韓国語学習のために翻訳しているもので営利目的はありません。
著者:キム・ホヨン
(9)
ドッコさんは相変わらず1時間早く出て、コンビニの周辺を掃除し屋外テーブルを整理してから、シヒョンと引継ぎをした。彼は今完全に夜間業務に適応して、誰も彼を1か月前までソウル駅で…生活していたホームレスだと想像できないほど変わった。初月給で買って着ている分厚く白いジャンパーは、彼を恐ろしいヒグマからコーラの広告の北極熊に見えるようにし、どっしりした図体のように社長さんとシヒョンの信頼できる同僚になった。今も彼でなかったらクリスマスツリーをあのように速く組み立て立てることはできなかっただろう。何よりも良いことは、あのクレーマーの中のクレーマーがドッコさんと一勝負してからはコンビニにちょくちょく現れないという点だった。弱い人に非常識な振る舞いをして、通じない人に会うと尻尾を垂らす振る舞いさえ本当に非常識だった。
ただオ女史だけが相変わらずドッコさんを邪魔な人と感じていた。彼女は出勤したシヒョンにドッコさんの欠点をあげつらって行くのが日常になっていた。もともと怒りやすい彼女がついに腹いせの対象を見つけたようだった。いずれにしてもドッコさんは関係ないようだった。一度オ女史がストレスを与えないか訊ねると、ドッコさんは首を振ってかすかに笑って見せた。
「ストレスは・・・あれのようです。」
「え?」
「あそこ酒の冷蔵庫・・・近すぎて・・・。」
「酒を召し上がったらいけません!本当です!」
思わず声が高くなった。きまり悪くなるシヒョンの気持ちを知っているのかドッコさんはうなずいて同意してくれた。
「そうならないで対策を・・・立てようと思います。」
ドッコさんがそう言ってニヤッと笑った。シヒョンは安堵した。彼女は今ドッコさんがたくさん飲んで減ったカヌブラックを補充していた。彼を通して誰かを助けることの効果を体験し、自分にそんな能力が隠れていることに気づいた。彼女は今もユーチューブ映像を撮りながらドッコさんのことを考えた。彼に教えるように十分に、ゆっくりと、話して動いた。ひょっとすればホームレスのような人達を助ける方法はこのように少しのろく、ゆっくり近づくのではないだろうか?考えてみると社会でどんな絆もないと感じていて自発的なアウトサイダーである自分が、何か結びつく点を見つけるようになった点で、彼女もドッコさんに助けてもらったわけだった。
ユーチューブと連動したアカウントにシヒョンにとって見慣れないメールが届いたのは、クリスマスイブの一日前だった。メールで自分がALWAYSコンビニ2か所を運営中だと明かした女性は一緒に仕事をしたいと自分の番号を残していた。
「何だろう?スカウトの申し出?」
一介のコンビニのアルバイトをスカウトするとは、とんでもない話じゃないか?そしてスカウトしたら、どんな理由でどんな提案をするということなのか?時給を千ウォン、更にくれるのだろうか、あるいは掛け持ちをしろというのか?爆竹が爆発するように頭の中で絶え間なく上がってくる質問を鎮めようとすれば、番号を押すしかなかった。小心なシヒョンは小さい期待と大きな心配を抱えたまま、メールを送った人に電話を掛けた。
中年の落ち着いた女の声が電話を受けた。彼女はユーチューブでシヒョンのコンビニのレジスターの学び方を何回も見たとまず言葉をかけた後、自分は銅雀区でコンビニを2店運営している人間で、今回新しく更に1店開店するときに、担当者が必要だと言った。すなわちシヒョンにコンビニ一つ丸ごと責任を持つ店長として働いてくれという提案だった。面食らったシヒョンは何といったらよいかわからなく戸惑った。すると相手は一度コンビニに立ち寄って自分と会って信頼が行ったら一緒に働こうと言った。驚くことにコンビニはシヒョンの家からとても近い所で、彼女は明日退勤してお目にかかりましょうと答えた。
うちから地下鉄1駅前の町のコンビニだった。社長はオ女史と同じくらい50代後半の小母さんだったが、口調と印象は申し訳ないけれどオ女史と正反対だった。落ち着いた口調と慈愛に満ちた微笑の彼女はコンビニを事業として、既に2店持っていて、新しくもう1店出すとき信頼できる店長が必要だと強調した。
「私をなぜ信じてこんな提案をくださるのでしょうか?」
シヒョンは用心深かった。生きてきてこんな提案どころか、他人に褒められることさえほとんどなかったので、用心深くするしかなかった。
「ユーチューブの映像を見て気持ちが動きましたよ。あなたの口調や教え方が本人の持つ能力を誇示するよりは、学ぶ人をとても配慮していると感じたのです。」
「そうだったのですか?」
「先月新しく引き抜いたアルバイトは最初からあなたの映像を見て学びなさいと言うぐらいだから、私がすでに助けられたじゃないですか。これからそうじゃなくて直接私共の売り場の新入りに教育してくださったらいかがですか?新しい売り場の運営をしながらいろいろ出張教育をしてくださったらいいですが。勿論出張費は支払うつもりです。
シヒョンは胸の震えを隠すために口を食いしばる自分自身を感じた。店長であり正社員だ。月給を聞いてしまって、びっくりして口が開いた。それにもまして新しく開店する売り場はシヒョンの家から5分の距離に過ぎなかった。コンビニのアルバイトとして家族や町の人と会う勇気はなかったけれど、店長として彼らに会うと思うときまり悪いどころか胸を張ることができると思った。
彼女は昇進することにした。同じ業種で転職することにした。歩いて家に戻る道はクリスマスイブを誇るように活気が溢れていた。通りごとにカップルと赤く白い小品が溢れていた。今年も恋人のいないままおくるクリスマスだったが、彼女は全く寒くなかった。
クリスマスの話ですものね。