『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

読書感想290  寒い国から帰ってきたスパイ

2020-12-26 22:51:37 | 小説(海外)

ハヤカワ文庫<br> 寒い国から帰ってきたスパイ

著者:    ジョン・ル・カレ

生年:    1931年

出身地:   イギリス

出版年:   1963年

邦訳出版年: 1978年

訳者:    宇野利康

邦訳出版社: (株)早川書房

☆☆感想☆☆

ベルリンの壁の検問所を通過して一人の男が西ベルリンに入ろうとする。その時最後の関門となる人民警察の銃が火を噴き、男は倒れる。東ドイツでの諜報網が全滅した瞬間だった。ベルリンを去ることを余儀なくされた英国情報部員アレック・リーマンはロンドンのケンブリッジ・サーカス(英国情報部の所在地)に戻ってくる。東ドイツでリーマンに勝ったのは東ドイツ情報部副長官ムントであり、英国の諜報活動の最大の脅威だった。英国情報部と東ドイツ情報部、リーマンとムントの戦いが始まる。

両国の情報部のほかに、ソ連の外交官、英国共産党の女性党員なども登場してくる。英国共産党員が見た東ドイツ共産党の支部集会の様子などは面白い。ものすごい無気力な党員の様子に衝撃を受けている。共産主義を理想化している人にとっては1960年代初期の東ドイツは夢の国だったろう。東欧の共産主義政権が倒れる30年ほど前に東ドイツの共産党員や政権の実相を見抜いていた著者の炯眼には敬服する。

あまりの非情さに途中で読むのをやめたくなるほどだった。徹底した騙しあいと国家の利益のためには個人は捨て駒でしかないというのが、主人公が身をもって悟る真実になる。プロローグの暗示が全編を貫いている。

本作はスパイ作品の古典となっているそうだ。著者は英国情報部に勤務した経験がある。あまりにリアルにスパイの苦しみが描かれていて、娯楽作品としては読めない作品だ。諜報活動というのは残酷な世界だ。


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四季折々983  初冬の相模原公園

2020-12-10 12:26:34 | まち歩き

小春日和の温かい一日。

メタセコイアの並木。

ボックスウッド。

パンジー。

花キャベツの中のメリークリスマス。

今が旬、山茶花。

ツバキ。

まだ落葉しないイロハモミジ。

クスノキ。

まだ元気なアメジストセージ。

色とりどりのパンジー畑。

「玉の如き小春日和を授かりし」(松本たかし 1906年~1956年)


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映画雑感31  (2020年11月)

2020-12-06 21:13:54 | 映画

映画『スウィング・キッズ』公式サイト|大ヒット公開中!の画像スウィングキッズ

98年公開映画『アメリカン・ヒストリーX』が再注目される理由 ...の画像アメリカンヒストリーX

① ワイルドスピード1

制作:2001年 アメリカ  監督:ロブ・コーエン  主演:ポール・ウォーカー

コメント:ロサンゼルスで貨物トラックの強奪事件が頻発し、潜入捜査官がストリートレースに挑戦。走行中の巨大な貨物トラックの下に乗用車が潜り込む。身がすくむ。  

評価(5点満点):☆☆☆☆

②ワイルドスピード2

制作:2003年  アメリカ  監督:ジョン・シングルトン

主演:ポール・ウォーカー

コメント:警察を追われマイアミでストリートレーサーとして身を立てていた元潜入捜査官のブライアンにもう一度麻薬取引の潜入捜査をしてほしいと要請が来る。ブライアンが相棒に選んだのは幼馴染の黒人の前科者。黒人の前科者が面白く、ブライアンも明るい笑顔を始めて見せる。

評価(5点満点):☆☆☆☆

③ワイルドスピード4

制作:2009年  アメリカ  監督:ジャスティン・リン

主演:ポール・ウォーカー

コメント:FBIに復職したブライアンはメキシコの麻薬組織撲滅のために、凄腕のドライバーを相棒に選ぶ。海外逃亡中の貨物トラック強奪犯。ブライアンがかなり年を取ってしまって、輝くようなハンサムぶりは影を潜めた。

評価(5点満点):☆☆☆

④ワイルドスピード5

制作:2011年  アメリカ   監督:ジャスティン・リン

主演:ポール・ウォーカー

 逃亡中のブライアンや仲間たちがブラジルに集結してブラジルのマフィアから現金を奪い取る計画を立てる。ブラジルの警察はほぼ全部腐敗していて、マフィアの支配下にある。すべてのパトカーが追ってくるすさまじい展開。ブラジルの政府組織に対する評価はこうも酷いのか。

