韓国語学習のための翻訳で営利目的はありません。
著者:キム・ホヨン
(5)
シヒョンは気を付けた今日のできごとをもう一度反芻した。オ女史は口数が多く、ドッコさんは口ごもり、コミュニケーションができない。本当に言葉が通じる人達と働きたい。社長さんはどうしてあのように理解なさる気持ちがあるのかわからない。先生だから?教会の牧師の助手だから?あるいは年を取ればそんなすべてに耐える力が生まれるのか?
ちりん。お客様が入ってくる音にシヒョンはドッコさんを振り返って目配せした。彼はまた「いらっしゃい・・・ませ。」と言って、タイミング遅く挨拶してからコーヒーを飲んでレジに来た。シヒョンは席を移して鷹の目でレジを打っている姿を観察しようとしたが、まずい、クレーマーの中のクレーマーだった。数日見えなかったが虫歯が取れたようにすっきりして、よりによって、ドッコさんの教育時間に戻ってくるなんて・・・。シヒョンはドッコさんの耳にやや低く言った。
「クレーマーです。緊張してください。」
「何ですか?何・・・ですか?」
「進呈です。進呈はクレーマーと言うんじゃないですか。」
「あっ、そうだ。進呈・・・どこにいますか?」
「しっ、大声で言わないでください。あっ・・・。」
聞いて来るかのようにクレーマーが平然とレジに近づいてきた。シヒョンがドッコさんに更に注意を与える前に奴は菓子をいくつかレジに投げた。ドッコさんは、チンパンジーがスマホを摘まむように不器用にバーコード読み取り機を摘まみあげて、華やかな菓子の袋の絵の中にバーコードを一生懸命探し始めた。間違えた。袋を買うのかまず訊ねなければならない。ええっ、わからない。シヒョンはなるようになれという風にほったらかして見ていた。最後にバーコードを探して読み取り機で写したドッコさんが口ごもりながら価格を言った。
クレーマーはシヒョンをさっと振り返って嘲笑した。新人教育中なことに気づいたようだった。
「タバコ。」
ドッコさんがクレーマーを眺めながら首を傾げた。
「・・・吸わないので・・・。」
「タバコくれ。」
「あっ、タバコ・・・何?」
「あっ、お前、お客に向かって口の利き方、それ何だ?」
「わ、わからない。」
「そっち、ふざけた奴だな?」
「違う・・・タバコ何?」
クレーマーがせせら笑ってシヒョンを振り返った。シヒョンがやっとタバコ陳列台に向かって腕を伸ばすと、奴が手を上げて彼女を押しとどめた。奴はドッコさんをまっすぐに見て言った。
「馬鹿か馬鹿じゃないか見よう。エッセチェンジ4ミリ。すぐに!」
エッセは種類が多くよく探さなければならないタバコだ。特にエッセチェンジはそのままチェンジ、チェンジアップ、チェンジリン、チェンジピン、チェンジヒマラヤなど、その種類がとても多様で頭が痛い。タバコを吸わないシヒョンにとって初めのころにお客が何気なく吐き出すエッセ・シリーズの注文が一番大変だった記憶がある。クレーマーはいつもダンヒル6ミリを吸っているのに、ドッコさんにわざと大変なものを注文している。