花紅柳緑~院長のブログ

京都府京田辺市、谷村医院の院長です。 日常診療を通じて感じたこと、四季折々の健康情報、趣味の活動を御報告いたします。

憫農 / 農を憫む

2017-11-09 | 詩歌とともに


  憫農二首 李紳
春種一粒粟, 秋収万顆子。 四海無閑田, 農夫猶餓死。
鋤禾日当午, 汗滴禾下土。 誰知盤中餐, 粒粒皆辛苦。


(愈平伯 他編著:唐詩鑑賞辞典, p996-997, 上海辞書出版社, 2013)

  農を憫(あはれ)む
春に種く一粒の粟、秋に収める万顆の子(み)。
四海に閑田無きも、農夫猶餓死す。
禾(か)を鋤きて日午に当たり、汗は滴る禾下の土。
誰か知らん盤中の餐 粒粒皆辛苦なることを。

春の「一粒粟」、一粒の粟を蒔けば、秋には「万顆子」、何万もの実がみのる。国中の何処にも耕していない田畑がないのに、なお農夫の餓死が後をたたない。真昼の太陽がぎりぎりと照り付ける中、鋤をいれて耕せば汗は田の土に滴り落ちる。誰がうつわの中の餐食が因って来る処を知っているだろう、誰も真に解ってはいない。その一粒一粒が心身を費やし労した辛苦の賜物であり、血と汗の結晶であることを。
 作者の李紳(りしん)(772-846)、字は公垂、中唐の政治家、詩人で、新楽府(新題楽府)運動の提唱者の一人である。





憫農, 范振涯画│趙永芳, 王値西編: 児童版・唐詩三百種, p200-201, 浙江少年児童出版社, 2003

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