評価(5点満点):☆☆☆

⑤ワイルドスピード6

制作:2013年  アメリカ    監督:ジャスティン・リン

主演:ポール・ウォーカー

コメント:静かに暮らしていたブライアンたちのところにFBIから依頼がくる。ヨーロッパに行くことになる。飛行機からパラシュートで車ごと降下したり、山道を疾走したり、カーアクションはますます過激になっている。出演者の口を借りたり、テロップでも「真似をしないように」と注意しているが、真似ができるような水準ではない。

評価(5点満点):☆☆☆

⑥ワイルドスピード7

制作:2015年  アメリカ  監督:ジャスティン・リン

主演:ポール・ウォーカー

コメント:弟を殺された殺し屋との死闘が繰り広げられる。出発間際の飛行機から車ごと脱出するとか恐ろしい限りだ。ポール・ウォーカーはこの作品の撮影中に友人のカーレーサーの車に同乗していて事故死した。それで未撮影の部分をポールの弟2人が代役として演じたというが、代役だと気付かないほどそっくりだった。この作品はポール・ウォーカーにささげられている。

評価(5点満点):☆☆☆

⑦天使と悪魔

制作:2009年  アメリカ   監督:ロン・ハワード

主演:トム・ハンクス   原作:ダン・ブラウン

コメント:ラングドン教授シリーズの第2作。バチカンで教皇が亡くなり、次期教皇を選出する会議が開かれる。核兵器のような威力のある反物質を捜してローマ中を駆け回る。

評価(5点満点):☆☆☆

⑧ザ・ダビンチ・コード

制作:2006年  アメリカ    監督:ロン・ハワード

主演:トム・ハンクス    原作:ダン・ブラウン

コメント:ラングドン教授シリーズの第1作。ダビンチは何を知らせたかったのか。

評価(5点満点):☆☆☆

⑨インフェルノ

制作:2016年  アメリカ    監督:ロン・ハワード

主演:トム・ハンクス      原作:ダン・ブラウン

コメント:ラングドン教授シリーズの第3作。人類を滅亡に至らしめる細菌を捜して、ヨーロッパからイスタンブールまで追いかける。イスタンブールの町をもっと見せてほしかった。

評価(5点満点):☆☆☆

⑩マザーレス ブルックリン

制作:2019年  アメリカ    監督・主演:エドワード・ノートン

コメント:1950年代のニューヨークが舞台。トゥレット症候群の男が恩人の死の真相を暴く。トゥレット症候群というのは記憶力は抜群なのに意図しない言葉が口から飛び出してくる。

評価(5点満点):☆☆☆☆☆

⑪アメリカン・ヒストリーX

制作:1998年 アメリカ 監督:トニー・ケイ 主演:エドワード・ノートン

コメント:白人至上主義者の男が黒人を射殺した罪で3年服役していたが、まったく別人になって出所してくる。そのころ弟は兄を崇拝し白人至上主義者の集まりに参加している。エドワード・ノートンがうまい。

評価(5点満点):☆☆☆☆☆

⑫ミニミニ大作戦

制作:2003年  アメリカ  監督:ゲイリー・グレイ

主演:マーク・ウォールバーグ

コメント:ベニスで金塊を盗んだ男たちが仲間に裏切られ金塊を取られてしまう。金塊を取り戻す作戦を立てる。エドワード・ノートンが悪役で出てくる。

評価(5点満点):☆☆☆

⑬はちどり

制作:2018年 韓国・アメリカ  監督:キム・ボラ 主演:パク・ジフ

コメント:ソウルオリンピックのころの話。理解してくれる人のいない女子中学生の日常を描いている。韓国映画らしくない。

評価(5点満点):☆☆☆

⑭スウィングキッズ

制作:2018年  韓国  監督:カン・ヒョンチョル

主演:D.O

コメント:朝鮮戦争下の捕虜収容所。アメリカ人の所長の命令でタップダンスチームが結成される。指導するのはブロードウエイで活躍した黒人兵士、チームのメンバーは人民軍捕虜の青年、中国軍捕虜の青年、間違って連れてこられた韓国人の男、通訳の乙女。対立する白人兵士のタップダンスチーム。韓国映画らしくなく、恨みや恋愛に執着するさまがない。金持ちを憎悪したり、嫉妬する姿もない。対立や葛藤を抱えながらも人種、民族、性別を超えた友情が描かれている。タップダンスのシーンもよかった。

評価(5点満点):☆☆☆☆☆


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