『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

読書感想278  夢幻花

2020-01-29 14:07:46 | 小説(日本)

読書感想278  夢幻花

著者      東野圭吾

生年      1958

出身地     大阪府

出版年     2013

出版社     (株)PHP研究所

受賞      2013年 柴田錬三郎賞

☆☆☆感想☆☆

 殺人事件の犯人を捜す一方、その鍵となる「黄色い花」の謎を追う物語構成になっている。謎を追うのは二人。東京の実家を離れて大阪の大学院の原子力工学科に席を置く蒲生蒼太とオリンピック代表選手と嘱望されながら、水泳をやめた大学生の秋山梨乃。事件は梨乃の祖父の秋山周治が殺されたことから始まる。第一発見者だった梨乃は祖父が大事にしていた謎の植物の鉢植えの盗難に気づき、その鉢植えの黄色い花をブログにあげた。それに反応したのが蒲生要介、蒼太の兄だった。父親の3回忌に実家に戻っていた蒼太は、兄要介を訪ねてきた梨乃と出会う。

伏線は何重にも張り巡らされている。第一の伏線は通り魔殺人事件が起き、両親が殺され赤ん坊の娘が残されたこと。第2の伏線は毎年台東区入谷の朝顔市に蒲生家では一家そろって行くのが恒例になっており、蒼太はそこで同じように毎年朝顔市に一家で来るという少女に会ったこと。第3の伏線は梨乃の1歳年上の従兄尚人が自宅マンションから飛び降り自殺したこと。アマチュアバンドからプロに転向したばかりだった。

「負の遺産」を相続するというのが隠されたテーマになっている。解決すべき課題に取り組むべきだという著者の主張は過去未来を貫いている。個人的な怨恨とか欲を超越した課題を提起している。人間に対する信頼感があるので、殺人事件が起きても読後感が良い。


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読書感想277  どちらかが彼女を殺した

2020-01-28 14:12:00 | 小説(日本)

読書感想277  どちらかが彼女を殺した

著者      東野圭吾

生年      1958

出身地     大阪府

初出版年     1996

出版社     (株)講談社

☆☆感想☆☆

 加賀恭一郎シリーズの第4の事件。事件の進行役は被害者の兄である、和泉康正。被害者の和泉園子のたった一人の身内であり、死ぬ数日前の電話で「裏切られちゃったんだ。信じてた相手に」といい、帰郷するはずの日に帰ってこない妹を心配して、練馬のアパートに来て遺体を発見する。愛知県警の警官である康正はタイマーをかけた通電ショックで亡くなった妹の犯人を捜すべく、いくつかの証拠品を集めて自家用車の中に隠す。ゴミ箱の中の髪の毛や、冷蔵庫に貼ってあった2件の電話番号など。そしてドアにかけてなかったドアチェーンをかけて外から切断する。一連の作業が終わってから、第一発見者として警察を呼ぶ。やってきたのは練馬警察署の山辺と加賀恭一郎。康正は練馬警察署が妹の死を自殺で処理すると思っている。だからこそ自分が真犯人を探して復讐せねばと思っているのだ。加賀恭一郎の動きも康正の目を通して語られる。康正の独自捜査も進み、容疑者が絞られていく。そうした康正に恭一郎がたびたび接触してきて、捜査状況を知らせてくれる。恭一郎に会うことに警戒心を抱きながら、その情報をもとにさらに真相の解明を進めていく。恭一郎もはじめから他殺だと思っていた根拠が最後に明かされるが、康正のドアチェーンの工作が加賀恭一郎の捜査の大きな障害になっていたこともわかる。容疑者は二人に絞られるが、最後までどちらが犯人かははっきりと明示されていない。警察の捜査に不信感を持つ警官の容疑者に対する復讐はどのように果たされるのだろうか。それが本書のキーポイントだ。犯人が誰かということと並んで読者を最後まで引き付けていく要素になっている。


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韓国ドラマ等備忘録12(2019年10月~12月)

2020-01-19 14:10:49 | 韓国ドラマ

 

①    海上牧雲記  制作国:中国  制作年:2017年 主演:ショーン・ドウ 

面白さ:☆☆☆☆  

コメント:8月に見始めて12月までまでかかった。75部まであって長かったが、まだ話は終わっていない。古代の中国王朝と周辺の遊牧民族を模したような物語。皇帝の第6皇子が皇位につけば王朝を滅ぼし、王朝の柱石である大将軍の三男が王朝を簒奪し、被征服民族の遊牧民の若者が新しい王朝を開くという星占いの予言に、皇帝も大将軍も振り回されている。人間以外の種族も出てくるファンタジー。結末まで見たいと思う。続編を作ってほしい。

