『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

読書感想341  ①教皇のスパイ  ②あの丘の向こうに  ③ノーサイド・ゲーム  ④民主

2024-06-16 00:01:09 | 小説

教皇のスパイの画像あの丘の向こうに/スーザン・エリザベス・フィリップス/宮崎槇【1000円以上送料無料】の画像ノーサイド・ゲームの画像民王 シベリアの陰謀

①教皇のスパイ                      面白さ:☆☆☆☆

 著者:ダニエル・シルヴァ    出身地:アメリカ合衆国    訳者:山本やよい

 出版年:2020年    邦訳出版年:2021年  出版社:(株)ハーパーコリンズ・ジャパン

 コメント:ローマ教皇パウロ七世が死去した。ローマ教皇の個人秘書のドナーティ大司教は殺されたのではないかと思い、休暇中でヴェネツィアにいたイスラエル諜報機関の長官であり、美術修復師のガブリエル・アロンに相談する。書斎で教皇が書いていた手紙がなくなり、紅茶カップも片づけられ、護衛にあたっていた スイス衛兵が消えている。キリスト教の根幹にかかわるイエスの死の責任がイスラエルの民にあるとする福音書の記述の謎、ナチスのホロコーストに加担したカトリック教会の問題などがあぶり出されてくる。教皇の死の真相をさぐりながら、教会が何百年も隠してきた謎が解き明かされていく。

 

②あの丘の向こうに                    面白さ:☆☆☆☆

 著者:スーザン・エリザベス・フィリップス    出身地:アメリカ合衆国   訳者:宮崎槙

 出版年:2011年      邦訳出版年:2012年   出版社:(株)二見書房

 コメント:裕福な家庭に育ったメグは大学4年の時に大学を中退し、環境保護に関心を持って世界各地を放浪していた。親友のルーシーがテキサスの田舎町のミスター・パーフェクトと呼ばれる町長テッドと結婚しようとしていた。テッドの態度からルーシーがこの結婚で苦しむのではないかと危惧したメグがテッドの真意を問い質した。するとルーシーは結婚式を取りやめて姿を消してしまう。破談の原因はメグにあると町中の人から責められたメグは、両親からいつまでも遊んでいないで自立せよと資金援助を断たれてしまう。ホテル代も払えず、掃除婦として働くことになる。会話が面白い。

 

③ノーサイド・ゲーム                  面白さ:☆☆☆☆

 著者:池井戸潤    生年:1963年      出身地:岐阜県

 出版年:2018年      出版社:ダイヤモンド社

 コメント:ドラマ化されているので、ドラマと比べながら読んだ。自動車会社の経営戦略室にいた君島は横浜工場の総務部長兼実業団ラグビー部GMに左遷された。お荷物ラグビー部を優勝させ年間16億の経費を黒字化することが君島の仕事になった。ドラマでは横浜ではなく、府中になっているし、君島の家庭が出てくるが、本書の中では家庭は一切出てこない。ドラマではのラグビーの試合や練習でルールがわかりやすく描かれていたが、小説では少し難しかった。ドラマでは福島の復興プロジェクトとしてラグビーの試合があり、ラグビーの真正面から勇気をもってぶつかっていくという精神を福島の復興に重ね合わせていた。ラグビーがわかって試合を見たくなった。

 

④民主 シベリアの陰謀                面白さ:☆☆☆

 著者:池井戸潤    生年:1963年     出身地:岐阜県

 出版年:2021年    出版社:KADOKAWA

 コメント:未知のウィルスに感染して精神が錯乱する人が多数出現した。首相の武藤泰山の不詳の息子の翔がそのウィルスの謎に挑むことになる。シベリアの永久凍土が溶け出してマンモスが現れウィルスも蘇る。いかにもありそうで怖い。


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読書感想340 森の少女ローエラ 下町ロケット 下町ロケット(ガウディ計画) 下町ロケット(ゴースト) 黎明に起つ

