公営競技はどこへ行く

元気溢れる公営競技にしていきたい、その一心で思ったことを書き綴っていきます。

テオ様の強さって何なんだろう

2006-04-17 12:36:53 | 競輪

予想はされていたが、オランダのテオ・ボスが世界自転車選手権のケイリン・スプリントを制覇。いわゆる「ダブル」を果たした。

世界選のケイリン・スプリントの「ダブル」達成者は1993年にプロ・アマオープンとなってからは93年のネイワンド(豪州)、94年のノースタイン(米国)、03年のガネ(仏国)がおり史上4人目。オープンでなかった時代には89年にゴリネリ(伊国)、90・92年にヒュープナー(独国)が果たしている。

それにしても、2005~2006年の「テオ様」の強さときたら、なんと表現したらいいかわからないね。

ワールドカップのスプリントは第二戦に登場。このときのメンバーは賞金付きレースである「ケイリン・インターナショナル」を控えて今回の世界選出場メンバーがほぼ出揃っていたが、全てストレート勝ちで優勝。さらにW杯ケイリンでは第4戦に出場したが、これも全て勝利して優勝。

そして迎えたボルドーの世界選。

チームスプリントではまさかの4位となり、珍しく敗北感を味わった感のあったテオ様だが、その悔しさが「負けられない」という思いに変わったんだろうね。

2日目のケイリンではまず予選2組で地元期待のブルガンと対決したが、あっさり勝利。準決勝もブルガン、トゥルナンの地元勢を粉砕。ほとんど「勝負付け」がついた感の決勝も当然制して「まずは」一冠。

http://www.cyclingnews.com/track/2006/apr06/wtc06/?id=results/men_keirin

スプリント予選、200MFTTでも当然1位で通過。1回戦の中国のチミンには楽勝。しかし2回戦で迎えたのがアテネ五輪「ダブル」の豪州のベイリーだった。

だが、いきなり訪れた難敵相手に、テオ様は10.623秒のタイムで一蹴。準々決勝のキアッパ(伊国)、準決勝の二ムケ(独国)も問題なくストレートで下し、決勝の相手は予選2位のマクリーン(英国)であった。

だがテオ様は1本目10.374秒、2本目10.510秒と全くマクリーンを寄せ付けずオールストレート勝ちで「ダブル」達成。

http://www.cyclingnews.com/track/2006/apr06/wtc06/?id=results/men_sprint

競輪選手でいえば、中野浩一のスーパーダッシュと吉岡稔真のF1スピードを掛け合わせ、さらに競輪選手には「ありえない」、そのスピードを持続できる時間が相当に長いという、言ってみれば「夢のような」選手であるが、そのテオ様の強さってどんなところに秘密があるのかを探ってみたい。

まずフォームが大柄な選手の割には、実に「柔軟性」があり、バランスが実によく取れている。

加えてペダリングも滑らか。決して力で踏んでいる様子はないわけで、言い換えれば日本の選手も真似しようと思えば「できる」。

ところで以前書いたことがあるが、私はたまたまボスが3年前、19歳で初めて国際競輪に登場したとき、大垣で見たことがある。

そのときは決勝に進出できず負け戦回りであったが、勝つには勝ったが上下半身のバランスが悪い、実にぎこちないフォームであり、踏み出しもそんなによくなかった。今のような「スーパースター」になるとはとても思えなかったわけである。

ところが昨年の奈良・岸和田の国際競輪を見た際、一回転するだけでビューンと車が伸びてしまうという戦慄を覚えた。こんな選手は私が見た中では中野浩一しか「いなかった」し、しかもマークする選手が、「よくついていけたな。」というようなもの。

ところで、昨年の高松宮記念杯の際、たまたま当時名誉教官であった松本勝明先生と少しだけ話す機会があったんだが、その際私がボスのことについて聞いてみたところ、松本先生から、

「ボスは私が教えたんです!」

「彼は1000Mの世界王者だったから、さらにスピードを強化するべくダッシュ力をつけろと指導しました。」

という話が返ってきた。

松本先生の目の付け所もいいんだが、世界王者でありながらも、先生のアドバイスを忠実に守る謙虚さというのも、ボスは兼ね備えているわけだな。

そりゃ強くなるわ。

ま、中野浩一さんも、

「ボスは突然強くなった。」

と驚愕していたけど、その強くなる「きっかけ」というのは、「やはり」、国際競輪であり、はたまた競輪学校の「研修」にあったわけだな。

ということは、せっかくいい指導者、先達が「日本」にいながらも、それを生かせていないのが競輪選手ってわけだな。

やろう、まねしようと思えばできないことはない。しかし今やそれが「やれない」、「まねできない」ところまで追いやられている競輪選手の現状ってのをどう考えたらいいのか・・・

分からん。


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