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気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

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『色彩を持たない多崎つくると 、彼の巡礼の年』 村上春樹

2013年05月08日 | 村上春樹
手に取ることを心待ちにしていた新刊です。
開いてもすぐに読まずに、少しずつ少しずつ丁寧に読んでいこうと思っていたのに、
読み始めると止まらない・・・。

半分ほど読み進んだ頃、父が亡くなりました。



葬儀にまつわるあれやこれや、本当にあわただしい日々でした。
ちょうどゴールデンウィークに入ったので、時間が取れてよかったです。

読書が再開できたのは、多分この本だったからだと思います。
ただ、時間が開いてしまったのでまた最初から読み返すことにしました。

それでも、少し前に読んだ時の印象と変わらないことに気付いたのです。

痛々しい、生の感情というものを一番に感じました。

いつもの、乾いた感じのするクールさとは違う、
一歩人間の前に進み出た、痛みを感じる文章、描写だと思いました。

『ねじまき鳥クロニクル』から一作ごとに、
少しずつ少しずつ人間に近付いているような、
より具体的な感覚や感情のほとばしりを感じるのです。

これまでずっと遠巻きに見えていたものに、
だんだんと近付いているような錯覚に陥りました。
それは、まぎれもなく人の成長の姿なのかもしれません。

闇に紛れ、闇に閉じ込めてきた心の叫びに、耳を傾け、正面から向き合うという
強さ。
その強さを、成長することで人は身につけていくのかもしれないと思いました。
そうして、悲しみや痛みを受け止めることが本当にできるようになるのかもしれません。

今回初めて自分自身の物語として感じる事ができて、
何故だかとても不思議な心持ちがしているのです。
年齢のせいなのか、時間的空間のせいなのか、はたまた???

とても余韻の深い物語だと思いました。。


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4 コメント

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Unknown (okada)
2013-05-08 19:08:08
Pokeさん、こんばんは。

御父様の御冥福をお祈り申し上げます。
ブログの更新がないので、何かあったのかなと案じておりましたが。
葬儀にまつわるあれこれ、いろいろと大変だったでしょうね。


>痛々しい、生の感情というものを一番に感じました。

>より具体的な感覚や感情のほとばしりを感じるのです。

そう言えば確かにそうですね。これが一番大きな変化、あるいは成長ということですね。
>今回初めて自分自身の物語として感じる事ができて、

そうでしたか。ほんと、不思議ですね。
僕は20代の頃に失恋したときのことを思い出しました。「つくる」ほどではないにしろ、重い喪失感を味わいました。それもやっぱりこの作品の特徴のせいなんでしょうね。
Unknown (らん吉)
2013-05-09 12:57:00
こんにちは。
時々こちらへこっそりお邪魔している者です。
お父様のご冥福をお祈りいたします。
私も今年1月に実父を亡くし、半分までで中断していた本を再開できないでおります。そろそろ・・・、と思っております。
どう感じ方が変わってくるか(あるいは変わらないか)、興味深いです。
Unknown (Poke)
2013-05-09 21:19:08
オカダさん、こんばんは。

そして、いつも温かいお言葉ありがとうございます。
今回特に、人と人とのつながり、気持ちの温かさをしみじみ感じました。
本当に人は独りで生きているのではないですね~

>それもやっぱりこの作品の特徴のせいなんでしょうね。

そうかもしれないですね。
本書を読みながら、自分の喪失感や悲しみ、痛みというものを掘り起こしたように思います。
きっと、それぞれの胸のウチに潜む闇に、呼応するのかな。。
Unknown (Poke)
2013-05-09 21:37:08
らん吉さん、こんばんは。

温かいコメントありがとうございます。
肉親を亡くす寂しさ、悲しみの深さにたじろいでいます。

>半分までで中断していた本を再開できないでおります。

その気持ち、とてもよく分かります。
好きなことでも、何もする気が起きませんでした。
それでも理由あって読書再開しました。
その理由は、また次回記事にしたいと思っています。

でも、この本は今の自分にとてもしっくりと合っていたように思いました。
お互い、頑張っていきましょうね~

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