4月13日~16日まで、フランスのボルドーでトラックの世界自転車選手権が開催された。
男女合わせて15種目で「アルカンシェル(レインボージャージ)」を巡っての覇権が競われたが、ここで取り上げるのは便宜上、日本人選手が出場した種目について取り上げる。
また、直接レースを見たわけでもないので、「競輪らんど」のレポートを参考にしながら述べていきたい。
まずポイントレース。
W杯で銀メダルを獲得した愛三工業の盛一大が登場。
予選は5位で通過した盛。
決勝ではオランダのスヘップが確実にポイントを奪い、最後までレースをコントロール。31ポイントを上げて優勝を果たしたが、盛は2位争いでは十分チャンスがあった。
2位争いの中に盛も加わったばかりか、途中でスヘップを追うために単独でアタックもかけたみたいだがしっかり集団にコントロールされてしまい、最後は力尽きた格好となったようだ。12ポイントを獲得して7位だった。
だが3位のキリエンカとはわずか3ポイント差。初の世界選手権の舞台としては上出来だろう。願わくば6日間レースあたりに参加してトラックレースに慣れてくれれば五輪でも面白い存在となるんではないか。
http://www.cyclingnews.com/track/2006/apr06/wtc06/?id=results/men_points
(サイクリングニュース)
同日、チームスプリントも行われた。
W杯第4戦で銅メダルを取ったトリオ(金子・渡邊・井上)で挑んだが・・・
予選では「まさかの」9位。タイムも45.773秒と平凡で、中国にさえ抜かれた。
どうやらスタート時点からスピードの乗りが悪く、最後までリズムに乗り切れなかったことが敗因だったようだ。あわよくばメダル争いも、と考えられただけにこの結果は厳粛に受け止めねばなるまい。
優勝はフランス。予選はトップだったし、決勝でもイギリスを相手にしたが、なんと43.969秒という驚愕とも思えるタイムで難敵を下した。優勝したフランスチームのトリオもこの結果にはビックリしていた様子。
http://www.cyclingnews.com/track/2006/apr06/wtc06/?id=results/men_team_sprint
(サイクリングニュース)
http://www.keirin.go.jp/land/pages/news_index/news_index_20060414.html
(競輪らんど)
2日目はケイリンと1Kmタイムトライアルに出場した日本勢。
W杯第4戦では準決勝に進出した渡邊一成が登場。
予選は準決勝自動通過の2着以内を惜しくも逃した3着と一見、健闘したかに思われたが、先手が取れず流れ込みが精一杯とのことらしく渡邊としては不本意な結果。
敗者復活戦。今度は先手を奪った渡邊だが、最後の粘りは通じず3着。ここで脱落が決まった。
ただ渡邊としてはこの敗者復活戦のほうがまだマシなレースができたと語っており、仕掛けるタイミングの問題や、最後まで力でねじ伏せられるだけの力がもう少し足りないということなのだろう。
優勝は「テオ様」ことテオ・ボス。予選、準決勝、そして決勝とオール1着の「完全優勝」。しかも決勝ではマークしていたムルダーが途中で千切れてしまい、2着に「大差」の圧勝劇だったとか。
翌日行われたスプリントでは断然の本命視されていたボスだけに、まずはケイリンで「一冠目」を制し、史上4人目のケイリン・スプリントの「ダブル」に限りなく近づいたといえた勝利とも思われた。
http://www.cyclingnews.com/track/2006/apr06/wtc06/?id=results/men_keirin
(サイクリングニュース)
1Kmタイムトライアルは北京五輪では種目から外されたこともあって、同種目のスペシャリストの争いとなり、昨年の同種目2位(1位はボス)のクリス・ホイが「負けられない」と言わんばかりに出場選手中ただ一人の1分1秒台をマークして優勝。
井上昌己も走破タイム1分03秒799は自己ベストであり、力を最大限発揮したが、8位が精一杯。稲垣裕之は1分05秒756に終わって18位だった。
ただ井上は2年間同種目に出ておらず、しかもスタート順は26人中7番目。当然スタート順が後ろになればなるほど前の選手のタイムを見ながら走れるために有利なわけで、逆に「不利」な状況ながらも自己ベストを更新したことについては評価したい。
しかしメダル争いともなればやはり、1分2秒台半ばあたり出さないと厳しい。ただ井上は今後のトレーニング次第では2秒台は出せるんではないかと語っており、また、チームスプリントではこの1KmTTのタイムが全体のタイムに直結することを考えると、五輪種目から外れたとはいえ、井上にはさらにタイムアップを目指してほしいと思うばかりである。稲垣は調整がうまくいかなかったみたいだ。
http://www.cyclingnews.com/track/2006/apr06/wtc06/?id=results/men_1000m_tt
(サイクリングニュース)
http://www.keirin.go.jp/land/pages/news_index/news_index_20060415.html
(競輪らんど)
さて3日目は、あの中野浩一がV10を果たした、かつては「お家芸」であったはずのスプリントが行われた。ちなみにスプリント、準決勝以降は翌日開催。
当初出場が予定されていた金子貴志、北津留翼に加え、渡邊一成も参加が決まって3人の出場となったが、結果は惨憺たるものに。
日本勢最上位は渡邊の10.427秒、17位。北津留は10.542秒の22位。しかし24位までが本戦通過となるので、2人は予選突破できた。しかし。
W杯第一戦で銅メダルを獲得し、この世界選の同種目であわよくばメダルも獲りたいと意気込んでいた金子はまさかの26位に終わって本戦は「アウト」。
どうやら金子は現地入りしてから調子が悪く、練習でも全くタイムが出なかったみたいだ。本人もこの調子ならばダメだと思っていたらしく、やる前から勝負がついていたということか。
そして本戦出場の渡邊も北津留も軒を並べて緒戦敗退。ここで「終了」となった。
渡邊はトゥルナンに力負けした格好だが、北津留は仕掛けどころに失敗してクイアコウスキーに逃げ切りを許した模様。
優勝は「当然」ボス。200Mフライングタイムトライアル1位。本戦でもオールストレート勝ちの「完全無欠」のダブル達成。しかし、スプリント・ケイリンでボスを止める選手は果たしているのだろうか?
