北朝鮮がおととい22日、軍事偵察衛星のミサイルをぶっ放した。これが「成功した」という話がホントなら、これが「三度目の正直」になる。もし私が北朝鮮のシンパだったり、金正恩の崇拝者だったら、「おお、よくやった。おめでとう!」と感激の拍手を送っただろう。
これとは逆に、私が北朝鮮を敵視する立場にいたら、「なんだ、この野郎!」と、いいようのない反発を覚えたに違いない。
この反発心や対抗意識を言葉にすることは難しい。まして私が平和主義者だったり、公の立場で物申すとなれば、なおさらである。
11月23日に掲載された朝日新聞の社説「北朝鮮の『衛星』 軍事増強は座視できぬ」が、このことをよく物語っている。タイトルが示すように、朝日新聞は北朝鮮の「衛星」打ち上げに対して、対抗意識を露わにしている。
このことは本文を読めばさらにはっきりする。
(A)「弾道ミサイル技術を使った発射自体が国連安全保障理事会決議への違反だ。地域の安定を脅かす行為を強く非難する。
偵察衛星は米韓などの軍事行動を監視するためのもので、北朝鮮は国防力強化の5カ年計画に基づいて開発を進めてきた。(中略)現時点での性能は明らかではないが、能力を向上させ、本格的な運用に至れば軍事的な脅威は大いに増す。北朝鮮が邁進(まいしん)する核・ミサイル開発とあいまって、朝鮮半島をめぐる緊張がさらに高まることが懸念される。」
(朝日新聞11月23日)
いやはや、すごい鼻息ではないか。これではまるで防衛省の制服組幹部が息巻いているのと変わらない。北朝鮮の「衛星」打ち上げに危機感を露わにするこの朝日の論調は、「日本は北朝鮮に後れをとらないように、軍備を増強せよ!」と叫んでいるに等しい。
あれれ?朝日って、こんな「タカ派」の極右的な新聞だったっけ?「アカ新聞」とも揶揄されるこの新聞は、平和主義を売物にしていたんじゃないの?
朝日のシンパの読者諸君、でもご安心あれ。この社説でも、朝日はちゃんと次のように主張している。
(B)「あらゆる手段で軍事力強化に突き進む北朝鮮にどう向き合うのか。日米韓は北朝鮮のミサイル情報の共有推進や合同訓練などで連携を強め、圧力をかけてきたが、『力対力』の対応だけでは限界があることは、これまでの経緯からも明らかだ。求められているのは、北朝鮮を対話の道に引き戻す戦略や努力だろう。」
(同上)
軍事力強化に突き進む北朝鮮に対しては、「力対力」の対応をとるのではなく、外交による対話路線で応じるべきだ。ーーこの件(くだり)では、朝日ははっきりとそう主張している。
問題は、(A)の主張と(B)の主張とをどう関連付けるかである。水と油のように反発し合うこれら二つの主張を、朝日はどう「止揚( aufheben )」するのか。「正−反−合」の「合」の主張を見出すことは、(朝日でなくても)なかなか容易ではない。
あっさり「正」の方向へと舵を切った岸田政権に対して、ただ「反」の主張をぶつけるだけでは何の解決にもならない。朝日の社説は、この問題の難解な構造を明らかにした点で、有意義だと言えるだろう。
これとは逆に、私が北朝鮮を敵視する立場にいたら、「なんだ、この野郎!」と、いいようのない反発を覚えたに違いない。
この反発心や対抗意識を言葉にすることは難しい。まして私が平和主義者だったり、公の立場で物申すとなれば、なおさらである。
11月23日に掲載された朝日新聞の社説「北朝鮮の『衛星』 軍事増強は座視できぬ」が、このことをよく物語っている。タイトルが示すように、朝日新聞は北朝鮮の「衛星」打ち上げに対して、対抗意識を露わにしている。
このことは本文を読めばさらにはっきりする。
(A)「弾道ミサイル技術を使った発射自体が国連安全保障理事会決議への違反だ。地域の安定を脅かす行為を強く非難する。
偵察衛星は米韓などの軍事行動を監視するためのもので、北朝鮮は国防力強化の5カ年計画に基づいて開発を進めてきた。(中略)現時点での性能は明らかではないが、能力を向上させ、本格的な運用に至れば軍事的な脅威は大いに増す。北朝鮮が邁進(まいしん)する核・ミサイル開発とあいまって、朝鮮半島をめぐる緊張がさらに高まることが懸念される。」
(朝日新聞11月23日)
いやはや、すごい鼻息ではないか。これではまるで防衛省の制服組幹部が息巻いているのと変わらない。北朝鮮の「衛星」打ち上げに危機感を露わにするこの朝日の論調は、「日本は北朝鮮に後れをとらないように、軍備を増強せよ!」と叫んでいるに等しい。
あれれ?朝日って、こんな「タカ派」の極右的な新聞だったっけ?「アカ新聞」とも揶揄されるこの新聞は、平和主義を売物にしていたんじゃないの?
朝日のシンパの読者諸君、でもご安心あれ。この社説でも、朝日はちゃんと次のように主張している。
(B)「あらゆる手段で軍事力強化に突き進む北朝鮮にどう向き合うのか。日米韓は北朝鮮のミサイル情報の共有推進や合同訓練などで連携を強め、圧力をかけてきたが、『力対力』の対応だけでは限界があることは、これまでの経緯からも明らかだ。求められているのは、北朝鮮を対話の道に引き戻す戦略や努力だろう。」
(同上)
軍事力強化に突き進む北朝鮮に対しては、「力対力」の対応をとるのではなく、外交による対話路線で応じるべきだ。ーーこの件(くだり)では、朝日ははっきりとそう主張している。
問題は、(A)の主張と(B)の主張とをどう関連付けるかである。水と油のように反発し合うこれら二つの主張を、朝日はどう「止揚( aufheben )」するのか。「正−反−合」の「合」の主張を見出すことは、(朝日でなくても)なかなか容易ではない。
あっさり「正」の方向へと舵を切った岸田政権に対して、ただ「反」の主張をぶつけるだけでは何の解決にもならない。朝日の社説は、この問題の難解な構造を明らかにした点で、有意義だと言えるだろう。