2024-05-19 16:12:00 | 小説

森の少女ローエラ (少年少女・新しい世界の文学 25) 下町ロケット下町ロケット ゴースト 下町ロケット ガウディ計画

①森の少女ローエラ                             面白さ:☆☆☆☆

 著者:マリア・グリーペ           生年:1923年    国籍:スウェーデン

 出版年:1963年    邦訳出版年・出版社:1973年 (株)学習研究社

 コメント:森の中に住む12歳のローエラはやっと歩けるようになったばかりの双子の弟と、船に乗って炊事婦として働いているお母さんの帰りを待っている。10月に帰ってくる約束が、お金持ちの一家とあと1年アメリカに行くという知らせが届く。冬の間、弟たちはお母さんの友達の家に、ローエラは弟たちが預けられた家の近くの養護施設に住んで町の学校に行くことになる。お父さんを知らないローエラは案山子をパパと名付けて大事にしている。森の中の生活が勤勉でしっかり者のローエラを作っている。町の暇な生活に退屈していまう。わずかなお父さんの情報からお父さんに会いたいと思うローエラがいとおしい。

②黎明に起つ                                面白さ:☆☆☆

 著者:伊東潤                生年:1960年     出身地:神奈川県横浜市

 出版年:2013年               出版社:NHK出版

 コメント:若き日の北条早雲の物語。北条早雲こと伊勢新九郎は室町幕府の政所執事を務める伊勢氏の分家である備中伊勢氏の出身で、備中伊勢氏も代々室町幕府の申次衆を務めていた。この物語では応仁の乱のさ中に兄と敵味方に分かれて刃をまじえることになり、実の兄を打ち取るという衝撃的な場面から始まる。そして最後の場面でも三浦半島を支配する三浦一族の長である道寸を一騎打ちで討ち果たす。どちらも実際にあったことではなく創作のような感じのする場面だ。北条早雲は時代を先取りし領国経営に長けた人物だが、自ら武器を取って戦うという印象は薄い。

③下町ロケット                               面白さ:☆☆☆☆

 著者:池井戸潤              生年:1963年     出身地:岐阜県

 出版年:2010年              出版社:(株)小学館

 コメント:テレビドラマ化もされた第145回直木賞受賞作。宇宙科学開発機構の研究員だった佃航平は、研究開発した水素エンジンを搭載したロケット発射に失敗した。そして亡くなった父親の佃製作所を引き継ぐために、宇宙科学開発機構を辞め、エンジンや周辺機器で売り上げを伸ばす。大手の帝国重工がロケット開発を手掛け、キー部品になるバルブの特許を佃製作所が保有していることを知る。スケールの大きい話だし。日本の中小企業への応援歌でもある。

④下町ロケット(ガウディ計画)                      面白さ:☆☆☆☆

 著者:池井戸潤              生年:1963年    出身地:岐阜県

 出版年:2015年              出版社:(株)小学館

 コメント:前作同様、佃航平と佃製作所が医療の分野に進出する。心臓の人工弁ガウディの共同開発をしないかという話が舞い込む。北陸の医科大学の医師と地方の編み物企業の小会社が佃製作所の技術力をかったのである。資金力という壁にもまして、大手の医療メーカーや、承認を得るための心臓学会のボスという壁がある。必要とする患者を見れば、仕事の意義がはっきりわかればやる気はおきるものだ。

⑤下町ロケット(ゴースト)                        面白さ:☆☆☆

 著者:池井戸潤              生年:1963年    出身地:岐阜県

 出版年:2018年             出版社:(株)小学館

 コメント:「下町ロケット(ヤタガラス)」の姉妹編で前作にあたるのが本書である。ヤタガラスで佃製作所の敵となるギアゴーストとダイダロスが登場する。帝国重工でも財前部長の敵役の的場取締役で出てくる。佃航平が特許問題で苦境に陥っていたギアゴーストを助けたにもかかわらず、競争相手のダイダロスのエンジンを採用する。その動機が大企業の下請けいじめ。一気に読ませる展開はさすがだ。


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