『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

映画雑感43  2022年6月7月

2022-07-31 22:48:24 | 映画

いつか晴れた日に | ソニー・ピクチャーズ公式

① 孤狼の血1       面白さ(5点満点) : ☆☆☆

  制作年・国 : 2018年  日本     出演 : 役所広司 江口洋介 松坂桃李

  コメント : 戦後間もない広島のやくざの抗争とそれを止めようとするはみ出し刑事の物語。泥臭さ満載。

②孤狼の血2        面白さ(5点満点) : ☆☆☆

  制作年・国 : 2021年  日本     出演 : 鈴木亮平 松坂桃李

  コメント : 柚月裕子の小説を基にした、1の続編。警察がやくざ組織に潜入させたスパイが殺されたり、出所し

         たやくざが殺人狂だったり、残酷さがパワーアップ。

③ダブル・ジョパディー     面白さ(5点満点)☆☆☆☆

  制作年・国 : 1999年  米国    出演 : アシュレイ・ジャッド  トミー・リー・ジョーンズ

  コメント : 夫殺しのねれぎぬを着せられ服役した女が、夫が生きていることを偶然知る。本当に夫を殺しても同

         じ罪で2度は裁かれない。夫への憎悪だけでなく、一人息子に会いたい一心なので主人公を応援したく

         なる。

④EXIT                                             面白さ(5点満点) : ☆☆☆

  制作年・国 : 2019年  韓国     出演 : チョ・ジョンソク  ユナ

  コメント : テロによって有毒ガスが蔓延するビル街。屋上に逃れれば有毒ガスを免れる。大学の山岳部のOBと

         OGがボルダリングの技術で家族を屋上へ誘導したり、ドローンや携帯で情報が広く広がる。今時の情

         報共有のやり方だ。

⑤バンクーバーの朝日      面白さ(5点満点) : ☆☆☆

  制作年・国 : 2014年    日本      出演 : 妻夫木聡 亀梨和也 佐藤浩市

  コメント  : 第二次世界大戦直前のカナダのバンクーバーに移民した日系人社会と日系人の野球チームの活躍を

          描いている。声が小さくて聞き苦しい所があったり、苦労している姿ばかりで、野球の楽しさがあ

          まり伝わってこない。

⑥レインメーカー        面白さ(5点満点) : ☆☆☆☆

  制作年・国 : 1997年  米国    出演 : マット・デモン

  コメント : 司法試験に合格したばかりの青年と弁護士事務所に長年勤めているが司法試験に合格できない中年男

         が組んで弁護士事務所を開く。白血病で死にかけている貧しい青年のために、保険金の支払いを拒否

         する保険会社との訴訟を担当する。米国の田舎の貧しさに胸を突かれる。

⑦ホワイトハウス・ダウン     面白さ(5点満点) : ☆☆☆☆ 

  制作年・国 : 2013年 米国      出演 : チャニング・テイタム

  コメント : ホワイトハウスが襲撃され、警護官の採用面接に来ていた元軍人とその娘が大統領の命を守って大活

         躍。ホワイトハウスの中でのかくれんぼと追っかけっこ。

⑧説得             面白さ(5点満点) : ☆☆☆

 制作年・国 : 2022年 米国        出演 : ダコタ・ジョンソン

 コメント : ジェーン・オースティンの小説を基に、19世紀前半のイギリスの上流階級の恋人たちを描いている。

        財産がない海軍将校との結婚を周囲の反対で取りやめた女性が7年後にまた再会する。イギリスの上流階

        級の奥様が黒人のわけがないし、中国系の従弟が貴族の相続人のわけがないのに、どうしてこういう無

        理な配役にするのだろう。米国制作ということで白人優位にせず多人種を採用するということなのだろ

        うか。

⑨いつか晴れた日に       面白さ(5点満点) : ☆☆☆☆

 制作年・国 : 1995年 米国・英国  出演 : エマ・トンプソン ヒュー・グランド ケイト・ウィンスレット

 コメント : ジェーン・オースティンの小説が原作。2人の姉妹の結婚までの波乱万丈の恋模様。貴族の娘でも父親が

        亡くなると財産を相続できなくなるため貧しくなる。いい結婚相手を探さなければならない。19世紀の

        雰囲気がよく出ている。


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読書感想312  ウィンター家の少女

2022-07-21 18:29:03 | 小説(海外)

ウィンター家の少女 (創元推理文庫)

