『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

翻訳6 別れの前後を振り返って

2012-11-30 13:54:36 | 翻訳

 


喉が詰まるほどでまず話を持ち出すのも苦しかった。<o:p></o:p>

 

「子供は?」<o:p></o:p>

 

「あ、息子が一人、娘が一人。」<o:p></o:p>

 

「僕と別れて直ぐに結婚したようだね?」<o:p></o:p>

 

「そうなの。あなたは?」<o:p></o:p>

 

「あ・・・息子が一人。」<o:p></o:p>

 

「そうなの・・・」<o:p></o:p>

 

彼と彼女はお互いの空っぽの杯に酒を注ぎ合って一緒に飲んだ。<o:p></o:p>

 

「家の中にだけいたから久しぶりに出てきて気分がいいわ。ここはちょうど果樹園にある番小屋みたい。私、足をちょっと伸ばそう。」<o:p></o:p>

 

彼女は膝を曲げた足が窮屈なのかテーブルの下に伸ばして、スカートで太ももをきちんと覆った。隣のバンガローの花札をする音を聞きながら、彼は膝の前でゆっくり動く彼女の小さく上品な足の指を盗み見た。歳月が経ったけれども相変わらず愛らしかった。<o:p></o:p>

 

「私、とても老けた?」<o:p></o:p>

 

知ってか知らずか親指を左右に動かしながら彼女が尋ねた。<o:p></o:p>

 

「いや、変わらないよ。」<o:p></o:p>

 

「あなたも変わらないわ。私達、先週別れて会ったみたい。8年過ぎた・・・」<o:p></o:p>

 

「そうだね、8年・・・」<o:p></o:p>

 

彼はうなずいた。彼女の言葉のとおり8年はまるで1週間のように早く過ぎた感じだった。煙草の煙と水炊きの匂いが抜ける小窓の外で蝉が鳴いた。栗の花の匂いもかすかに漂った。遠くからコノハズクかカッコウか区別できない鳴き声も聞こえてきた。<o:p></o:p>

 

「あっそうだわ。何をしているの?」<o:p></o:p>

 

「故郷で家内と小さい塾をしている。」<o:p></o:p>

 

「うまくいっているの?」<o:p></o:p>

 

「食べていくくらい。」<o:p></o:p>

 

「君はいつソウルを出たの?」<o:p></o:p>

 

「結婚してすぐ。夫が支店長に昇進したんで。あなたのワイフは私より可愛い?」<o:p></o:p>

 

「いや、ただ性格がいい。」<o:p></o:p>

 

彼女の足指は彼の膝の前に少し近づいていた。彼はチリ紙を取りながら彼女が近づいた分だけ後ろに退いた。<o:p></o:p>

 

彼と彼女が8年ぶりに再会し、鶏肉をむしって焼酎を飲んでいる、名ばかりの小さい渡し場の近所の栗林はお互いの住んでいる場所から、だいたい中間点にあった。もの寂しく落ち着いていて他の人々の視線からも比較的自由だった。彼は食べ残した鶏肉と鶏粥、空の焼酎瓶、ふちに口紅と脂が付いている空の杯、細いのやら太いのやらの鶏の骨を眺めた。それは世紀が変わったあの晩、彼女と別れた明洞の夜空を彩っていた花火の残骸のように感じた。その残骸が新しく会った栗の渓谷の密室のようなバンガローでどんな姿に変化するのか、彼はまだわからなかった。扇風機が回っていたけれど、彼女は暑いらしく上にかけていた薄い上着を脱いだ。彼は彼女の肩にかかっているスリップとブラジャーのひもから視線を外した。<o:p></o:p>

 

「どうして・・・私をさがしたの?」<o:p></o:p>

 

もう一度視線を戻させる彼女の酔ったような言葉だった。彼は彼女の首から下がって胸の谷間に輝いている首飾りに困惑した視線を向けた。口の開いている水の瓶に向かって突き出した彼女の手と一緒にテーブルの下の足指も動いた。わずかに彼の膝に8年前の風が刃のようにすっと過ぎて行った。<o:p></o:p>

 

「会いたかった。」<o:p></o:p>

 

「私も。」<o:p></o:p>

 

そして彼女と彼は狭いバンガローでお互いの視線を合わせないように努めながら、しばらくおろおろした。垢がついた壁紙と窓の横にかかっているカーテン、部屋の片隅に置かれている畳んだ軍用毛布と花札、そして用途のわからない敷布団、内側から鍵がかかる取っ手まですべて眺めた後、彼は食べ残した鶏肉にしつこく群がるハエを追いながら口を開いた。<o:p></o:p>

