池上遂涼二首 其一 白居易
青苔地上銷残暑 青苔の地上に残暑は銷え
緑樹陰前逐晩涼 緑樹の陰前に晩涼を逐ふ
軽屐単衣薄紗帽 軽屐(けいげき)の単衣 薄紗の帽
浅池平岸庳藤床 浅池の平岸 庳(いや)しき藤床
簪纓怪我情何薄 簪纓(しんえい)は我が情の何とも薄きを怪め
泉石諳君味甚長 泉石は君を諳りて味は甚だ長し
遍問交親為老計 遍く交親を問ひて老計と為す
多言宜静不宜忙 多言は宜しく静かにし 忙しきは宜しからずと
(白氏文集巻六十六 律詩│「白氏文集 十一」, p395-397)
参考資料:
川口久雄, 志田延義校注:日本古典文学大系「和漢朗詠集 梁塵秘抄」, 岩波書店, 1974
岡村繁著:新釈漢文大系「白氏文集 十一」, 明治書院, 1988