9/20(土)曇り時々大雨のち晴れ
今日の天気の移り変わりは激しかった。でも山間部や海沿いを長距離走れば珍しいことではないのだ。
今日は小樽の宿まで向かうのだけれど、上富良野からそのまま行くとあまり面白いルートではないので、くねくねつるつるのメンバーとして正しい行動を取ろうと思う。くねくねつるつるは、ワインディングロードと蕎麦を楽しむツーリングを目的とするおっさんのゆるい集まりだ。
今夜はテント泊ではなく、明後日はフェリーに乗ってしまうので、テントをできるだけ乾かした。テントがカビ臭くなるのを避けるためだ。カビ臭いテントで寝るとなんだか身体にまでカビが生えてくるような感じがするのだ。
荷造りを終えて隣の夫婦に挨拶をして出発した。奥さんにあまり無理しないでくださいね、と余計なことを言ってしまった。
北海道は蕎麦の産地だ。でも今まで北海道で蕎麦を食べたことは1回しかないのだ。と言う背景があったわけではないのだけれど、蕎麦を食べたくなったので幌加内に寄ることにしたのだ。
旭川を通るころ、雨が降ってきた。運良く本降りになる前にレインスーツを着ることができた。
幌加内の道の駅に着いて蕎麦屋に向かうと今日は営業していなかった。オーマイガーッ!でも道の駅の奥にある温泉施設のレストランが空いていた。
そこで頼んだのが酒切り二八そば、水ではなく酒で蕎麦を打ったものなのだ。まずはそのまま、そして塩で、蕎麦を食した。アルコールは飛んでいるが仄かに日本酒の風味が感じられる。喉ごしがとてもなめらかだ。蕎麦の香りも麗しくこの場所を訪れて正解であった。
蕎麦を食べた後は北海道屈指のワインディングロード、国道239号を経て日本海を目指した。残念ながら大雨と強い風で走り倒すことはできなかったので、天気に恵まれたときにまた訪れてみたい。
日本海に出ると雨は上がったが強風に煽られて南下し続けた。小樽には予定より一時間ほど遅れて到着した。今日の宿は「おたるないバックパッカーズホステル杜の樹」と言うところだ。
投宿後、小樽で一番古い銭湯、小町湯温泉に向かった。場所がよくわからず何度か人に尋ねてたどり着くことができた。ここは昔ながらの銭湯で、ロッカーは見当たらず、脱いだ服は床の籠に入れるのだ。久しぶりに番台のおばちゃんの前ですっぽんぽんになった。風呂場はタイル張りで、湯船もタイル張り、昔ながらの佇まいだ。湯船は深く、酔っ払っていたらそのまま沈んでしまいそうだ。これは小町湯の外観だ。
その後、夕飯を求めて小樽の繁華街に向かったが、ほとんどの店は閉まっていた。飛び込んだ寿司屋も今閉まったところであった。外に出ると宿で挨拶した韓国の青年がいたので、声をかけるとコンビニを探していた。あいにくスマホを忘れてしまったのだけれど、バイクで使用しているハンディGPSがポケットに入っていたのでコンビニを見つけることができて送って行った。
その後営業している店を探して歩いていると、小樽出世前広場と呼ばれる場所に惣吉と言う居酒屋があった。まだやってますかと尋ねると、もう終わる時間だがいいですよ、とのことなのでここで食事することにした。店に入ってすぐに小樽ホラ吹き昆布館利尻屋みのやの卑弥呼の絵が目に飛び込んできた。小樽ホラ吹き昆布館利尻屋みのやの卑弥呼と言われても、知らない人にはなんのことなのかさっぱりわからないだろう。昆布のお土産のお店の袋に描かれているのが卑弥呼なのだ。今年の春に小樽を訪れて、みのやで買い物をした際に、その卑弥呼が中島みゆきのように見えて仕方なかったのでよく覚えていたのだ。その絵のことをお店の方に聞くとやはり系列店であった。
サッポロクラシックを頼んだ。メニューを見ると、たちかまと言う聞いたことのない料理が載っていた。訊ねてみるとたちかまはタラの白子で作ったカマボコとのことだった。これは頼むしかない、そのままもあるようだが、刺身の盛り合わせも頼んだので、ここはフライをオーダーした。ふっくらとしたその食感とちょっとしたしょっぱさがあって、おまけにカラッと揚がっているので、ビールととても相性がいい。
その後電話がかかってきて10人以上のグループがやってきた。親戚、家族連れのようで、地元の人にも愛されている店なのだなと思った。
いい具合にお腹が満たされ、小樽出世前広場を後にして杜の樹に戻った。コンビニで買ったプリンを食べ終えると、今日はすっかり疲れてしまったのですぐにベッドに潜り込んで横になった。横になっても眠くはないので、居間で話す旅人たちの話をなんとはなしに聞いていた。そのうちみんなも寝てしまい、僕もいつの間にか寝てしまった。
そして、午前3時ひとり静かに目を覚まし、中島みゆきのオールナイトニッポンをベッドの中で聞いたのであった。