 

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そぞろ歩き韓国314  マックの朝食

2012-11-30 13:21:33 | まち歩き

マクドナルドのセット。全体に日本より気のせいか少し小さい。

3500

朝食メニュー。ホットケーキセット。3,500ウォン(約245円)。

3200_4
朝食セット。チーズハンバーガーセット。3,200ウォン(約221円)。

3900_2
朝食メニュー。ハッピーセット。3,900ウォン(約274円)。ハローキティがプレゼントされる。

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ハンバーガーセット。5,000ウォン(約350円)。

5200
ビックマックセット。5,200ウォン(約364円)。


そぞろ歩き韓国313  東京カレー

2012-11-29 14:07:59 | まち歩き

ソウルに住んでいる日本人に人気のある東京カレー。今回行ったのは鍾路(チョンノ)店。ガッテン寿司の上、2階にある。

Photo
東京カレーの外観。

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店内。2時すぎなのでお客がいない。

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窓際の席はソファになっている。

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土門拳の写真がたくさん貼ってある。

9000
カツカレー。9000ウォン(約630円)。

普通においしい。









そぞろ歩き韓国312  九州ー福岡、熊本

2012-11-28 19:17:04 | まち歩き

九州旅行の、駅や飛行機で食べたもの。

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仁川空港から福岡空港へ向かうアシアナ航空の空弁。

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福岡の天神バスターミナルでの海鮮ぶっかけ丼、750円。刺身が少し甘い醤油に漬けこんであって、おいしい。

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JR熊本駅の白玉ぜんざい、520円。漬物と一緒に出てくるのがうれしい。

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JR熊本駅の吉野家の牛丼、490円。ほっとするおいしさ。

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阿蘇熊本空港から仁川空港へ向かうアシアナ航空の空弁。ちらしずし、意外とおいしい。






読書感想38    絆回廊  新宿鮫10

2012-11-28 01:20:03 | 小説(日本)

 



 

著者     大沢在昌<o:p></o:p>

 

生年     1956<o:p></o:p>

 

出身地    愛知県名古屋市<o:p></o:p>

 

受賞歴    2012年第30回日本冒険小説協会大賞受賞<o:p></o:p>

 

初版     2011<o:p></o:p>

 

出版社    光文社<o:p></o:p>

 

価格     1,050円 (電子書籍)<o:p></o:p>

 

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感想<o:p></o:p>

 

 新宿鮫シリーズの10番目の作品。題名通りいくつかの絆が結ばれ、そして切れ、また新しく結び直されていく。そうした人間模様の中心に鮫島警部がいる。<o:p></o:p>

 

公安警察内部の抗争に巻き込まれてキャリアの道からはぐれた一匹狼の鮫島を、新宿署の中で庇い支え続けてくれた上司の桃井課長との絆や、恋人の人気バンドのヴォーカル青木晶との絆が、断たれるかどうかの瀬戸際に鮫島は立たされることになる。ことの発端は、警官を殺すのでチャカ(拳銃)はないかと尋ねてきたムショ帰りらしい大男がいるという情報だった。その情報をもたらした麻薬の密売人は鮫島の協力者として拳銃の入手先を探っているうちに何者かに惨殺される。そして一方ムショ帰りの大男の行方を捜して中国から一人の青年が日本に来る。<o:p></o:p>

 

 この物語で新宿鮫は転機を迎えた。古い絆が切れていく中で、新宿署内部で鮫島を正当に評価し応援する体制が出来てきたのだ。まだ警察庁の上層部での鮫島への待遇は変わらないとしても、現場では名実ともにリーダーとして認められたのだ。新しくどう変貌するか次回作が楽しみだ。<o:p></o:p>

 

ただ中国残留孤児2世のグループを、アイデンティティの喪失した人達と決めつけて、表の生活と裏の生活を完璧に使い分けていると描いているが、それは絵空事だ。器用に使い分けられるはずがないからだ。鮫島と接触を多くして生活感のある肉声が聞きたかった。<o:p></o:p>

 

わがまま評価(5点満点)<o:p></o:p>

 

展開の面白さ ☆☆☆☆<o:p></o:p>

 

人物の存在感 ☆☆☆<o:p></o:p>

 

お勧め度 ☆☆☆☆<o:p></o:p>

 

長さ   ☆☆☆☆<o:p></o:p>

 

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