趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

『パラドックス13』 東野圭吾

2011年06月17日 | 
「世界が変われば善悪も変わる。人殺しが善になることもある。
 これはそういうお話です」 東野圭吾



3月13日13時13分13秒、
ブラックホールの影響でP-13と呼ばれる現象が発生することへの対策が
政府の間で極秘に進められていた。
学者や政府関係者ですら、具体的にどういう現象が発生し、
どういう影響を受けるのか全く未知の世界だ。

運命の13秒。人々はどこへ消えたのか?

13時13分、突如、想像を絶する過酷な世界が出現した。
陥没する道路。炎を上げる車両。崩れ落ちるビルディング。
破壊されていく東京に残されたのはわずか13人。

表紙に象徴されるように、段々段々黒く、訳の分からない怖いものが
忍び寄るという感じでしょうか。
SF・パニック映画を観るような・・・・。

残された13人が出会い、サバイバルをかけて協力したり、離反者が出たり。
当然のように、力の弱い者、心の弱い者から命の危機が訪れる。
どうなっていくのか先が全く見えない恐怖。
その絶望は、あまりに深くて思わず現実の大災害に思いを馳せてしまう・・・。

頼みの綱、頼りになるのは人間の‘思い’なのだ。
倫理や志や信義というものかもしれないけれど、
訳の分からぬ極限状態の中で、人は何を考え、何を思うのか。

怖くて辛い読書であったけれど、冒頭の著者の言葉が胸に響きます。
こんな風に書ききった東野圭吾さんの底力を見せられた気がしています。。