②    主君の太陽  制作国:韓国  制作年:2013年  主演:コ・ヒョジン

 ソン・ジソク  面白さ:☆☆☆

 コメント:幽霊が見えるという女とショッピングモールの社長のロマンス。

③    アテナ  制作国:韓国  制作年:2010年  主演:チャ・スンウォン

      スエ  チョン・ウソン   面白さ:☆☆☆

      コメント:CIAでも探ることのできない陰謀組織アネナの秘密エージェン

       トと、韓国の情報部員の戦い。韓国ドラマらしく女の問題で蹉

       跌するというお馴染みの展開。

④    被告人  制作国:韓国  制作年:2017年  主演:チソン ユリ 

         オム・ギジュン  面白さ:☆☆☆

         コメント:妻子殺しの犯人に仕立て上げられた検事と、極悪非道な犯人の

         対決。オム・ギジュンの悪党役がいい。

⑤    推理の女王  制作国:韓国  制作年:2017年  主演:クォン・サンウ

 チェ・ガンヒ  面白さ:☆☆☆

 コメント:主婦が刑事と組んで事件を解決。チェ・ガンヒが頭が切れると

     いう印象がなく、ミスキャスト。

⑥    シンデレラマン  制作国:韓国 制作年:2009年 主演:クォン・サンウ

         面白さ:☆☆☆  

         コメント:クォン・サンウのファンなので見ただけ。全く育ちの違う双子の兄弟を演じ

          てい る。

⑦    秘密  制作国:韓国  制作年:2013年 主演:チソン ペ・スビン

    面白さ:☆☆☆

    コメント:検事になったばかりの恋人の代わりにひき逃げ犯になっ

          た女性を、恋人をひき逃げされたと思い込んだ男が執拗に追い込む

         うちに、真実に気が付く。ペ・スビンが人を利用しながらも卑屈な

         感じがよく出ている。

⑧    紳士の品格  制作国:韓国  制作年:2012年  

主演:チャン・ドンゴン キム・ハヌル  面白さ:☆☆☆

コメント:楽しい恋の駆け引きのお話。チャン・ドンゴンがいかにも不良

中年にぴったり。 


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読書感想276  サンクトペテルブルグから来た指揮者

2020-01-15 17:51:58 | 小説(海外)

読書感想276  サンクトペテルブルグから来た指揮者

著者      カミラ・グレーベ&ポール・レアンダ・エングストレーム

出身国     スウェーデン

出版年     2013

邦訳出版年   2018

邦訳出版社   (株)早川書房

訳者      府川由美恵

☆☆感想☆☆

 1993年サンクトペテルブルグで企業法務専門の弁護士、フレドリク・カストループはあるロシア人の会社設立の手数料として、海のものとも山のものとも知れないその会社の株式の2%を譲渡される。ただし売却するときに他の誰でもなくそのロシア人に売ることを約束させられる。それから10年、フレドリクはモスクワに移り、弁護士として大成功を収めていた。ロシア人の恋人オルガとその娘のクセニアと一緒に暮らしているが、モスクワを引き上げてロンドンに移ろうと考えている。同じくスウェーデン人のトム・ブリクセンとは家族ぐるみの親しい交際を続けている。トムは投資銀行パイオニア・キャピタルの企業金融部門のチーフ。そのトムに大きなビジネス・チャンスが訪れる。ロシア最大の新興財閥ルーシオイルからアドヴァイザーとして指名されたのだ。ルーシーオイルは西シベリアの石油採掘で驚異的な成長をしているネフニクという会社を買収しようとしている。そして次々に殺人事件が起きていく。チェチェン人の自爆テロも起こる。

登場人物もいろいろ。

ボリス・ロマノフ: ルーシー・オイル社大株主。

ピュートル・ヴォルコフ: 同社保安部長

レオニード・グセフ: ネフトニク社大株主

アーラ・ラドエワ: チェチェン人女性

ラリーサ・ボリソワ: フレドリク家の掃除人

セルゲイ・ヴィクトロヴィッチ・スクロフ: ロシア最高検察庁検察官

ヴィタリー・マルキン: モスクワ市警警視

などなど。

ソヴィエトが崩壊し、資本主義的な法解釈とか、会社運営のノウハウを持った欧米の法律家や投資銀行がロシア市場に参入した。そして政官産癒着と、豊かな資源を背景にロシアの資本主義化が進み、貧富の格差の拡大と新興財閥や成金が生まれた。そんな時代と社会の雰囲気が伝わってくるミステリーである。主人公はスウェーデン人だが、舞台はロシアである。著者の一人のポールはモスクワの投資銀行で長年働いていたという。その経験が本書では随所に生きている。欧米人の目で見た社会主義から資本主義に変わった過渡期のロシアでもある。


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四季折々946  八幡八雲神社初詣

2020-01-08 13:27:30 | まち歩き

JR八王子駅から徒歩10分、八幡八雲神社に初詣。八幡八雲神社は夏の八王子祭りを主催する神社で、八王子の栄枯盛衰とともにある神社である。全国的にも珍しく、二つの神社を同格に祭っている。八幡神社と八雲神社だ。八幡神社は924年に武蔵守小野隆泰がこの地に石清水八幡宮を勧請したのが始まりで、その長子の小野義孝が再建した。義孝はここに永住し、名乗りも横山義孝と改めて、この地を開拓し横山村をつくった。この横山村が八王子の始まりだという。また、八雲神社は八王子城のあった深沢山に916年に天王様として祭られ、八王子城が築かれてからは北条氏照によって氏神として崇敬された。落城の際ご神体はひそかに逃れ、幾多の苦難を経てこの地の八幡神社の境内に遷座することになった。横山氏も武蔵七党の最大武士団横山党を率いて鎌倉幕府創建に貢献したが、北条氏との争いに敗れ滅亡した。ここ八王子では敗者とゆかりのある神社を大切に崇敬するするという長い伝統を守っている。

社殿がふたつある。

縁起物を販売中。

絵馬に願い事を書いている。

横山義孝を祭った横山神社。境内にある。横山党が滅亡したあとに慰霊として祭られた。

狐が守護する稲荷神社。商売繁盛の神様。 


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