著者     :  キャロル・オコンネル

生年     :  1947年

出身     :  米国ニューヨーク州

出版年    :  2004年

邦訳出版社  :  (株)東京創元社

邦訳出版年  :  2016年

訳者     :  務台夏子

☆☆感想☆☆☆

 本書は著者キャロル・オコンネルの「キャシー・マロリー」シリーズの8作目にあたる。キャシー・マロリーはニューヨーク市警の刑事。物語の舞台はニューヨークのセントラルパーク西通りにある古風なウィンター邸。そこで保釈中の殺人犯ウィリー・ロイ・ボイドが刺殺された。当時屋敷に居たのは70歳の老女ネッダ・ウィンターとその姪ビッティ・スミス。捜査にあたったのはマロリーと相棒のライカ―。それにマロリーの友人のコンサルタントのチャールズ・バトラー。58年前に当時12歳だったネッダはウィンター邸で起きた一家9人虐殺事件の後、行方不明になっていたのだ。58年前の一家9人虐殺事件では犯行にアイスピックが使われていた。犯人はわからず未解決のままだ。今回は鋏がボイドの胸に刺さっていたが、死体の傍らにアイスピックが落ちていた。生き残っていたネッダの弟ライオネルと妹でビッティの母でもあるクレオは別荘に行っていて留守だった。マロリーとライカ―は58年前の事件とネッダの空白の58年も捜査し始める。ライカ―の祖父と父が調べたアイスピック殺人事件の記録が出てくる。100年以上前からアイスピック殺人は始まっている。

 マロリーは男勝りの刑事として描かれていない。元ストリートチルドレン出身の天才的噓つきの犯罪に精通した美貌の刑事として登場する。犯罪者も怖がる強面ぶりである。女性刑事としては新しいタイプだ。マロリーの描き方もマロリーの犯罪に関する執着を現すようにユーモア一杯だ。

 ー- キャシー・マロリーはベーグルにかぶりつき、空いているほうの手で金属の引き出しをするりと

    開けた。彼女はそこに、自分の私物である遺体をしまっておいたのだ。被害者はいまも死体袋に

    入ったままだった。それに、書類は一切ついていない。彼女がドクターに見せた事件現場の写真

    には、胴体より上や下の写ったものは一枚もなかった。そしていま、彼女はジッパーを開け、初

    めてドクターに被害者の顔を見せた。「ウィリー・ロイ・ボイドよ」 ー-

 死因を特定してもらう場面である。

 いろいろな謎が絡み合って飽きさせないが、58年前の虐殺事件の犯人についてもっと描かれていたらという感想を抱いた。


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韓国・台湾・中国・米国ドラマ備忘録23 (2022年5月6月)

2022-07-14 23:36:50 | 映画

「明蘭」チャオ・リーイン明蘭。

① 題名 :  明蘭ー才媛の春ー   

  面白さ(5点満点): ☆☆☆☆

  制作国・年 : 中国  2018年

  主演 : チャオ・リーイン   チャン・カイゾウー

  コメント : 北宋時代の官吏の家で第三夫人の娘として育った明蘭の物語。妾は奴婢の扱いでいつ

         でも売られたりする不安定な身分。家の中で生き抜いていくだけでも大変。

② 題名 :  ロースクール

  面白さ(5点満点): ☆☆☆

  制作国・年 : 韓国 2021年

  主演 : キム・ミョンシン

  コメント : ロースクールの授業中に教授が死んでしまう。他殺か自殺か事故か。利害関係のある

         教授や学生が次々容疑者となっていく。動機がいまいちはっきりしない。

③ 題名 :  純情に惚れる

  面白さ : ☆☆☆

  主演 : チョン・ギョンホ キム・ソヨン

  制作国・年 : 韓国 2015年

  コメント : 父の会社を叔父に乗っ取られた男が、乗っ取り屋として父の会社を取り戻しに来る。

         しかし、父親同様心臓病で心臓移植が必要な体。叔父の秘書役のキム・ソヨンがエキ

         ゾチックな顔立ちで、好き嫌いが別れる所。チョン・ギョンホも冷酷な乗っ取り屋に

         しては線が細すぎる。

④ 題名 :  ロマンスは命がけ

  面白さ(5点満点) : ☆☆☆☆ 

  制作国・年 : 韓国 2018年

  主役 : チ・ヒョヌ  イ・シヨン

  コメント : ある神経外科医は興奮すると死ぬ恐れのある病気にかかっている。恋愛もしてはなら

         ないもの。ひょんなことから犬猿の仲だった内分泌内科医が開業した医院に同居する

         ことになる。チ・ヒョヌのファンなので楽しく見た。

⑤ 題名 : 三国志 Secret of Three Kingdomes

      面白さ(5点満点) : ☆☆☆☆

  制作国・年 : 中国 2017年

  主演 : マー・ティエンユー エルビス・ハン

  コメント : 後漢の最後の皇帝、献帝に双子の弟がいたという想定で物語が進む。物語は面白い

         が、登場人物の服装が丹前のようなものなので奇妙で親近感が湧いてくる。和服に帯

         のような衣装も着ているので時代考証はどうなっているのか。 

⑥ 題名 : リンカーン弁護士

  面白さ(5点満点) : ☆☆☆

  制作国・年 : 米国・2022年

  主役 : マヌエル・ガルシア=ルルフォ

  コメント : 事故で仕事を休んでいた弁護士が復帰すると、亡くなった弁護士の遺言で担当してい

         た事件を引き継ぐことになる。依頼人が曲者。


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読書感想311  鎌倉北条一族

2022-07-01 11:27:42 | 時事・歴史書

鎌倉北条一族の画像

著者    :  奥富敬之

生年    :  1936年(昭和11年)

