『そぞろ歩き韓国』から『四季折々』に 

東京近郊を散歩した折々の写真とたまに俳句。

翻訳  朴ワンソの「裸木」40

2013-09-30 21:36:55 | 翻訳

 

翻訳  朴ワンソの「裸木」40<o:p></o:p>

 

1261行目~1301行目<o:p></o:p>

 

 今日は黒人の人形が横で初めから終わりまで片棒を担いでいた。目はかっと炎になった、白い歯をむき出しにした黒人の人形が尻にねじをつけたまま、銅鑼を持って立ち主人の饗宴を待っていた。<o:p></o:p>

 

 無表情な玩具店のおじさんが長い欠伸をしてから、ずらりと並んだ見物人を気乗りうすに睨んで、やむを得ないように乾いた木の枝のような手をチンパンジーの方に伸ばす。木の銅鑼を聞く観客のように私は息を殺して興奮を抑える。<o:p></o:p>

 

 おじさんは先ずチンパンジーの尻のねじをねじり、続いて黒人のねじをねじって並んで立てた。<o:p></o:p>

 

 二つの人形はリズミカルに肩を振りながら踊り、一つの人形はウイスキーを注いで飲み、もう一つの人形はうかれて銅鑼をしきりにたたいた。二つの人形はとても息が合って、一つの人形が徐々に速く続けざまウイスキーを注いで飲めば飲むほど、もう一つの人形は酒の楽しさを奮い立たせるように徐々に強く銅鑼を叩いた。<o:p></o:p>

 

 すると見物人はつられて全身をゆらゆら揺らして笑い続けた。私も笑った。笑い笑い。後では目鼻から涙が出るほど笑った。<o:p></o:p>

 

 見物人が息を殺し始めるや、その動作も徐々に遅くなった。彼らの動作が完全に止まると脈がぷっつりなくなり、体がゆらゆらと地面にずり落ちるように疲れた。<o:p></o:p>

 

 目鼻の涙をぬぐって人々が散らばって、新しい人が来たけれど、私はただぼんやりと立っていた。頭が空っぽなまま、何も浮かばなかった。私はふいに倒れても、地面にずりおちもせず、立っていることができるのは誰かの助けのおかげであることに気付いた。彼の助けは巧みで安らかだった。まばゆい光のようにある予感がした。私は振り返らずに長らくその予感を楽しんだ。<o:p></o:p>

 

「行かないで」<o:p></o:p>

 

 予感通りオクヒドさんの声だった。温かく善良な視線が私を見下していた。長い別離の果の解逅のような懐かしさが溢れた。私達は人をかき分けて出た。そして一緒に歩いた。<o:p></o:p>

 

「子供のようにまだ玩具が好きなのかい?」<o:p></o:p>

 

「先生もでしょう?」<o:p></o:p>

 

「急にあいつがみたくなって。あの酔っ払いが…」<o:p></o:p>

 

「私もです。たった今駆けてきたんです」<o:p></o:p>

 

「僕もそうだ。どうしてそうなのか? 全く抑えることができないほどだった」<o:p></o:p>

 

「私達は私達の出会いの予感があったみたいです」<o:p></o:p>

 

「出会いなの? 私達は最近いつも一緒にいたけれど…」<o:p></o:p>

 

 彼は一緒にいたということを念押しするように私の手をまえた。彼の分厚く温かい手の中で私の小さい手が溶けて、彼の体温、息、視線、そんなものがほとんど陶酔と同じような恍惚とした嬉しさを私に与えた。<o:p></o:p>

 

「お久しぶり?」<o:p></o:p>

 

 私はここで彼に会ったことにもう一度感謝し、不思議なことに、到底一日一緒にいた人と同じではなく、彼が新しかった。<o:p></o:p>

 

「僕たちはいつも一緒にいるんじゃない」<o:p></o:p>

 

 彼が私の手を一層強く握った。<o:p></o:p>

 

「一緒にいたことで何をするの。互いに一度も話もできないで忙しいじゃないの。寂しかったわ」<o:p></o:p>

 

「可哀想だね」<o:p></o:p>

 

 彼はにこっと笑って悪戯っぽく言ったが、私の心を軽く労わって十分に誠意があった。<o:p></o:p>

 

 「二度と私を可哀想な目に遭わさないで」<o:p></o:p>

 

 私は甘えるように彼の肩に頭を寄せてゆっくり歩いた。彼は返事をしなかった。<o:p></o:p>

 

 洋装店、洋品店、洋靴店、宝石商のまばゆい照明の前を通り過ぎると、薄暗いホトック(お焼き)店を最後に暗い聖堂の前の坂だった。私は返事のない彼の表情を探って、最後の灯のホトック店の30ワットほどの外灯の前で彼を見上げた。善良でも聡明な、しかし時々傷心と疲労がこもった以外に、できる限り平穏に保っている彼の目が、今まで見たこともない、異常な熱気で燃えていた。<o:p></o:p>

 

 私はびくっとして視線を外した。もう一度彼を見上げた時は、既に灯は過ぎ、うっとうしい外灯を背にして、顔は暗く陰になったままだったが、目の光だけはまだ燃えていた。<o:p></o:p>

 

