『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

読書感想120  日本史の謎は「地形」で解ける

2014-03-29 14:29:46 | 時事・歴史書

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読書感想120  日本史の謎は「地形」で解ける

 

著者      竹村公太郎

 

生年      1945

 

出身地     神奈川県横浜市 

 

出版社     (株)PHP研究所(PHP文庫)

 

出版年月日   20131021

 

 

 

感想

 

 長年河川事業の専門家として官庁で働いてきた著者が、地形から日本史の定説の検証を試みたものである。目次は以下のとおり。

 

1章 関が原勝利後、なぜ家康はすぐ江戸に戻ったか

 

2章 なぜ信長は比叡山延暦寺を焼き討ちしたか

 

3章 なぜ頼朝は鎌倉に幕府を開いたか

 

4章 元寇が失敗に終わった本当の理由とは何か

 

5章 半蔵門は本当に裏門だったのか

 

6章 赤穂浪士の討ち入りはなぜ成功したか

 

7章 なぜ徳川幕府は吉良家を抹殺したか

 

8章 47士はなぜ泉岳寺に埋葬されたか

 

9章 なぜ家康は江戸入り直後に小名木川を造ったか

 

10章 江戸100万人の飲み水をなぜ確保できたか

 

11章 なぜ吉原遊郭は移転したのか

 

12章 実質的な最後の「征夷大将軍」は誰か

 

13章 なぜ江戸無血開城が実現したか

 

14章 なぜ京都が都になったか

 

15章 日本文明を生んだ奈良は、なぜ衰退したか

 

16章 なぜ大阪に緑の空間が少ないか

 

17章 脆弱な土地・福岡はなぜ巨大都市になったか

 

18章 「二つの遷都」はなぜ行われたか

 

 信長や家康の行動を読み解いた章が一番おもしろい。比叡山は東から畿内に入る入口である逢坂峠を北から見下ろす位置にある。代々の延暦寺の務めはなんだったのか。信長が延暦寺焼き討ちで恐れていたものの正体が合理的に説明されている。地形は歴史の生き証人として現在まで残っている歴史的な遺物なのだと再確認した。

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四季折々324  本沢梅園4

2014-03-29 13:04:52 | まち歩き

3月15、16日に本沢梅園まつり開催。臨時駐車場も設置。山の中としてはまあまあの人出。

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本沢梅園の幟。

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売店。地元の人が頑張っている。

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園芸用草花。

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本沢梅園の梅のジュース。

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焼きおにぎりと豚汁セット、300円。もう売り切れ?

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お客に挨拶するおかめ。

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おかめの踊り。

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舞台ではお囃子、ぴーひゃらぴーひゃらと笛を鳴らす。

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若葉台囃子連と小松はやし連の幟。

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四季折々323  本沢梅園3

2014-03-28 10:55:56 | まち歩き

3月10日前後、本沢梅園に隣接する城山湖まで上って行く。

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金比羅宮。本沢梅園から少し上った所。

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城山湖。 金比羅宮から更に上った所に位置している。

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日陰の道。城山湖を見下ろす。

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城山湖から発電所へ向かう日向の道。

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残雪のため発電所から城山湖に向かう道路は通行止め。

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外から見た本沢梅園。5分咲きか?

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翻訳  朴ワンソの「裸木」61

2014-03-27 16:17:15 | 翻訳

 

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翻訳  朴ワンソの「裸木」61

 

209頁~213

 

 しかし、私は苦しい息を殺して、必死に努力していた。服を脱ぐ前にすることが必ずあるはずだった。

 

 少し対話を、いずれにせよ私は、彼と私の間の徹頭徹尾皮膚的に惹かれるのを、少しでも深めたかった。

 

 なぜか服を脱ぐ前にそんな過程が必要だと、今さら悟り始めたのかもしれない。とっくにそんなことを推測していたら、恐らくこの桃色のベッドがある部屋に来ることを、何日か遅らせることもできたはずだ。

 

 この部屋はただ服を脱ぐために用意された部屋だった。桃色のベッドがそうで、ベッドの頭に取り付けてある化粧台の上に載せてある、真紅の笠の電気スタンドもそうで、ベッドに横たわると、まっすぐに見えるように低く貼られたいろいろなポーズのヌード写真がそうだった。

