲滅された、ーーだれもがそう信じ込んでいた。2021年にアメリカのバイデン大統領が「米軍のアフガンからの撤退」の方針を打ち出すまでは、だれもがそう信じて疑わなかった。
だが、侵攻から撤退までの20年間は、米兵とタリバン兵が不毛な死闘を繰り広げる泥沼の期間だったようだ。タリバン側が攻勢を強め、米軍が撤退を余儀なくされるなど、だれもが想像すらしていなかった。だが、それが紛れもない現実だったのである。
アフガン難民の発生は、その延長線上にある。復権したタリバンは、たちまちアメリカへの協力者をあぶり出し、彼らに危害を加え始めた。
女性への厳しい差別・弾圧政策など、何かと評判が悪いタリバン政権だが、20年という長い歳月をかけて強大な米軍を撃退したその粘り強さは、驚嘆に値する。同じく米軍を撃退したベトコン(南ベトナム解放民族戦線)の底力を思い合わせるとき、私は、近代的な兵力は意外に脆いのではないか、と思わされる。では、イスラエルを迎え撃つパレスチナのハマスはどうなのか。そんなことを考えたりする天邪鬼爺の昨今である。
オサマ・ビンラディンの犯行の動機をみるとき、私は(日本で半世紀前に割腹自殺を遂げた)三島由紀夫のことを思い起こす。三島は、アメリカに敗けた日本の、その戦後の精神文化が、たちまちアメリカナイズされ、享楽主義によって蝕まれていく風潮に危機感を懐いていた。
オサマも、ムスリムの伝統文化がアメリカの享楽主義によって蝕まれていくことに憤っていた。
それはともかく、同時多発テロの事件後の急転直下の展開は、大方の知る通りである。
アメリカ当局は、同時多発テロの首謀者がオサマであること、オサマがアフガンに逃げ込んだことをすぐに突きとめた。同国のタリバン政権に匿われていることを知ったアメリカのブッシュ政権は、アメリカ国民の激しい怨嗟の声を背景に、直ちにアフガンに軍隊を送り、同国のタリバン政権を崩壊させた。
アメリカの強大な近代的軍事力によって、未開の国・アフガンの野蛮なタリバン政権は殲滅された、ーーだれもがそう信じ込んでいた。2021年にアメリカのバイデン大統領が「米軍のアフガンからの撤退」の方針を打ち出すまでは、だれもがそう信じて疑わなかった。
だが、侵攻から撤退までの20年間は、米兵とタリバン兵が不毛な死闘を繰り広げる泥沼の期間だったようだ。タリバン側が攻勢を強め、米軍が撤退を余儀なくされるなど、だれもが想像すらしていなかった。だが、それが紛れもない現実だったのである。
アフガン難民の発生は、その延長線上にある。復権したタリバンは、たちまちアメリカへの協力者をあぶり出し、彼らに危害を加え始めた。
女性への厳しい差別・弾圧政策など、何かと評判が悪いタリバン政権だが、20年という長い歳月をかけて強大な米軍を撃退したその粘り強さは、驚嘆に値する。同じく米軍を撃退したベトコン(南ベトナム解放民族戦線)の底力を思い合わせるとき、私は、近代的な兵力は意外に脆いのではないか、と思わされる。では、イスラエルを迎え撃つパレスチナのハマスはどうなのか。そんなことを考えたりする天邪鬼爺の昨今である。