 私は息を殺した。そして全身の感覚でこの岩のような男が、奥深く震えているのを感じた。いつの間にか私も震えていた。彼に掴まれた手がとても新しい感覚を伝えてきた。私は少しその新しい感覚に抵抗を感じた。彼に掴まれた手を抜き取ろうと思ったけれど、意外にも彼は頑強だった。やむなく彼から男を感じた。<o:p></o:p>

 

 心臓が手の付けようもなく早鐘を打った。私は彼に掴まれていない片方の手で左胸を抑えた。心臓が私とは別個の生き物になって自分を閉じ込めている肋骨を蹴って出てくるような危機を感じた。私は慌てて足を踏み外して、彼に引っ張られるようになった。彼は不安なぐらい強固だった。ついに衝動的に止まって、彼は飛び出しそうな私の心臓をどっしりと自分の体重で抑えた。<o:p></o:p>

 

 私はもう一度とても近くで彼の熱気を見て感じた。<o:p></o:p>

 

「可哀想に冷たく…震えているね」<o:p></o:p>

 

 彼はとても震える声で私の耳がくすぐったくなるほど近くで囁いた。彼が何かとても怖がっているのがわかった。そして私も、まったく同じように、彼が怖がっているものを怖がっていることを。<o:p></o:p>

 

 私は怖いものが来ることを怖がりながら待った。彼の息遣いがためらいながら、しかし間違いなくやってくるのを感じた。私は首を後ろに反らして、彼の息遣いを受け入れる前に、高くそびえる聖堂の尖塔を見た。そうすると、いつかこの前で忘れていた詩の一節がおかしいぐらい鮮明に浮かんだ。<o:p></o:p>

 

 いつの間にか私は息を吐くようにそれをとぎれとぎれに吟じていた。<o:p></o:p>

 

―マリア、あなただけは私達に情け深いはずです。あなたの血管から生まれた私達であります。憧憬がどんなに胸を痛めるのかを、あなた以外の誰がわかるでしょうかー<o:p></o:p>

 

 いずれにせよ、その大切な瞬間をそんな照れくさいふるまいで、台無しにしてしまったかもしれないのだ。<o:p></o:p>

 

 彼の息がそれ以上やってこなかった。私は物足りなさと安堵を感じた。私達は再び歩きはじめた。ゆっくりと坂を下って曲がり角を曲がった。<o:p></o:p>

 

「寒い?」<o:p></o:p>

 

「ええ、とても寒いです」<o:p></o:p>

 

「今日は恐らく小寒だよ」<o:p></o:p>

 

「小寒の寒さが大寒の寒さよりひどいなら異常ですね?」<o:p></o:p>

 

「私達の先祖のトリックだよ。真夏にこっそり立秋をはめ込んだり、語感で酷寒や酷暑の苦しさを減らす、自然なトリックさ」<o:p></o:p>

 

「そうなんですね」<o:p></o:p>

 

 実は私達もトリックを使っていた。私達は今小寒の寒さでこのように震えても、熱気もすべて小寒の寒さに戻ってひどくならないようになった。<o:p></o:p>

 

 私達は一緒に道を渡って何も話さず路地を通り過ぎた。<o:p></o:p>

 

「零下何度ぐらいかしら?」<o:p></o:p>

 

「さあ、今朝が15℃と言っていたかな…」<o:p></o:p>

 

 時折くだらない対話をぽつりぽつり交わしながら、平静さを回復していった。結局さっき聖堂の前での瞬間を続ける対話を探せないまま、私達は礼儀正しい挨拶を交わして別れた。<o:p></o:p>

 

 家の前では馴染みのないジープが止まっていた。廃家のように崩れ落ちた自宅の前に止まっていたジープは、あたかも現実が迷子になって夢の中へ飛び込んだように、ふさわしくなく見えた。私は家に入るのをためらいながら、この不意の侵入者が私を煩わせるだろうと苛立ってみたが、戸外は零下15℃だった。私は全く寒さのせいで震えることを望まなかった。表門は開いたままで石段にはぴかぴかした軍靴と粗末な軍靴が並んで置いてあった。すぐに本家のチンイ兄さんが来ていることがわかった。私は靴を脱ぎながら、二足の靴にびっしりと開けられた靴紐の穴が多すぎて、その上靴紐も長いので、そんな履物を履いて脱がなければならないチンイ兄さんが、不憫に思われた。<o:p></o:p>

 

 少しでも彼を不憫に思えることは幸運だった。大きな心配事だったチンイ兄さんとの対決が、かなり簡単に思えたのだ。

                        ー 続ー

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四季折々164   小松コスモスまつり

2013-09-27 09:34:12 | まち歩き

相模原市緑区川尻の小松地区で小松コスモスまつりを開催する。期日は10月5日(土)10月6日(日)。

コスモス(秋桜)の花言葉は「乙女の真心」「乙女の愛情」

色によって別な花言葉もある。

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小松コスモスまつりの幟。まっすぐ行くと城山湖に着く。

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ピンクのコスモスの花言葉は「少女の純潔」。

赤いコスモスの花言葉は「調和」。

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白いコスモスの花言葉は「純潔」「美麗」「優美」。

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「コスモスで 往時のにぎわい 休耕田」

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「秋冷が 迫るコスモス ゆーらゆら」

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「たおやかに 揺れるコスモス 一面に」
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「ドライバ― コスモスの原 急停車」

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