 

 褐色の本は少し離れた所にのけぞって倒れていて、私をなんとか助けてくれるのには遠すぎた。そして私はだんだん能動的に彼の愛撫を受け入れていた。

 

 とうとう紫色のセーターが完全に脱げて、褐色の本の上に飛んで行った。しかし、寒さに負けて、何枚も着込んだ下着を全部脱がそうとするには、まだ道半ばだった。彼は特にイライラさせずに、私のいろいろな所を愛撫した。そうしながら、彼は間違いなく服を脱がせていた。私も今や完全に服を脱ぐ快感に耽溺した。

 

 畳の上に様々な色彩の服がむさ苦しく散らばった。かなり取り分けて選びながら買った服も脱いで放り出してあると、間違いなくぼろだった。醜く役に立たないぼろだった。

 

 私はかすかでも自分の内部から、ある脱皮が起こっていると推測した。むしろ願った。

 

 私は繭を脱いで、ふわりふわりと翼を持つことができるはずだった。翼を、私を、身動きさせずに閉じ込めた厚い繭から、自由になることができる翼を持つのだ。翼を。

 

 まもなく私は実際に翼をもつように空中にふわふわ浮かび上がった。私の飛翔を邪魔するどんな抵抗もなかった。私は完全に体重を失った。

 

 私は薄いシュミーズを片方の肩にかけたまま軽く抱かれていた。とうとう彼が私を桃色のベッドへ運んでいた。

 

 それはどうでもよかった。私は翼をもつだろう。偏狭な蛹の部屋を抜け出すだろう。弾力のあるベッドが私を半分ぐらい埋めた。彼が私の横に横たわるのを感じた。私の様々な所を漏れなく彼の唇と手が触れた。彼は魔術師のように私の中に深く潜んでいる感覚を探し出して、私のためにたっぷりとした肉感の饗宴を催してくれた。彼の息遣いがだんだん不揃いになって乱れた。

 

 しかし、私はまだ饗宴の客であるだけだった。美食に招待された客であるということは、ちょっと狡猾な客だった。さらに言えば、私は料理の味をあまりにもよく知っていた。食欲をそそる味であっても、少しずつ違う味をくっきり過ぎるほど識別しながら味見をしていた。

 

 ひょっとすると、美食はもうそろそろ食傷するかもしれない。そして美食はどこまでも美食であるだけで、主人が主人であるだけのことと客が客であるだけのことを変更させられない。

 

 私達の饗宴には何かが抜けていた。言わば美食に添える香り高い美酒が、饗宴を成熟させて、主人と客を渾然一体にくくってしまいながら、別の食べ物までも発酵させ酒気で導く

 

美酒が望ましかった。

 

 ジョーもそれを感じるようだった。しょっちゅう愛していると囁きながら、それでも彼の愛撫はだんだんイライラして荒くなった。

 

 とにかく私は彼の巧みな愛撫を鋭敏で成熟した感覚で受け入れるだけで、決して陶酔はできなかった。

 

「灯を消して」

 

 イライラしたあげく、私は彼にそんな提案をした。スイッチはドアの横にあった。彼はどすどすと歩いて遠いスイッチを押した。

 

 漆黒の暗闇が覆った。彼の息遣いが一層激しく聞こえた。獣の臭いのような濃い彼の体臭がどっと押し寄せた。

 

 私は、彼が暗闇の中ではばかることなく変貌しているようで、怖ろしかった。

 

「灯を付けて、灯を」

 

 彼は返事もせずに、ようやく片方の肩にくっついているシュミーズのひもをひったくった。

 

「灯を付けろって言うのに」

 

 私はシュミーズをぎゅっと抱きしめて断固として怒鳴った。彼はぐずぐず恐らく悪態をついて、上半身を起こしてベッドの頭を手探りした。彼はつまるところ真紅の笠の電気スタンドを探しているようだ。

 

 スイッチが手に触れたのか、がちゃと音がした。真紅の笠の中に真紅の豆電球がついた。

 