http://www.cyclingnews.com/track/2006/apr06/wtc06/?id=results/men_sprint
(サイクリングニュース)
スクラッチにはW杯第3戦で銅メダルを獲得した愛三工業の西谷泰治が登場。スプリントで4強入りできなかったために、日本勢としては最後の登場となったが、「ミス&アウト」されなかっただけマシという展開に終わって16位。本人も力負けを認めていた。優勝はフランスのヌーヴィル。
http://www.cyclingnews.com/track/2006/apr06/wtc06/?id=results/men_scratch
(サイクリングニュース)
http://www.keirin.go.jp/land/pages/news_index/news_index_20060416.html
(競輪らんど。3日目の模様)
http://www.keirin.go.jp/land/pages/news_index/news_index_20060417.html
(競輪らんど。最終日の模様)
振り返ってみて、競輪らんどの若生さんのレポートに沿っての話からすると、
「あとちょっと」
ということになるんだろうし、また今回出場した選手全員が、
「俺たちはこんな程度で終わる選手たちではない。もっとやれる。」
と反省している点については口を挟むことはなかろう。確かに「もうちょっと」なのかもしれない。
しかし、W杯と世界選手権というのは全く別物であるし、そうした意識づくりというところからしてまだ「到達できていない」のではないか。
稲垣は今大会前まで満足に練習ができなかったというし、金子も現地入りしてから急激に調子が悪くなった。
確かに今回は国際大会のレースキャリアが浅い面々ばかりが参加。「アウェー」だし、その雰囲気に飲み込まれてしまったという選手もいただろう。
しかし五輪まであと2年。あと2年しかないと思うのか、まだ2年あるのかと思うのか、という点についていえば、「あと2年しかないのか」のほうが強いのではないか。
仮に五輪を見据えてメダル狙いに行くということであれば、とりわけ競輪選手は国内の競輪は本当にほどほどにして向こう2年間は特別メニューを組んで強化する他あるまい。実際、アテネ五輪のチームスプリントでは、ゲーリー前監督が競輪関係者を説得してそうさせ、ひいては銀メダルへと導いた。
しかしながらそれはプロの選手が果たしてやることなのか?とも思うわけである。
そもそも競輪と自転車競技を「分けて考える」やり方自体が間違っていないか?
中野さんが10連覇していた時代は世界選手権で主流になっていたプレーがそのまま競輪でも取り入れられ、やがて競輪トップクラス選手の意識の高揚を生み出す結果となった。また世界選直前合宿ではそれこそ、中野さんのみならず、出場する選手が、
「何らかの形でメダルは最低でも持って帰らないと」
という気持ちで皆ピリピリムードだったという。
しかし今は世界選などの国際大会といえば、昔ながらの「派遣」という意識しかないだろ。これではダメだって。派遣って何とか親善大使じゃないんだし、勝負するという意識にまるでなっていないといえるのではないか。
分けて考えるんではなく、世界選で培ったプレーを競輪へと持ち込んでいったならば、別に「特別メニュー」など取り入れることなどあるまい。
とにかく、世界選手権を中心に考え、その世界のトップクラスの走りを見て、どうやったら自分たちもあのようにできるのか、ひいてはどうやったら競輪においてもレベルの高揚が図れるのか、ということを普段の競走ででも常に意識してもらいたい。
そうすれば競輪の人気浮上にもつながってくるはず。
逆にそうしないと前に書いたけど、競輪をやる意味なんてないと思うね。