『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

翻訳(韓国語→日本語)不便なコンビニ (クレーマーの中のクレーマー) 2-1

2024-01-19 22:11:17 | 翻訳

韓国語学習のための翻訳なので営利目的はありません。

著者  : キム・ホヨン

(1)

 シヒョンの数多いアルバイト人生の終着点がコンビニになったのは、何というか自然な成り行きだった。彼女自身がコンビニの愛用者でもあり、しばらくいろいろなアルバイトで経験したことがコンビニの業務の至る所にあったから、簡単に適応することができた。ビューティーストアで学んだ接客とレジの業務のノウハウはコンビニでの業務とほとんど同じで、配送会社で引き受けた小荷物仕分け業務もコンビニの物品の陳列と似ている面があった。フランチャイズのコーヒーショップでは「クレーマー」と呼ばれるクレーマーに応対するマニュアルを身につけたことがあり、焼き肉屋では自分が焼いた肉が燃えたのを従業員のせいにするクレーマーを経験してメンタルも鍛えられた。

 コンビニはこのすべての業務と状況とクレーマーがほどよくかみ合って回る構造だ。1年前シヒョンはこのコンビニに入って午後の半分だけ受け渡しの仕事を済また。それから今まで毎日午後2時から10時まで8時間働いて公務員試験を準備していた。1年間安定して働けた一番大きな理由は、アルバイトにとって一番重要な社長が良い方だったからだ。

高校の歴史教師として定年退職した社長は、シヒョンに目上だと思わせる方だ。最近コンビニは週休手当を払わないように週5日勤務するアルバイトを置かない。2日ずつ3日ずつ区切って雇用するので一か所に落ち着いて働くことができない。けれど、ここはアルバイトすべてが週5日勤務だ。また社長はシヒョンのようなアルバイトにさせる仕事と自分がする仕事を正確に分けて、率先垂範しながら、何よりも店員を大事にした。

 「社長が店員を大事に思わなければ店員もお客様を大事に思わない。」

 飲食業で一家を成した両親の下で育ったシヒョンが耳にたこができるほど聞いた言葉だ。小売店も結局人商売だ。お客様を大事に扱わない小売店と店員を大事に扱わない社長は同じ結果を招くようになる。潰れるということだ。そんな意味で青坡洞のこのコンビニは少なくとも潰れはしないだろう。ただ稼ぐのが簡単ではないようだ。その後周辺に別のコンビニが2軒もできて、高齢者人口が多いここはコンビニよりは町のスーパーを好む地区だ。更に淑大の学生達がいるが、学生達が登下校する大通りからちょっとそれた所にあるので、助けにならない。ただ下宿や自炊する学生達が出入りするだけだ。

 商売がうまくいかないことは、アルバイトのシヒョンには気楽に働けるというわけだ。このようにアルバイトにも便宜を提供するこのコンビニを、彼女がどうしてやめることができるだろうか。それでも同時に社長さんに申し訳ない気持ちになることもあり、シヒョンはお客様にベストを尽くして親切に応対しようと思った。よくやってくるお得意様もいてこそ店が維持できるはずだから。

 このように鍛えたシヒョンであっても、どこから引っ越ししてきたのか、最近よく出入りする一人のクレーマーは身震いするほど嫌いだ。40代半ばに見えるこの小父さんは、やせた体格にぶくっと飛び出た目が一目で意地悪く、初めて来たときからぞんざいな口調でお金を投げて彼女を驚愕させた。彼は、まるでシヒョンが機械でもあるようにぞんざいな口調で要求を入力して結果も催促した。しかし抗議すると曖昧にシヒョンの間違いを指摘するので、いつもやられるしかなく、それで一層悔しかった。一度はイベント期間がちょうど一日すぎたツープラス円菓子をつまんで来て、レジでイベント割引にならないと日本巡査のように問い質し始めた。

 「どうして割引にならないのだ?」

 「お客様、これ昨日までのイベントです。割引になりません。」

 「じゃ、期間が過ぎたこの案内板をどうして下ろさなかったのだ? 俺、これを悩んで選んだから、もうどうしようか?今回だけ割引しろ。」

 「そんなことできません。イベント案内板に期限が書かれているんです。それを確認なされば・・・。」

 「いや、俺、老眼なのにその粟粒ほど小さく書いたものをどうやって読めというのか?最近40過ぎたら老眼になるから、期間表示を大きくきちんと書かなければ!これ中高年虫差別か、何だ?謝罪の意味で割引しろ。」

 「お客様、申し訳ありませんが・・・それは難しいです。」

 「こんな菓子食べない、タバコ。」

 「どんなものを差し上げましょうか?」

 「毎日吸うものがあるじゃないか。俺が毎日タバコを買ってやるのに、その程度は覚えられるんじゃないのか?お得意様に対してこんなんで商売になるのか?ちぇ。」

 日程が過ぎた案内板を片付けられなかったことが最初の失敗で、何のタバコを吸うのか知っているけれど、奴の厳しい注意にぼうっとして銘柄を訊ねたことが2番目の失敗だった、実は、前者は奴が老眼でさえなければわかるし買えないから、後者は間違えではない。しかし、このクレーマーは曖昧な状況を利用しシヒョンに腹いせをするように小言を並べて行くのだ。

 タバコを受け取ってお金を投げた後、奴は小銭をしまって外へ出て屋外テーブルでタバコを吸った。禁煙と貼ってあったけれど、預かり知ることではなく吸って吸い殻を所かまわず捨てて行く。好き勝手に迷惑なことをしながら、他人の失敗とは言えない失敗は責め立てる奴は、なるほどクレーマーの中のクレーマーだ。

 シヒョンはクレーマーが現れる8時から9時の間になると、気分が悪くなった。出入口に取り付けたベルのちりんという音と一緒にその目の飛び出した金魚のような顔が入ってくると、レジを済ませて行くまでずっと心臓がぶるぶる震えた。今日もまたどんな迷惑をしようとするのか…不安で気分が悪くなった。しかし、その時だ。ぴたっとその時間に来てタバコとスナックを買って行くのがすべてなので、彼女はそのまま隣の家に質の悪い人間が住んでいたら、時々出くわして不愉快な目に遭わざるを得ないのと同じことだと自分を慰めた。


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