 私はジョーの顔を探す前に、血の色で染まったベッドのシーツを見た。血の色のシーツ…血の色のシーツ。ああ血の色のシーツ…。

 

 私の記憶はどっと噴き出した水のように、時を駆け抜けて遡った。

 

 黄色い銀杏の葉、絶え間なく地面へ地面へ落ちていた黄色い銀杏の葉、眩しく悲しいほど美しかった、その黄色い色もとうとう私の記憶を遮ることはできなかった。

 

 私は忘れたと思っていた、いや巧妙に避けていたある記憶と直面した。行き止まりの路地に追い詰められた逃亡者のように諦めて、私はその記憶を迎え入れた。

 

 母が真心を込めてきぬた打ちした純白の布を、赤く染めた凄惨な血の色と、無残に引き裂かれた若い体を。どれぐらい体が惨憺たる様になるかと思うと心が痛んだ。その幼い年齢にその霊魂がその体を離れないわけはないが、その極限を見せてくれる残酷な体と、その体がいっぺんにこぼしてしまったまだ熱い真っ赤な血の色を私は見たのだ。

 

「きゃあ」

 

 私はあらん限り鋭い悲鳴を上げて、シュミーズをつかんでベッドから畳の床へ転がり落ちた。

 

「どうしたの?」

 

 意外な事態にびっくり仰天したジョーがベッドから体を起こして、私のほうに近づこうとした。

 

「きゃあ」

 

 私はもう一度この建物の隅々まで揺れるほど割れるような悲鳴を張り上げた。

 

 私はたった今感じている危機をどんな言葉でも表現することができなかった。私は今まさに1私の体がジョーによってむごたらしく壊されている感じだった。ヒョキ兄とオキ兄の体のようにシーツを赤く染めながら、惨憺として醜悪に粉々に割れるだろう。

 

 逃げなきゃ、逃げなきゃ・

 

「どうしたの?」

 

 彼がもう一度私に接近してきた。

 

「どうか、どうかお願い。私を壊さないで」

 

 私は、私を壊さないでくれと哀願して、手を合わせた。

 

 毛むくじゃらの足と胸を露出したジョーは、まるで巨大なオランウータンやゴリラのようだった。外でひそひそ人の気配がしてドアをノックする音が聞こえた。この建物の隅々が私の悲鳴で眠りから覚めたように慌しかった。ジョーがドアを開けると二言三言話した。私はその間に素早く下着を一枚ひっかけた。ドアが閉まってまたジョーと私だけが残された。

 

「どうしたの? 君は狂っているのか?」

 

 私は首を肯いて、ちょこちょこ服を拾った。気が狂ってもいいし、どうでもよかった。私は血を垂らして壊れるだけは、その痛さだけは、その醜悪さだけは免れたかった。

 

「怖がるな、僕が服を着るのを手伝ってくれ」

 

「どうか、お願い。私を壊さないで」

 

 私はもう一度両手を合わせて懇願して、何枚もの服を敏捷に拾って身にまとった。

 

 私が服を全部ひっかけるや、彼はオーバーを取って着せかけようとしたが、私はびっくり仰天して、近くに来るなと投げて大声で叫んだ。

 

 彼は私の分からない悪態をついてオーバーを投げた。私はオーバーをつかみ取ってドアを押した。外では心配している人々が集まっていた。私は、彼らが何か尋ねるすきを与えずに、飛ぶように廊下を通り過ぎ、玄関で素早く靴を履き、長い庭園を通り過ぎた。

 

 鉄の門を通り過ぎ、坂道を駆けた。振り返ってみると、キョンソホテルというネオンサインが鮮やかだった。

 

 私はもう一度走った。大通りに出て、もう一度振り返った。誰も追って来ず、赤いネオンサインも見えなかった。疲れがいっぺんに押し寄せて初めて冷たい夜気を感じた。私は腕を通すのが大丈夫で、そのまま肩にオーバーをひっかけて、街路樹を抱きしめた。街路樹のこすれた皮膚に頬を寄せて、安堵の涙をボロボロ流した。

 

 頭がひとしお晴れ晴れとして、少し鮮やかに忘れていた日々が蘇った。

                                       -  続  -

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