ささやんの天邪鬼 座右の迷言

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

王道か覇道か

2023-11-28 10:32:50 | 日記
徳をもって治めるが王道、武をもって治めるが覇道。覇道は王道に及ばぬもの


これはNHKの大河ドラマ『どうする家康』の中で、家康が、そしてその子の秀忠が口にした言葉である。


それはさておき、最近の中国は国際社会に臨む自らの姿勢を「覇道」から「王道」へと転換したように思える。


本ブログでも取り上げたように、習近平国家主席は先ごろアメリカを訪問し、バイデン米大統領と「手打ち」のセレモニーを行った。
また王毅(おうき)共産党政治局員兼外相は、日中韓外相会議に出席し、日中韓三カ国の連携強化の方針に賛同を示した。


これらは、中国が外交による対話路線を重視しはじめた証と見ることができる。それまでの覇権膨張主義路線と比べれば、大きな違いである。
これを直ちに「王道」路線への転換と呼ぶことはできないが、それまでの「覇道」重視路線の対極にあるという意味では、アバウトに「王道」への路線転換と言えるだろう。


むろん現実は、国家の大方針そのままとは行かない。次のようなニュースもある。


フィリピンの沿岸警備隊は中国と領有権を争う南シナ海で10日、フィリピン軍の輸送船が中国海警局の船から放水銃の発射を受けたことについて会見を開き、中国側の放水が常態化することに懸念を示しました。
フィリピン政府は10日、南シナ海の南沙諸島、英語名スプラトリー諸島の海域でフィリピン軍の輸送船が軍事拠点への補給活動を行っていた際に中国海警局の船から放水銃を使った妨害を受けたとして抗議しました。

(NHK NEWS WEB 11月11日配信)


「覇道」路線の昔に戻ったような、こうした事態をどう見るべきなのか。「分かっちゃいるけどやめられない」ということなのだろうか。タバコは健康に良くないと分かっていても、身体はなおニコチンを欲する。人の生理と同じ事情が、国家にもあるのではないか。


紛争は良くないと頭(国家首脳)は分かっていても、身体(軍隊)はまだまだ戦いの快感を忘れることができないのだ。


中国が「王道」へと路線転換をした後でも「覇道」のしっぽを切ることができないとすれば、アメリカだって黙ってはいられない。その限り、戦争の火種は依然として残り続ける。先日のあの「米中手打ち式」のパフォーマンスは何だったのか、と思わせるような展開である。


アメリカ海軍は、中国などが領有権を主張する南シナ海の西沙諸島、英語名パラセル諸島の周辺で、ミサイル駆逐艦を航行させる『航行の自由』作戦を実施したと発表しました。一方、中国軍は『アメリカは南シナ海の平和と安定にとって最大の破壊者だ』などと反発しています。」
(NHK NEWS WEB 11月26日配信)


ああ、世界中が「分かっちゃいるけどやめられない」まま、奈落へと突き進んでいくような雲行きの昨今である。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする