〈人道〉を無視すれば

イスラエル軍によるガザ地区への攻撃が依然として熾烈をきわめている。最高指揮官であるネタニヤフ首相が軍に命じたこの行いが〈人道〉を踏みにじる行いであることは、連日の報道が伝える通りである。


先日、私はブログで次のように書いた。


「〈人道〉の理念に基づく国際世論を無視するとどうなるかは、最近のバイデンの「支持急落」（朝日新聞）ぶりによく示されている。」
（11月17日《戦争と国際法（その２）》）


〈人道〉の理念に基づく国際世論を無視し、イスラエル軍の行いを正当化しようとしたバイデン米大統領は、米国民の非難の的になり、支持率を落として次期大統領選に当選できるかすら危ぶまれている。


それだけではない。イスラエルのネタニヤフ首相にしても同じことである。次の記事を読んだ。


「イスラム組織ハマスとイスラエル軍との戦闘が長期化するなか、ネタニヤフ首相に対するイスラエル市民の不満が高まっている。パレスチナ自治区ガザ地区への侵攻が激化する一方で、２４０人以上とされる人質の解放は進まず、戦費など社会的な負担も膨らんでいる。首相交代を求める声がくすぶり続けている。」
（朝日新聞11月19日）


ネタニヤフ首相が軍に命じたガザ地区への攻撃が、パレスチナの人々だけでなく、イスラエル側の人質240人の生命（いのち）を危険にさらす行いであることを、イスラエルの国民は知っている。ガザ地区への攻撃を行えば、人質の240人はハマスの仕返しや、イスラエル軍の攻撃の巻き添えを食らって生命（いのち）を奪われかねないのだ。


〈人道〉を踏みにじるこうした行いを命じたネタニヤフ首相に対して、イスラエル国民の不満が集中するのは、当然と言えばあまりにも当然である。


「首相交代を求める声がくすぶり続けている」と記事は記すが、この声が望む通り、この人非人が失脚すればいいと私も思っている。