出版年   :  2000年

出版社   :  (株)新人物往来社

☆☆感想☆☆☆

「鎌倉殿の13人」で脚光を浴びている北条氏の120年にわたる興亡を描いた歴史書。北条氏がどのような一族だったかがわかるものになっている。個人的な野望とかではなく、時代の変容につれて権力の推移が下克上となって北条氏を押し上げ、また奈落の底に落としている。

 北条氏は源頼朝と北条政子の結婚によって歴史の表舞台に出てきたが、もともとは伊豆の小さな土豪で兵力も少なく、隣接する伊東氏が300騎の兵力を維持していたのに対して30騎から50騎の規模だったと言う。三浦半島を根城にした三浦氏は3000騎を用意できる規模だったと言う。それ以後、兵力が足らず、借り武者や新付けの武者で補った。それが、競争相手の豪族を倒し、承久の乱で後鳥羽上皇を倒し、一挙に北条氏の領地が拡大し、そうした土地の管理する人材を借り武者や新付け武者から始めて家臣として拡充していった。

 名執権と言われた泰時が北条一族を統率するために作った家令と家法の制度の中の家令が得宗家に奉公する家臣、御内方である。外様とは将軍家奉公の地頭御家人のことである。家法とは北条一門に対する惣領家としての権力を強化し権威付けたものである。得宗とは義時の法名である。泰時の時代には北条氏は男子だけでも30名を超える大豪族になっていて分流の傾向が顕著だったため、他の豪族たちとの競争に勝ち抜くために北条氏としての結束が必要とされた。それで泰時は義時の遺領配分を弟妹に厚くし、義時を毒殺したと言われる5番目の妻伊賀の方の息子政村も御とがめなしとしたのだと言われている。泰時は叔父の時房を連署にし、両執権体制をつくり、有力御家人11名を新設の評定衆に任じ、御家人の意向を幕政に反映させようとした。そして関東御成敗式目(貞永式目)を制定し、「東国武士による、東国武士のための、東国武士の政権」を、合議制と法治主義の2本の柱の下で成立させたのである。

 泰時の孫の時頼が執権だったときに、最大の豪族だった三浦一族を滅ぼし、北条氏の惣領家独裁体制、つまり得宗専制が始まった。時頼は執権を引退した後も最高権力者であり続けた。誰が執権になろうが、権力は得宗が握っている。評定衆も名誉職化してくる。「北条氏による、北条氏のための、北条氏の政権」に変質。社会的には貨幣経済の発展で御家人たちの階層分化が深まり、没落する御家人が増加した。そうした御家人の救済にあたったのが、元寇で若くして亡くなった時宗の外戚だった安達氏だった。安達氏は外様御家人の代表として、幕政改革にあたったが、得宗家の家臣である御内方との利害が衝突し、内管領の平頼綱によって滅亡させられる。こうして内管領が得宗家すら傀儡化する時代が到来する。8代目の貞時は平頼綱を滅ばしたが、徳政令を出したりして御家人の窮乏を止めようとしたができず、内管領の力も抑えきることはできなかった。不運は重なり、貞時の息子は3人までも障害児で4番目の息子が無能と言われた高時だった。このときの内管領は長崎円喜。鎌倉が陥落するときに高時は最後まで戦ってくれた一族の金沢貞將に空席となっている執権に任命すると言う御教書を与えた。「一家の滅亡、日の中を過さじと思はれけれども、多年の所望、氏族の規模とする職なれば、今は冥途の思い出にもなれかし」すると、貞將は「我が百年の命を棄てて、公が一日の恩に報ず」と突撃したと言う。高時の遺児、時行は信濃に逃れてそこから鎌倉の北条氏の復権を図った。幾度も成功や失敗を重ねながら、1353年鎌倉幕府滅亡から20年目に足利氏によって捉えられ斬られた。

 「平家物語」も哀れだが、北条一族の興亡も理想と現実の狭間で苦しむ様に哀れみを感じる。時行も静かに信濃で暮らしていれば北条氏の命脈をつなげることができたかもしれない。それをしないでどんなに不利でも理想を追い求め奮闘する姿がこれぞ鎌倉武士の鑑に違いない。高時の最後の言葉も無能であっても人柄の良さを感じさせる。あと内管領になっている平頼綱や長崎円喜が平重盛の血筋なのは驚いた。新しく有能な武士を集める時に敗者の中から選らばざるをえないのかもしれないし、もともと血筋がいいから、主君を主君と思わない傾向も潜んでいるかもしれない。


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