趣味は読書。

気ままな読書記録と日々思うこと、備忘録

「魂の行き来する道筋」

2012年10月01日 | 
9月28日の朝刊を開いて、びっくりしたのです。

1面トップに、作家の村上春樹さんの写真が大きく載っていたから。



見出しに、「日中韓文化交流への影響」とあったので、
ああ、領土問題のことについて何か発信されたのだとすぐに思いました。

記事には、村上春樹さんが朝日新聞に寄稿したとありました。
その全文は、3面に掲載されていました。

「魂」という言葉を私は、故・河合隼雄さんから教えてもらったのです。
それまでは、何だかよく分からない、目に見えない精神論のようなもの?
ヒトダマ???なんてぼんやりイメージだけの言葉でした。

それが、河合隼雄さんの著作をたくさん読むようになって、
‘魂を裏切る’ということを知るようになりました。
‘魂を売る’という言葉は昔からありますが、たぶんそれに近い意味なのだと思います。

繰り返し読むうちに、
段々と「魂」というものの持つイメージがつかめるようになってきました。
それにつれて、「魂」を大切にしたいと思うようになったのです。

お陰で、村上さんのメッセージを少しはちゃんと受け止められたかな、と思っています。

 文化の交換は、国境を越えて魂が行き来する道筋なのだ。
 その道筋を作るために、多くの人が長い歳月をかけ、
 血の滲むような努力を重ねてきたのだ。
 そしてそれはこれからも、何があろうと維持し続けなくてはならない大事な道筋なのだ。
                                (本文抜粋)


村上春樹さんは、昨年6月のスペインでの国際賞授賞式のスピーチで、
「非現実的な夢想家として」と題されて、
3月11日の震災と福島原発事故について話されました。(それについての記事

大きな問題について公の場所で意見を発する姿に、
前を行く大人の姿を見せてもらっている気がします。
先を行く大人として、成すべき事が何か、どう進むべきなのか、
後に続く人々の力になるような、背中をぐっと押してもらえるような、
厳しく、温かなメッセージが、胸に届くようです。。